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「保存料使っているんでしょ?」、ボンカレーは懐疑的な声といかに向き合ってきたのか? “世界初の市販レトルト食品”の矜持
レトルトなのに“懐かしさ”を覚える…「それぞれの思い出の中にボンカレーがあるのが最大の強み」
ボンカレーマーケティングチームの森川慎太郎さん
【森川慎太郎さん】やはり大塚食品の根幹ブランドという認識は入社当初から強くあります。『ボンカレー』とともに歩んできた企業であることは間違いないです。
【中島千旭さん】私自身も小さいころから食べている商品なので、そこに携わらせていただくのはすごく貴重な経験ですし、57年も継続しここからまだまだ進化していくブランドです。そのブランドに携わることができていることは、大変ありがたいことだと思います。
――金看板だからこそ、マーケティングチームに携わっていることはプレッシャーに感じることもあるのでは?
【森川さん】そうですね(笑)。ただ、直接携わって改めて感じたのは、ユーザーの皆さまがボンカレーに抱いているイメージが情緒的な部分が多いことです。昔懐かしい、いつも変わらないほっとする味だから安心するというところが、他社さまの製品とは異なりボンカレーにはあると知ることが出来たのは大きかったですし、より一層大切にしていかなければと襟を正したことを覚えています。
――確かに。望郷の念に駆られるレトルト食品なんて、『ボンカレー』以外には考えづらいです(笑)。
【中島さん】それがまさに『ボンカレー』にしかない唯一無二のアイデンティティだと思います。小さい頃、土曜日のお昼にお母さんが用意してくれたボンカレーを一緒に食べた記憶や、家族で行ったキャンプで楽しそうに食べた記憶など様々です。それぞれの思い出の中にボンカレーがある。さらに自分が親になった時にお子さんにも食べて頂いている…3世代にわたって繋がっていく流れが作れているのが最大の強みですね。
――キャンプなどの屋外で食べたボンカレーの味は確かに格別ですよね。忘れられない思い出として得難い体験がある。
【中島さん】『ボンカレー』に対してのイメージをお客様にアンケートを取ると、味はもちろんですが、それぞれの思い出を必ず書いてくれます。思い出を共有して頂くことは我々としても非常に嬉しいですし、誇らしく感じる瞬間でもあります。
核家族に一人暮らし、高齢夫婦も…“多様な食卓”を『ボンカレー』でどう彩る?
エモい…57年前に発売された初代ボンカレー
【江藤さん】実は私も入社する前は発売当初からあまり変わってないんだろうなと思っていました。昔ながらの味を守り続けているのだろうと。ですが、開発に入ってみると、時代に合わせてのさまざまな改良や、味への取り組みを行っていることに驚きました。因みに、ボンカレーと聞いてイメージされるパッケージはどのようなデザインでしょうか?
――世代によっても変わるのかなと思いますが、松山容子さんを起用されたデザインや円のマークを入れたデザインですかね。
【江藤さん】1968年に松山容子さんのパッケージで発売させていただいたのですが、その10年後の1978年には現在の主力製品であるボンカレーゴールドが発売され、食べ比べると全く味が変わっているんです。発売から10年後の味として、ユーザーにどのようにマッチするのだろう? と考えたとき、フルーツを贅沢にかつ香辛料をしっかり使った味わいにするなど、大きな変革を行ってきました。味に関しては、その時代にどのようなニーズがあるのかをお客様の声や世の中のトレンドを取り入れつつ改良を進めています。一方で守らなければいけないものとしては、家庭で作られたような“安心感”、気持ちに寄り添えるカレー作りは、日々の開発の中でも受け継がれています。
ボンカレーマーケティングチームの中島千旭さん
【中島さん】おおよそ半年に1回から、1年に1回ぐらいのペースで新商品の発売、または改良版の展開を行っています。企画立案に関してはケースバイケースではありますが、1年から長いと2年前ほどから企画が進行します。
――例えば先ごろ新商品として発売され現在ヒット中の『ボンカレーネオ にんにくマシマシ 辛口』は、イメージとしては男性ユーザーがガッツリいきたい時に食べる。一方で、女性・お子さんに向けた商品など、ターゲティングは都度で変わってくると思うのですが、ターゲティングのルーティンなどはありますか?
【中島さん】ルーティン自体はないです。イメージとしては、家族が1つの食卓にいたときに、お父さん、お母さん、お子さん、あとは一人暮らしの方もいらっしゃれば、今だとご高齢で2人暮らしをされている方もいらっしゃいますので、そういった“多様な食卓”をどのように『ボンカレー』でお役立ちできるかというところから、まずはアイデアを膨らまし、ラインアップ展開を考えています。
――多様な食卓をどのように『ボンカレー』で彩るのか? 生活環境の変化が生じても、『ボンカレー』がフィットするのかを常にキャッチアップしている。
【中島さん】57年間の進化のなかでも、箱ごとレンチン出来るようになったことは大きな変革でした。電子レンジが一家に一台という時代に突入しても、レトルトカレーはまだ湯煎だったんです。アルミパウチのままだとレンジができないので、新しいパウチの開発を急ピッチで進めるなど、時代の変化や家庭の状況をキャッチアップして迅速に対応する…このような考え方は脈々と受け継がれていますね。