高評価なのに話題に上りにくかった『dele』、他作品とは異なった“観られ方”
その後、各局作品のオンエアが始まり、石原さとみ主演の『高嶺の花』(日本テレビ系/水曜22時)や、山崎賢人主演『グッド・ドクター』(フジテレビ系/木曜22時)、綾瀬はるか主演『義母と娘のブルース』(TBS系/火曜22時)などがネット上で話題となったのは記憶に新しいところだが、本命と目された『dele』は巷間話題に上ることも少なく、「あれ?」と思った人も少なくなかったのではないだろうか。
『dele』の作品自体の評価は決して低くない。同誌発表のドラマ満足度調査「オリコンドラマバリュー」を見ると、全話終了した『dele』の満足度は、累積平均87.6Pt(100Pt満点中の数字、以下同)。これは『グッド・ドクター』の88.8Pt、『義母と娘のブルース』の86.6Pt(『義母〜』は9話終了時点)に肩を並べる。ではなぜ、『dele』はネット上で大々的には話題にならなかったのか? それを明らかにすることこそが、このドラマの秘められた魅力を物語ることにつながる。
それぞれの満足度はどうだろうか。『家政婦のミタゾノ』の全話平均満足度は、【リアルタイム/タイムシフト】で【80.6Pt/80.3Pt】。『ホリディラブ』は【64.5Pt/74.9Pt】、『重要参考人探偵』が【58.0Pt/58.4Pt】。『ホリディラブ』が、同ドラマのファンをタイムシフトにつなげていたことは明らかだが、ほかの2作品には大きな違いはなかった。
「金曜ナイトドラマ」直近4作 リアルタイム/タイムシフト視聴それぞれの「ドラマバリュー」結果
まず、視聴者が『dele』をリアルタイムとタイムシフトのどちらで観たか?という点については、【12.6Pt/18.2Pt】で圧倒的にタイムシフトに軍配が上がった。満足度はどうだろう。こちらも【83.8Pt/89.2Pt】でタイムシフトが上回る。
しかし、「主演」や「主演以外のキャスト」「ドラマの内容」における満足度は、リアルタイムだろうがタイムシフトだろうが全く同じ。「好きな俳優が出ているからリアルタイムで」とか「じっくり楽しみたいから」とか「時間があったら観る」ということでタイムシフトが選択された、といった詮索が及ばない結果となっているのだ。なんとなく時間があるから観る、といったふわふわした視聴者ではなく、しっかりとした意志を持ってこのドラマを観ている。そんな視聴者像が思い浮かぶ。
そこで冒頭の疑問、「『dele』はなぜネットで盛り上がらなかったのか」だが、それについては、「オリコンドラマバリュー」の評価項目の1つ、「話題性」のポイントを、今期話題のドラマと、過去の金曜ナイトドラマの作品で比較するとよくわかる。
「オリコンドラマバリュー」では、「話題性」の数字を決めるにあたり、ドラマのタイトル等で語られているツイート数の量を集計。それを過去1年間に調査対象となっているドラマに関するツイート量と比較のうえ、20Pt満点でポイント化している。『dele』は、ドラマの満足度自体は今クール上位の評価を得ているにも関わらず、ツイート数が驚くほど低い。このツイート量の少なさが、ネット上で話題が拡散しなかった要因なのではないだろうか。
7月期話題ドラマと「金曜ナイトドラマ」のドラマバリュー【話題性】項目の推移
わかりやすい“感動ボタン”が用意されているドラマであれば、それを言葉にしてSNSに投稿することもできるが、『dele』に関しては先のコメントからも読み取れるように、わかりやすさは皆無だ。それほど複雑で興味深いドラマだった、ということは間違いない。