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ガンプラモデラーを惹き付ける?“戦争の悲しさ”を伝える代弁者に、ザクの“悲劇的な哀愁”

 ガンダムというとモビルスーツの戦いが魅力の一つ。ガンプラモデラーにもその名シーンを表現する人も多いが、なかには、その戦いの裏側を想像して表現する人も。MAEさん(@MAE_model)とdachさん(@dach_afnw)は、ガンプラを使って戦争の悲しさを表現したモデラー。しかも2人とも、そのモチーフにジオン軍の量産型兵器「ザク」を選んだ。なぜ悲劇の象徴に「ザク」が選ばれるのか?2人に話を聞いた。

“ひとつ目の巨人”の朽ちた姿は“戦いの後”の表現に最適

 MAEさんの作品『平穏』は、主人公である老人の子どもや孫が巻き込まれた戦争が終わって数年後を描いたもの。サビて朽ちた「ザク」に老人が寄り添った姿から、“過去”を想像し、「人の命を奪う戦争は憎むべきものだが、その犠牲の上に今の平和が成り立っている。その平和な世の中を生きる者たちは、犠牲者への敬意を忘れてはならない」という想いを背景に制作された。

 平和への祈り、戦争の悲しさを表現するにあたり、他のモビルスーツ(MS)ではなく「ザク」でなければいけない理由があったと、MAEさんは言う。
「『機動戦士ガンダム』が始まった時、私たちが最初に目にしたMSが『ザク』でした。宇宙空間を静かに進む“ひとつ目の巨人”は、とてもインパクトがあり、今から何が始まるのか、とてもワクワクしました。もっともポピュラーであり、象徴とも言えるこの兵器が朽ち果てた姿は、“戦いの後”を表現するには最適だと思いました」
 ガンダムの“名敵役”として幾度となく名シーンに登場する「ザク」の枯れ落ちた姿は、戦いの終結を表現するのに最適といえる。MAEさんは、「その姿が片づけられず、その場に残ることに意味がある」と付け加える。
「“兵器の残骸”は、その場所で過去に行われた戦いの象徴であり、その戦いの悲劇を思い起こすきっかけになります。そのような戦争遺跡は現代でも残されており、平和問題を考えるための大切な資料となっています。このザクは『if』の世界ではありますが、戦争遺跡と重ね合わせて見てもらうことで、失われたモノへの“愁”を感じてもらえるかも知れません」

 そんなMAEさんはガンダムで描かれる戦争を、現実の戦争に重ねることがあるという。
「一年戦争でも、駐留する兵士に悩まされる民間人や戦争孤児の問題などが描かれており、現実の戦争を思い起こさせるストーリーには心が痛みます。『戦争はやっちゃいけない』これは誰もが解っていることですが、他方、戦争を望む人たちや国々があるのも事実です。この『平和』と『暴力』は共存できるものではありません。戦争は暴力をもって『破壊と人道危機』をもたらします。これは、ガンダムの世界でも繰り返し伝えられていることです。これらを現実世界で繰り返さないよう、少しでもこのような暴力が起きないよう、悲劇が繰り返されないような世界を願っています」

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