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「七夕」の名前もらった子猫は“差し押さえ物件”からやってきた…減らない多頭飼育崩壊、保護への懸念
「愛護センターに引き渡されるくらいなら」、強制執行補助業者の協力で劣悪な環境から救い出す
「差し押さえにあった物件から荷物を一時保管する業者さんなのですが、物件の中に犬猫などの動物がいることが多いそうで。その方は猫好きで、以前も連絡をいただいて『ねこけん』で犬猫を保護したことがありました。差し押さえは毎日のように発生し、年間20頭ほどが差し押さえられるということだったので、『そのときは必ず連絡をしてほしい』とお願いしていたんです」
年間20頭。それだけでもかなりの数だが、実際は「すでに100頭近く保護してます(笑)」とのこと。それでも「愛護センターに引き渡されるくらいなら、うちがやる」と、多くの猫、ときには犬を保護してきた。
今回保護された子猫がいたのは、差し押さえにあったある夫婦の家。
「家のローンが払えなくなり、裁判所から差し押さえにあったという30代の夫婦で、幼稚園のお子さんもいました。人間たちは一つだけキレイだった部屋に住んでいましたが、子猫を含む14頭の犬猫がいたのは、ものすごく汚い部屋。ケージは糞尿にまみれ、臭いもすごくて。猫たちは3〜4回洗って、ようやくマシになったくらいでした」
何年もの間、清潔にされることなく汚れ続けた環境の中で、汚い茶碗にまかれたゴハンを食べて生き延びた大人の猫たち。母猫は、そんな中で子猫を守り育てたのだ。
飼い犬なのに「何年も人に触られることがなかった」、おしっこをもらす犬
ただ、猫たちと一緒にいた犬1頭は、患っていた皮膚病を治療するために未だ入院中だという。
「この犬は、人間が少し触っただけでおしっこをもらしちゃうんです。いわゆる嬉ションというものですね。それはきっと、何年も人に触られることがなかったからだと思います。飼い犬にも関わらず、この子はどれだけ悲しい思いをしたのか…」
こうした悲劇を引き起こす多頭飼育崩壊。近年はメディア等でも取り上げられ、この問題を知る人も多くなってきた。だが、『ねこけん』ブログには「いっこうに減らない」と記されている。差し押さえ案件以外にも、「かわいそうでつい家に入れてしまった」「かわいくて買った」「雌雄でもらった」と迎え入れたことをきっかけに、なんの処置もせずに増えるに任せ、放置したケースがたくさんある。「最初の1頭から不妊去勢手術をしてほしい。自身でお世話ができない(難しいと感じ始めたら)すぐに次の道を見つけてほしい!」と訴えている。
「『ねこけん』は5年前から病院もやっていて、激安で猫の不妊去勢手術をしています。他では外猫しか処置しない場合が多いですが、うちは飼い猫が来てもいい。なぜかというと、お金が払えない飼い主でも手術できるようにです。普通、手術代は2〜3万なので、困窮している人にとっては厳しい。だからといって、放置すればするほど猫は増えてしまう。多頭飼育崩壊に陥ってしまうくらいならば、やるしかないのです。ただ、お金があるのに悪用する人もいるので、あえて高度な機械が必要な処置は行わず、どうにもならない場合のみ対応しています。多頭飼育の場合は無料にしているのですが、残念なのはそういう危険性のある飼い主ほど、病院に来てくれないのです」
犬も猫も、動物たちを不幸にする飼育崩壊。救おうとする人たちもいるが、それでも追いつかないほど、状況は改善していない。動物に関わろうとするならば、不幸にしないという意識を持ち、環境を整えるべきだろう。
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