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生理は“隠す“ものから“共有”するものへ 「ルナルナ」20年、女性のサポートの転換期と新たな課題とは
サービス承認に7年も、生理の“タブー視”は時代とともに変化
多くの方が手帳などアナログで管理していた生理日を、モバイルで管理出来たら便利なのではという発想から、2000年にガラケーでサービスを開始しました。スマートフォンの普及に伴い、2010年からはスマホ向けのサービスを開始しています。
――スマホになってから、認知度も上がりましたか?
CMや口コミなどで広がっていたので、ガラケー時代から認知度はありました。スマホに移行した後も、元々知っていてダウンロードしてくださった方が多かった印象です。ただ、ガラケー時代は着うた(R)などと同じで、お金がかかるサービスがメインでした。でもスマートフォン向けのアプリは基本無料でお使いいただけるので、ユーザー数が拡大するポイントになりました。
――利用者数や年齢層に変化はありましたか?
スマホ向けサービスの開始から10年経って、昨年の11月の時点で1600万ダウンロードされています。利用者の分布は大きく変わっていませんが、スマホの普及率に比例して幅が広がっている状況です。簡単な生理日管理機能であれば無料で使えるので、学生さんにもたくさんご利用いただけるようになりました。
――この20年間で、生理への理解が変化してきている実感はありますでしょうか?
かなり変化してきたと思います。「ルナルナ」は2000年にスタートしていますが、生理に特化したサービスだったので携帯キャリア3社すべてに承認いただくまで7年間かかりました。CMでも生理という直接的な表現が引っかかって調整をすることもありました。いまだにタブー視する傾向は完全になくなってはいませんが、テレビでも生理というワードが普通に放送されているのが一番変わったポイントだと思います。
――消費者の方の考え方も変わってきているのでしょうか?
そうですね。ホルモンバランスによる体調変化や妊活をされている方向けに妊娠しやすい日をパートナーに共有する機能があります。ガラケー時代は、女性からも男性からも「パートナーと共有することに抵抗感がある」という意見がありました。しかしスマホに移行後に、改めて機能を追加したところ「待ってました」という声を多くいただくことができました。
――ポジティブな意見に変わったんですね。
男性側も女性の不調に対して意識を持つ方が増えましたし、気づかってくれることが恥ずかしいなどではなく、ありがたい、素敵だなって感じてもらえるようになってきたのではないでしょうか。隠すものではなく、共有する意識に変わったのだと思います。
――確かに、一昔前と比べて隠すものではない印象に変化してきたように感じます。
TwitterなどのSNSでも、生理に関して呟く方が増えてきています。昔は、生理っていうワードを使わずに“あの日”とか“女の子の日”、“ルナルナがきた”なんて言っていただくこともありました(笑)。今年に入ってからは特に、著名人の方がPMSの話をしたりと、普通に話していいことなんだなという意識が広がりつつあるのを感じます。
10年以上のデータを解析してアルゴリズム化 妊活に向けた取り組みが大きな転換に
大事にしていることは、ユーザーに寄り添うことです。そのため、日々お客様へのアンケート調査を行って、皆様の反応を見ながらサービスの改善を進めています。女性の意見は多様なので、様々な声を取り入れつつ、配慮すべきところを慎重に検討していますね。
――これまでのサービス改善の中で、画期的だった機能はありましたか?
1つは、妊活の方向けへの有料サービスの“仲良し日予測”です。排卵予定日は、どんな生理周期の方でも一律マイナス14〜16日をひいた数値という考え方の“オギノ式”がありますが、女性の生理周期は長い方もいれば短い方もいて幅があります。一律の計算式ではなく、お客様に合った予定日や妊娠しやすい日があるのではという仮説から、10年以上の蓄積されたデータを解析してアルゴリズム化しました。お預かりしたデータを有効活用するという意味では、画期的な取り組みでした。
――自分で手軽に予測することができるのは、とても便利ですよね。
妊娠したいけどできないという悩みがとても多かったことが開発に至った経緯で、妊活のファーストステップとしてご利用いただく方が多いです。それと、もう一つ新しい取り組みとして、自分のデータを婦人科にかかる際にお医者さんに見せることができる“ルナルナメディコ”というサービスも始めました。
――自己管理で使っていたデータを、そのまま医療機関で活用できるのは画期的ですね。
せっかく基礎体温をスマホなどで記録していても、婦人科によっては専用の紙に書きうつさなければならないケースもあり、それが面倒で通院をやめてしまうということもあるようです。受診をサポートするツールとしてご利用いただけるようになったことは、一つの転換期でもありました。