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「歯医者に犬?」治療嫌がる子どもと親から反響、「危険はない? 衛生面は?」数々の問題クリアし認められた20年
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子どもたちを見守ってきた犬・ジュン
20年前は「犬は外で飼うもの」という認識強く、歯科医師会や保健所から連絡が来たことも
鈴木先生 とくに茨城の郊外では、「犬は外で飼うもの」と考える方も多かったですしね。実際、歯科医師会からは「犬なんか入れて汚いんじゃないか」というお声もありました。その後、保健所からも見学に来たいと連絡があったのですが…。
――やはりそうしたこともあったんですね。
鈴木先生 ただ私は愛玩動物飼養管理士1級を取っていましたし、フローラやジュンの飼い主さんも資格を持っていらっしゃいます。クリニックに来る日は、犬のシャンプーや爪切り、ハブラシ、コーミングを行い、事前に排泄してしっかりきれいにしているので、保健所からは「問題ない」との回答をいただきました。
――患者さんたちはいかがでしたか?
鈴木先生 最初は怖がった子もいたのですが、帰る頃には犬と一緒に遊んでいますね。年配の方の中には「犬がいるの?」と驚く方もいるのですが、実際触れあうと「可愛いものだな」と言ってくださいます。大人の男性の方で、歯医者さんが怖くて続かなかったけれど、「ここでなら頑張れる」という方もいました。大人の方でも本音で相談してくだされば、犬が寄り添う治療はできます。
――なるほど。
鈴木先生 ただ、管理士の試験のときに、「世の中の1/3は犬や猫を嫌いな人がいる」と教わっていますし、その点は気をつけています。犬が嫌いな方やアレルギーの方もいるので、事前にお伝えしていますね。
犬がいる歯科医は今後も増える?「犬の福祉への知識があってこそ実現できる治療」
待合室にいる間はいい子でお座り
児童書『犬のまほうのはいしゃさん』(ポプラ社)
鈴木先生 読者の方からお便りをたくさんいただいて、とても嬉しいです。取材や講演の依頼をいただくこともあります。
――20年続けてこられた手ごたえは感じていますか?
鈴木先生 20年も経つと、子どもの頃に犬と治療していた子がお母さんになって、娘をまた連れてきてくれたこともありました。娘さんは少し怖がっていたのですが、「お母さんも昔やったんだよ」と聞いて、安心して治療を受けてくれましたね。ほかにも、子どもたちから「ありがとう!」と犬のイラストが送られてきたり。すごく嬉しいですね。
――これだけ反響があるとなると、今後“犬のいる歯医者さん”は増えていくのでしょうか?
鈴木先生 以前、学会でも他の歯科医の先生から「どうやったらできるの?」「誰に頼めばいいの?」という質問が来ました。でも、ただ「来てほしい」というものではなく、私も管理士の資格を取ったり、犬のうんち拾いのボランティア活動をしていく中で、セラピー犬の飼い主さんと出会い、協力いただいた経緯があります。単に「1時間いくらで来て」といったことではなく、人と人との繋がり、犬の福祉への知識があってこそ実現できる治療です。
――たしかに、子どもも犬も安心して治療に臨めるような理解や知識は必要ですよね。では最後に、先生から何か、読者に伝えておきたいことは?
鈴木先生 『犬のまほうのはいしゃさん』のほかにも、『おばあちゃん先生とくろワンコのはいしゃさん1』(自費出版)という本も出していまして。歯科心身学会の会員でもあるので、子どもの口の中の症状と心の問題がわかるような内容なので、こちらもご覧いただけたら嬉しいですね。小児歯科医としては、小さな虫歯のうちに治療を受け、その後は虫歯を作らないように予防で通っていただくのが良いですとお伝えしたいです。子どもたちも、早めに歯医者さんに行けば怖くないし、歯医者さんって楽しいところなんだよと思ってもらえたらうれしいですね。
インフォメーション
ポプラ社 刊
著:今西乃子
写真:浜田一男
絵:サカイノビー
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『おばあちゃん先生とくろワンコの歯医者さん1』
株式会社ニコモ YOMO刊
著:鈴木伸江
絵:かとうだいすけ
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■パレットデンタルクリニック(外部サイト)