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「離婚を勧めているのか?」批判から一転、母や妻描くコミックエッセイの先駆けに…漫画家語る女性の生き方

40過ぎの子持ちの主婦がデビュー、当時はほのぼの系漫画しかなかった

  • 『離婚してもいいですか? 翔子の場合』(KADOKAWA)

    『離婚してもいいですか? 翔子の場合』(KADOKAWA)

  • 『ママ友がこわい』(KADOKAWA)

    『ママ友がこわい』(KADOKAWA)

――少し遡りますが、デビューは2013年ですね。

 「はい。私は40歳を過ぎて漫画を描き始めましたが、40過ぎの子持ちの主婦がデビューというのは、当時珍しかったと思います。若い頃に少し描いていたんですが、根性がなくて一旦やめていて。でも大人になって、いろんなことを経験して意識が変わり、また描くようになりました」

――野原さんが描き始められた当時、『離婚〜』『ママ友〜』のような、主婦やママたちの悩み、リアルな家族の内情を描くコミックエッセイは少なかったのでは?

 「あまりなかったと思います。家族ものの漫画でも、ほのぼのとした、明るく楽しい雰囲気の作品が多かったと思いますね。小説ではイヤミス(読んだ後に嫌な気分になるミステリー)が流行っていましたけど…」

――その意味では、野原さんはこのジャンルの先駆け。女性の方から支持される作品が多いですが、これらはどういうところから生まれてくるのでしょうか?

 「まず編集の方から企画をもらって、それに返す形で作っています。具体的なネタは、人から聞くこともあるし、自分が経験したこともあるし、ネットから拾うこともあります。意外と実話の方がすごかったりしますが、ストーリーはあまり殺伐とならないようにしています(笑)」

――シリアスな内容に反して、絵柄はとても可愛らしいですね。

 「デビュー作を描いていた時、モヤモヤしたりイライラして苦しかったけれど、子どもも読むかもしれないと考えると、あまりドロドロには描きたくなくて。ケロッと描きたかったので、この絵柄になったんですね。多くの主婦の方は疲れているだろうから、圧の強くない絵がいいのかなと。お茶の時間などに、ちょっと片手間で読めるようなものがいいのではと思います」

ネットやSNSで激論に、真理描く漫画家が見た女性の生き方

――ちなみに、最新作『妻が口をきいてくれません』は、同じ家族の問題を女性目線、男性目線でそれぞれ描いていて。これがネットやSNSでは、男女の論争になるほどものすごく盛り上がっていました。

 「すごい激論になっていて、驚きました(笑)。みんな、熱い思いで読んでくれるんだなと思います。男性側の見方については、自分の想像もありますけど、ときどき男性方が吐き出す『うちの嫁はさ〜』みたいな愚痴も参考にさせてもらっています(笑)。」

――昨今はネットやSNSで自分の思いを吐き出したり、漫画にして発表する人も多いです。そんな状況について、野原さんはどうお感じですか?

 「私自身もネットからヒントをいただくことも多いですが、日記などを読んでいると『こんなことまで書いちゃってるんだ。そこまで吐き出すか!?』と胸が痛くなることもありますね」

――吐き出せる場があることはいいけれど、難しいところですよね。現代の家庭における女性の生きやすさ、生きづらさについては、どう思いますか?

 「情報がありすぎて情報迷子になってしまったり、SNSやLINEで見なくてもいい悪口を見ちゃったり…そういうところは生きづらさを感じますね。一方で、私が子育てしていた頃と比べると、今は『家事・育児は女性だけのものじゃない』という意識が高まっていますし、離婚することも恥ずかしくない時代になっています。そこは女性としての生きやすさだと思います」

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