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『バナナグフ』爆誕のきっかけは、“ツノ”の付け間違い 「固定概念に縛られて思考が硬直化するのはよくない」

 ジオン公国のモビルスーツ(MS)・グフといえば、ザクと並びガンダムシリーズで人気の敵役。多くの人が青い機体をイメージするが、モデラーのワンチームイチさん(@deguichi_one)は、大胆に黄色く塗装した『バナナグフ』を作り上げた。「1年戦争緒戦、MS不足であった連邦軍は鹵獲機(ろかくき=戦地などで敵軍から奪い、自軍に転用した機体)を積極的に運用。味方からの誤射防止の為、塗装は黄色主体に変更、更に肩のスパイクは敢えて逆に付け替えた」と物語を設定したが、その誕生の背景は意外なものだった。

3月末にツイッターでも盛り上がった「#春のバナナグフ祭り」の真意

――ガンプラを本格的に制作し始めたのはいつ頃からですか?
ワンチームイチ昭和の時代、小学生の頃ですが、旧キットのザクを手にした時に感動しました。当時、ロボット物で敵メカがキット化されるなんて事がなかったですから。小学生から中学生まで20体くらいは作っていました。その後、疎遠になっていましたが、昨年、コロナ禍でガンプラ復帰してからは、月5〜6体作っています。復帰後約1年で80体位ですかね。

――復帰後、かなりハイペースで制作されていますね。なかでも、人々の目を引いたのが『バナナグフ』と題された、黄色い機体のグフです。通常、青が一般的なグフをこのように仕上げようと思ったきっかけを教えてください。
ワンチームイチツイッターで相互フォローさせて頂いてる、城戸敬太さん(@ZsTouSz2WjvrBhx)が、グフの画像をアップされていたのですが、その肩アーマー部分についている“ツノ”が逆さまについていたんです。間違ってつけられた肩の“ツノ”が、「まるでバナナだな」と思ったら、黄色で塗るしかなくなりました(笑)。
――城戸さんのグフを最初に観たとき、どのようなことを思いましたか?
ワンチームイチ自分の中の「ツノはこうあるべきだ!」という固定概念があったことに気付いて、ショックを受けました。そして、城戸さんは「絶対直すべきではない」と思いました。偶然とはいえ、このミスを作品の個性として受け入れるべきだと。大げさにいうと、ガンプラだけの話しではなく、社会の寛容性に関わることだと思いました。

――実際、城戸さんは自分への戒めとして、修正せずにそのままの形で作品を発表され、この作品に感化されたモデラーたちが「#春のバナナグフ祭り」として、肩の“ツノ”を逆につけた作品を発表されました。
ワンチームイチ失敗は成功のもとです。ミスはみんなでフォローするもの。既成概念や固定概念に縛られて思考が硬直化するのはよくないことだと思い、ツイッター上の皆さんだけでも、自分の思いが伝わればいいなと、こうした発信をしました。まぁ伝わったかどうかはわかりませんが(笑)。

発想力よりもくだらないネタでもやり切る、バカさ加減が重要

――話をワンチームイチさんの「バナナグフ」に戻します。肩アーマーの“ツノ”をきっかけに黄色く塗装することは確定したわけですが、その背景にはどのような物語を想像したのでしょうか?
ワンチームイチ普通、青のモノが、黄色になる訳ですから、通常の設定ではダメだなと思いました。そこで第二次世界大戦時、ドイツ軍が敵軍の鹵獲戦車を活用する際に、同士討ちを防ぐ為、かえって目立ちやすい塗装に変えたというエピソードが頭に浮かび、それを設定に流用しました。ツイッターの画像と共に乗せた設定も、そこから派生しています。

――なるほど、鹵獲機であれば、黄色である理由もわかりますね。制作の際、どのようなところに苦労されましたか?
ワンチームイチやはり黄色への塗装ですね、バナナに近づける為に下地に黒を塗ったり、黄色も異なる黄色を2色重ねて塗りました。

――本作発表後も、多くの人から反響がありました。
ワンチームイチもともとは城戸敬太さんの間違いグフがもとなんですが、それを知らない方でも、「バナナ風が新鮮」「かわいい」「面白い」という反応をたくさんいただきました。内輪で受ければいいやって作ったので、びっくりしました。
――本作をはじめ、ウーバーイーツのカバンを背負った「ウーバーガンダム」など、ワンチームイチさんは、以前から実にユニークな発想でガンプラを楽しんでいらっしゃいます。その発想はどういったところから浮かんでくるのですか?
ワンチームイチ「こうなったら面白いかな」というのは、日々たくさんの方が思いつくと思いますが、自分は面白いと思ったら、本気で設定と制作を考えて実行します。自分が楽しいと思う事はやる。評価なんか気にせず自由にやるがガンプラにおける信念ですね。思いつく力より、くだらないネタでもやり切る、バカさ加減は人よりあるかもしれません(笑)。実際、思い立ったら即実行しているので、あまり溜めているアイデアはありません。

――最後になりますが、ワンチームイチさんにとってガンプラとは?
ワンチームイチ自由の象徴、、白いキャンパスですかね。先ほども申し上げた通り、既成概念や固定概念に縛られるのではなく、ミスさえも個性として受け入れ、自由な発想で、ガンプラを表現できたらいいなと思ってます。あくまでも自分が楽しむのが大前提ですが。決して思想信条を伝える為にガンプラやってる訳ではありません(笑)。

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