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ラジオの魅力は若年層にも浸透…イルカが語る、30年続く人気番組への思い「ラジオは時空を超える」
若いリスナー増で昭和の歌の再注目を実感「荒削りだからこそ、新たな発見がある」
イルカ 『イルカのミュージックハーモニー』はリクエストで成り立っている番組ですから、私が知らない曲がかかることも多いんです。そこから刺激も受けますし、プロデュース面で勉強になったりもします。
――この30年で、ラジオはどう変化したと思われますか?
イルカ 若者がテレビを観なくなったと言われますが、この番組では若者が増えているんですよ。また、東日本大震災でラジオが改めて見直されたとも思いますし、radikoの登場によって劇的な変化も感じます。「タイムフリーで聴いてます」というお便りもたくさんいただきますね。なんでも、今の若い人の間で昭和の歌が流行り出してるらしいじゃないですか。そんな若者たちが『イルカのミュージックハーモニー』を調べてみたら、いろんないい曲が流れてくるから聴き始めた、そんな声も届きますね。
――若者に人気の米津玄師さんやあいみょんさんなども、どこか懐かしい昭和の匂いがすると言われていますもんね。
イルカ 新しい方々はいろいろな音楽を聴いていて、私たちよりも洗練されている印象です。私たちの世代はもっと荒削りですね(笑)。だからこそ、今聴いても新たな発見があるのではないかと思います。
ラジオ、着物作家、環境保全活動にも従事した50年「出発点はバラバラでも、基本は歌」
イルカ 最初は夫と2人で歌っていましたが、ソロになった時、みんなから1人でやるのは難しいだろうと言われたんです。そこを乗り越えたというのがまず、すごい奇跡。そして「なごり雪」という素晴らしい曲にもめぐり逢い、いくらでもコンサートができるとなった時に、私は2年間“冬眠”することを夫とともに決めました。周りからは「バカだなあ、一番儲けられる時に」なんて言われましたが、その頃から絵本を描き始め、子どもも生まれた。夫から、「息切れしないでイルカらしい花を咲かせていくには、ここで休むのが大切だ」と言ってもらい、勇気づけられました。
――50周年記念アルバム『あたしだってLove song!』も発売されます。
イルカ 絵本作家やIUCN 国際自然保護連合親善大使、着物の作家などいろいろなことをやってきましたが、やっぱり歌を作って歌うというのが基本にあるんです。コンサート、アルバム作り、そしてラジオなどいくつかの柱がありますが、出発点はバラバラであっても、ぐるぐると蜘蛛の糸を張るように今はつながっています。ぜひ聴いてみてください。
――最後にメッセージをお願いします。
イルカ 私と同じ60歳以上の方を、人生の“デザート世代”と呼んでいます。若い頃に頑張って、ある程度蓄えも時間もあって、一番いいデザートをもらえる世代。その中には音楽とともに歩んできた人生があると思うので、『イルカのミュージックハーモニー』で当時の音楽にときめいてもらい、その気持ちを元気に変えてもらえたら。私も、1日でも長く番組を続けられたらうれしく思います。
(文/衣輪晋一)