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危機的状況から生まれたラジコが救世主に? 若者リスナー急増は「ラジオへの先入観がない」

  • 『radiko』アプリアイコン

    『radiko(ラジコ)』アプリアイコン

 近年、若者をはじめ再び盛り上がりを見せるラジオ。その勢いはコロナ禍でさらに加速。スマホやパソコンからラジオが聴けるサービス『radiko(ラジコ)』によると、ラジコの月間ユーザー数はコロナ禍以前の昨年2月から約1ヵ月の間で約150万人増加し、900万人を超えた。さらに、10代リスナーの30%が昨年3月以降にラジコの利用を開始しているという。一時期は低迷期を迎えたラジオだが、いかにして若年層から再脚光を浴びたのか。今では当たり前となったラジコの「タイムフリー」や「エリアフリー」の誕生の背景にはどんな苦労があったのか? 株式会社radiko取締役業務推進室長 坂谷温氏に話を聞いた。

コロナ禍で10代リスナー増加、非常事態にラジオの日常会話感が人気つかむ 「先入観なく、フラットに楽しんでくれる」

株式会社radiko取締役業務推進室長 坂谷温氏

株式会社radiko 取締役業務推進室長 坂谷温氏

 株式会社radikoが設立した2010年、ラジオ業界は苦境に立たされていた。2000年頃、まだ270万台ほど出荷されていたラジオ受信機は、2010年には150万台にまで減少(JEITA 電子情報技術勧業協会データ参照)。ラジオ広告費も約2000億円から約1300億円と大幅に減少していた。

 「そんな中、ラジオ業界の統一の課題解決プラットフォームとして『radiko(ラジコ)』はスタートしました。株式会社radikoが設立されたのは2010年の12月。ちょうどこの頃からスマートフォンの普及が広がっていましたので、ラジオ受信機を持っていない方でも、スマホでラジオ番組を楽しんでいただけるようになりました」(坂谷氏/以下同)

 誕生から着実に成長を続けてきたがラジコだが、コロナ禍での若者世代のユーザー数の伸びについて「想定を超える」事態が起こっているという。月間ユーザー数はコロナ禍以前の2020年2月から約1か月の間で約150万人増加し、900万人を超えた。特筆すべきは10代のユーザーの増加だ。ラジコの利用開始時期を聴くアンケート(2020年11月実施)によると、10代(15〜19歳)ユーザーの約30%が、まさにコロナ禍が世間を脅かし始めた「2020年3月以降」に利用を開始。他世代では約10%〜15%の割合だったことを考えても、かなり際立った傾向である。

 若者のユーザーが増えたことについて坂谷氏は「コロナのニュースなど暗い情報が多い中、ラジオはいつもと変わらない日常的な会話が聴けるので“ほっと”できますし、無料で楽しんでいただける気軽さも若者にフィットした理由だと思います。中高年世代には、音声メディアが勢いを失っているというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、10代の方々は、面白いコンテンツは音声でも動画でもなんでもフラットに楽しんでいただける傾向があると感じています。ラジコに触れた若い世代が、自身の好きなタレントやアーティストが番組をやっているということを知り、純粋に聴きに来てくれたのでは」と分析する。

生き残り続けたラジオカルチャー 「教室」から「SNS」へと舞台移し、「パーソナル」から「コミュニティ」へ

 一般的にラジオはコアファンの基盤が強い。いわば「パーソナリティとリスナーの信頼関係」で、その時間、その番組を聴いている人だけに発せられる情報がある上、ハガキ職人文化など、パーソナリティとリスナーの距離も近い。特に70年代から80年代は深夜番組を中心にこの傾向が強く、若い世代にとってラジオはカルチャーの最先端であり、翌日学校で“聴いた人だけ”の共通の話題となり、リスナー間の結束も強まるといった現象が見られていた。

 こうした“ラジオカルチャー”は今に至るまで、基本的に変化なく存続していると言う。「昔と変わらず、ラジオに愛を持って出演されるパーソナリティやアーティストは多いです。ラジオだからこその発言や初出しの情報など、ラジオが情報の起点となっていることは非常に多いと思います」

 「一方、スマホの普及でSNSの利用が盛んになりました。その結果、リスナーとパーソナリティとの相互コミュニケーションがさらに活性化されているのではないかという印象です。リスナー対パーソナリティの1対1ではなく、その特性上、自分がSNSに発信したものが多くの人の目につくようになり、学校の教室からSNSへ舞台が変わっただけということかもしれませんが、パーソナルメディアとされてきたラジオに、コミュニティメディアという要素が付加されたようにも感じます」

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