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「かね」と「ぶっけん」がすべての世界…ファミコン版『桃鉄』で知った人間の怖さ

左/『スーパー桃太郎電鉄』(1992年/ハドソン) 右/『桃太郎電鉄』(1988年/ハドソン)

左/『スーパー桃太郎電鉄』(1992年/ハドソン) 右/『桃太郎電鉄』(1988年/ハドソン)

 ゲームソフト所有本数3万本、約3000万円をゲームに捧げた芸人・フジタが、『ファミリーコンピュータ』のソフト=“ファミカセ”をさまざまな角度で切り取り、ピックアップ。第19回のテーマは、「『かね』と『ぶっけん』がすべて…ファミコン版『桃鉄』で知った人間の怖さ」。

フジタが感じるファミコン版と最新版の差とは?

 11月に最新作『桃太郎電鉄 〜昭和 平成 令和も定番!』(2020年/KDE)が発売され、大ヒット。『有吉ぃぃeeeee!そうだ!今からお前んチでゲームしない?』『勇者ああああ〜ゲーム知識ゼロでもなんとなく見られるゲーム番組〜』(共にテレビ東京)などでもプレイする様子が伝えられるなど、話題となっている“桃鉄”。その元祖となるファミコン版は今の形式とはだいぶ違う形だったとフジタは語る。

「1作目の『桃太郎電鉄』(1988年/ハドソン)は、“桃鉄”という看板こそついていますが、今のルールとはだいぶ違います。プレイヤー全員が同じ駅を目指さずに、目的地の駅がそれぞれ違ったり、まったく別物ですね。
 今の“桃鉄”のベースとなっているのが2作目の『スーパー桃太郎電鉄』(1992年/ハドソン)です。カードが生まれ、借金が生まれ、駅のマスにアクションが発生するようになり(プラスマス、マイナスマス、カードマスなど)、目的地から一番離れた人に貧乏神(ボンビー)がとりつくようになった。
 すごろくゲームとして1作目の『桃太郎電鉄』も面白かったですけど、『スーパー桃太郎電鉄』は、より競技性が増した印象です」

 第1作誕生から33年が経過し、2作目の『スーパー桃太郎電鉄』以降、基本ルールは変わらないものの細かいマイナーチェンジし進化してきた同シリーズ。だが、初期と今の作品には違いががあるとフジタは言う。

「最新作も含め、最近の桃鉄は、ライトな感じが増え、逆転が起こりすぎている印象です。昔の桃鉄はもっとカーストがはっきりしていて、一度落ちてしまうとなかなか抜け出せなかった。抜け出せないんだけど、なにかきっかけで逆転したとき、すごく爽快。苦労するし、逆転できないケースが多いんだけど、それが良かったと思います」

 そんなフジタがピックアップした、ファミコン版の”桃鉄”で印象に残る“イラっ”としたこと、させたことの記憶とは?

一番の脅威は、総資産の数十%を持っていくえげつないカード

 億や兆の単位でスッていくスリの銀次はもちろんですが、僕が一番脅威に感じていたのは、「マルサカード」ですね。特にゲーム後半の怖さたるや半端なかった。カードを使ったプレイヤーも含む、誰かの“脱税”を暴き、総資産の何%という、えげつない額を持っていく。あの独特の音楽も相まって、本当に怖かったんですね。

 ただ、圧倒的な怖さと同時に、個人的にはこのカード大好きなんですよね。結局「税金」が一番強いという、世の中を皮肉るというか、メッセージ性の強さがなんとも言えない。ゲーム中、どんなに健全経営していても持っていかれる理不尽さ。たまらなかったですね。

 僕はゲーム序盤、カード集めを行うプレイスタイルなので、特にゲーム序盤は借金を持ちがちなんです。でもこの「マルサカード」で、借金がある人にマルサが入ると、帳消しにしてくれるんで、自分が逆境にいるときは、有利なカードでしかない。真面目に目的地を目指して資産を増やしているプレイヤーからは煙たがられていましたね。

 カードからもう一つ、これも妨害系のカードですが「うんちカード」には、楽しませてもらいましたし、辛酸をなめさせられました。線路上にうんちを置いて、他のプレイヤーの往来を邪魔するというものですが、その特性を最大に生かせるのが海路。船で目的地を目指す際に、1本道の途中で置かれると、引き返して陸路で大回りして目的地を目指すことが本当に嫌でしたし、逆に自分がその状況であれば、容赦なく置いていました。あと、出入り口が1つしかないようなところにおいて閉じ込めたりもしましたね。

 回避するために、「バキュームカード」を持っておいて、吸いとることができるんですが、カードは6枚しか持てないから、プレイヤーはどうしても特急系のカードを多く持ちたがる。「うんちカード」に備えて「バキュームカード」を持つ人は少なかったので、結構高い確率で引っかかったり、引っ掛けたりできましたね。

物件を勝手に売買する“あいつ”の存在が友情にひびを…

 第1作から第2作の『スーパー桃太郎電鉄』の一番の変化といえば、カードの誕生と合わせて、「貧乏神」(=ボンビー)の存在です。そしてこのボンビーが、厄介者でありながら、ゲームをより面白くさせ、シリーズをここまでの人気に引き上げた、大きなアクセントになったと思います。

 このボンビーは、本当に絶妙な加減で嫌なことをやってくる。勝手に本来の価格より高い価格で物件を買ってきたり、持っている物件を勝手に売られたり。特にある駅を「独占」で買い占めているときに、1軒だけ売られて、独占が崩れるのは本当に嫌でしたね。なので、物件を買い出して、盛り上がっていくゲーム中盤から後半は、なすりつけあいがすごかった。ガチで、友情にひびが入りそうなことにも何回もなりました。

 ちなみにこのボンビーは、『桃太郎伝説』『桃太郎電鉄』シリーズを手掛けたさくまあきらさんと共に「ジャンプ放送局」に携わってきたデザイナーの榎本さんがモデルとなっています。

 最後に余談ですが、僕はゲーム序盤、好んでボンビーに憑りつかれていました。というのも、「なすりつけカード」というものがあり、成功すると他のプレーヤーに借金をなすりつけることができたんです。冬のマイナス駅に飛び込んだり、「クレジット」で高い物件を買って、すぐに半額で売り飛ばして損益をだしたり。ゴールには近づかず、ボンビーも味方にして、借金を増やしまくり、「千葉」近辺の黄色いマスでひたすらにカードを引きまくり、いいタイミングでなすりつけて、目的地を目指す方向にシフトチェンジしていました。周りの友人からはだいぶ、ひねくれ者だとひんしゅくを買っていましたね。
◆インフォメーション
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