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伊藤沙莉、兄・オズワルド伊藤の活躍がモチベーションに「アドバイスに感謝」
これまでになく悩んだ役、“心”にたどり着いて「いろいろなことを頑張らなくなった」
子役にして、すでに高い演技力が評価された伊藤は、その後も作家性の強い映像クリエイターのもと、個性的な役柄でキャリアを積み、実力派女優としての地位を確立したと言える。だが、そんな伊藤をもってしても、最新映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』(11/5日劇場公開&Netflix全世界配信))で演じた「かおり」という役は、「今までで一番悩んだ役」だという。
同作は、現代とは少し価値観の異なる1990年代の恋愛から現代にいたるまでの期間を描いた作品。伊藤が演じたかおりは、森山未來扮する佐藤と1990年代に出会いながら、理由を告げることもなく去ってしまう女性。“普通”が嫌いで、自身の感性を信じ、映画やアート、ファッションを楽しむサブカル系女子だ。
「佐藤がつかみ切れなかった女性が、その状態のまま描かれているのだから、まったくヒントがないんです。そんなキャラクターをどうやって魅力的に表現するのか…相当悩みました」
悩みに悩んだ末に「まずは外見から」と考え、衣装チームやメイクチームと入念なやり取りを行った。そこから内面に入っていければ…と考えていたというが、一番大切な心の部分にたどり着くのに時間がかかってしまったという。
「グルグル悩んで最終的にたどり着いたのが、かおりちゃんという女の子が、そこまで特別な存在なのか? ということ。佐藤の視点で見れば輝いて見えたのかもしれませんが、ちょっと俯瞰で見たら、絶対的にオンリーワンという存在ではないのかなと思って。そこに落ち着いてから、いろいろなことを頑張らなくなりました。全部を捨てるという選択肢をとりましたね」。
どんな役でも「出たい」伊藤、「全部やりたいって言わないで」と怒られる
「そういう評価をいただけるとすごく嬉しいです。私は面白いと思ったら、作品が大きかろうが小さかろうが、どんな役でも『出たいです』と言います。でも、最終的にはマネージャーさんや事務所の社長さんが総合的に判断していると思うので、良い作品に参加できているのは、事務所の方々のおかげなのかなって思います」
女優としての作品の質だけではなく、声の芝居や、バラエティ番組への出演など、活躍の幅は年々広がっている。
「実は、マネージャーさんから『全部やりたいって言わないで』って、よく怒られるんです(笑)。それくらい魅力的なお仕事が多いのですが、大好きな家族の次に信頼している事務所の方々なので、その判断はお任せしているんです。私にとって事務所は、東京の家族みたいなもの。だから、どんなお仕事でも信頼してやらせてもらっています」