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エハラマサヒロ、「誹謗中傷はなくならない」 芸人よりも家族との時間選択し変化した仕事観
YouTubeへの“子どもの顔出し”批判も「メリットの方がデカい」、我が子に誹謗中傷の心構えを伝授する想い
エハラマサヒロはい、長女が9歳(現在11歳)のときです。今の子どもたちにとってYouTuberって憧れなんですよね。僕らが小さい頃にテレビに出てる芸人さんを見て「ああなりたい」と思ったのと同じように、アホなことを楽しそうにやってて、観る人にも喜んでもらえて「ええな」という感覚だったんだと思います。子どもがやりたいことは精一杯応援して協力してあげたいので、大賛成しました。
──11月に発売されたコミックエッセイ『エハラんち』では、大家族のほっこりするエピソードが満載ですが、そのなかで子育てに関する発信が「ちょくちょくプチ炎上を招く」とも語られています。“子どもの顔出し"についても批判が寄せられたこともありましたが、どのように受け止めていますか?
エハラマサヒロまず「顔出しによって誘拐のリスクが高まる」と批判する人はけっこういますが、誘拐のニュースって最近聞かないですよね。それは街中に監視カメラがあるから。それだけ子どもが守られた社会環境になっている今は、むしろ自己発信するメリットのほうがデカいと思うんです。将来子どもが事業とか店をやるにしても、すでに顔と名前が知られてるのはめっちゃ大きい。リスクを恐れて何も行動しなければ、成功だってできないですよ。
──子どもが誹謗中傷を受けることについてはどうですか?
エハラマサヒロ大前提として、子どもにはコメントを見せないようにしています。ただ、僕はいじめがなくなることはないと思ってるんです。学校であれ、ネットであれ、「変なヤツに絡まれることはある。それは運が悪かっただけ」ということは何か起こってからでなく常日頃から子どもたちに話しています。だからいじめられても自分に原因があると思い詰めなくていいし、もしも自分に悪いところがあると気付いたら改善して、それでも状況がよくならなかったら「一緒に逃げよう」と言っていますね。
──学校とは違う、誹謗中傷を受ける視点からのネットリテラシー教育ともいえそうですね。
エハラマサヒロ僕は人より誹謗中傷を食らいやすい職業なんで、血の通った話ができると思ってます。僕の実体験を話すこともあります。もちろんこれが正解とも思わないし、変わってる自覚もあるので参考にならないかもしれないですけど。でも変わってなかったら芸人になろうなんて思わないですよ(笑)。
「人気のキープ難しい」 賞レースの可能性と生き残る厳しさを振り返る
エハラマサヒロ賞レースで認知を掴む芸人はこれからもおるんやろうなと思います。ただ世間に認知されても、それをキープするのは倍以上難しいってことは身をもって知りました。あの頃、一緒に『爆笑レッドカーペット』や『エンタの神様』、『あらびき団』に出ていた芸人がゆーっくり消えていくのも見ていましたしね。
──賞レースのあとに真の生存競争が始まるということなんですね。
エハラマサヒロただ賞レース後の1年間ってかなりしんどいんですよ。全国ネットの番組にバンバン呼んでもらえて、だけどキャリアも実力も未熟だからコテンパンにやられて、爪痕も残せないままに次の番組に飛び込んで──。
──新ネタを作る時間もなくなりそうな忙しさ……。
エハラマサヒロそれも大きいですし、あとは新ネタを提案しても、たとえば僕の場合だと「それはまた今度で、とりあえず矢野顕子(のモノマネ)をお願いします」みたいにお馴染みのネタばかり求められてしまう。あの頃は精神的にも肉体的にもヘトヘトで、好きなことをして楽しく人生を生きたいと思って芸人になったのに「あれ?」ってなってましたね。
──R-1には2016年を最後にご本人として出場しないまま、出場資格がなくなりました。やり残した感はないですか?
エハラマサヒロ2016年のハリウッドザコシショウ、2017年のアキラ100%の優勝で完全にわかったんです。構成よりも瞬発的な笑いが求められるようになったこの大会では、俺はもう勝てないって。そういう意味では、それ以前の大会で決勝4回に進出できたことで悔いはないです。
「芸人という肩書にこだわりない」仕事観を変えた家族との出会い
エハラマサヒロ7〜8年前にテレビはもういいやと思って、一切出なくなった時期があったんです。家族との時間を最優先にしたかったので、それまで全国を飛び回っていた営業や劇場もスパッとやめました。芸人という肩書にもまったくこだわりはないですしね。とか言うと、芸人界隈からめっちゃ嫌われるんですけど(苦笑)。芸人って古きを重んじる村社会なところがあるので、お笑いと違うことをやろうとする同業者を否定するところがあるんです。
──若い世代の芸人の台頭で、その風潮も変わってきたのでは?
エハラマサヒロいや、なかなか根強いですよ。それに“テレビに出ていること=芸人の価値”という風潮も、まだまだ変わってないと思います。でも、テレビに出なくなってしばらくした頃、両親が倒れたことがあって、母親から「あんたがテレビに出てるの見たら元気になるねん」って言われたんですね。それをきっかけに改めて舵を切り直して、テレビのオファーも積極的に受けるようになりました。ただ「好きなことをして楽しく人生を生きたい」という根本は変わってないので、テレビでもなんでも嫌々な仕事はしないです。
──"仕事を選べる"のは、YouTubeという自分のメディアが好調なことも大きいのでしょうか?
エハラマサヒロたしかにYouTubeの収入ボリュームは大きいですけど、僕にとってYouTubeは仕事じゃないんです。子どもが自由に楽しんでる様子を撮ってるホームビデオのようなものだから、たとえ企業から案件をいただくとしても子どもに「これおいしいね」みたいなセリフを言わせることは一切しないし、もし子どもが「もうYouTubeはやりたくない」と言ったら明日にでもやめます。
──では、エハラさんにとって仕事とは?
エハラマサヒロ子どもの頃はしんどい思いをした代償としてお金をもらえるのが仕事だと思っていました。だけどそんな大人の姿を見ていたら、子どもも将来に夢を持てない。僕は子どもに楽しんで仕事している姿を見てもらいたいんです。逆を言えば、楽しく仕事ができる状況を作るためにしんどい思いをするのはぜんぜん苦じゃないですね。
コミックエッセイ『エハラんち 芸人7人大家族 ドタバタ奮闘記』
【価格】1,300円(税抜)
【発売日】2021年11月26日
大人気YouTube「エハラ家チャンネル」でおなじみ、芸人7人大家族のエハラ家がマンガに! 3女2男、5人の子どもを持つパパとして奮闘するピン芸人エハラマサヒロ初の単行本。得意のイラストを活かし、初めてマンガ連載に挑戦した著者が子どもたちの成長の日々を中心に、ほっこり笑顔になる大家族の成長絵日記を描く。描き下ろしマンガ「エハラ夫妻の恋物語 まーくんとちーちゃん」をはじめ、「写真家・前康輔さんが撮るエハラ家」「大家族を支えるママインタビュー」「3姉妹からのラブレター」「エハラ夫妻の人生相談」「次男の出産フォトドキュメント」など、単行本オリジナル企画も盛りだくさん。家族みんなで楽しめる一冊だ。
■エハラマサヒロYouTube 「エハラ家チャンネル」はこちら(外部サイト)