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ORICON NEWS
発売から30余年、『たけ挑』が“クソゲー”界の金字塔であり続けるワケ
北野映画との共通点も…スタッフが明かした“たけ挑”制作秘話
その制作の経緯について、以前、ORICON NEWSがタイトーに取材を行った際、当時の制作スタッフは「当時、たけしさんがゲームに凄く興味を持たれていて、たけしさんサイドからお話を頂いたんです。新たな“表現の場”としてテレビゲームに興味をもたれたのだと思います」とたけし発信だと説明している。
ヒントなどが少なく“不条理ゲーム”とも呼ばれる今作だが、「たけしさんの映画の中でも一見、無駄なことと思えるような不条理な展開ってあるじゃないですか。それって“たけ挑”も同じなんですよ」とコメント。映画『その男、凶暴につき』『アウトレイジ』などヤクザ映画の多いたけしだが、『たけ挑』でも商店街などでヤクザと戦うシーンがあるなど共通点があるのだ。攻略本を見れば、ルールが分かるゲームが多いが、攻略本を見てもなお難解で手間がかかるのが『たけ挑』の特徴。それはまさに、人間のマニュアルがないように、自分で時間を掛けて学んでいくしかないというメッセージを内包しているかのようだ。
“クソゲー”と“駄作”の違いは? ユーザーがバカ負けすることで生まれる愛情
ゲームにおいて、その難易度というのは絶妙な調整が必要で、そのあまりのハチャメチャっぷりにユーザーが“バカ負け”してしまい「クソゲー」として人々の記憶に刻まれている。単に操作性が悪かったり、バグが多くて先に進めないなどの“駄作”とはその点が異なるのだ。
現在は愛すべき“クソゲー”が生まれづらい土壌に!?
また、インターネットの発達により、発売直後のゲームの感想をすぐに読むことができ、YouTubeなどの動画サイトでゲームの詳細を事前に知れるようになった。かつての、雑誌に掲載された数枚の写真を頼りに買うゲームを決めることもあった時代とは隔世の感である。『たけ挑』も定価は5,300円ながら、当時80万本のヒットを記録。子どもにとっては決して安くない値段のゲームを買う時のあのドキドキ感、ワクワク感は何にも変えがたいインパクトとして記憶に刻まれている諸兄も多いことだろう。そんなノスタルジックな追憶に浸れる点も含めて、発売から30年以上経っても『たけしの挑戦状』がネットをざわつかせているのかもしれない。
(文=藤ノ宮士郎)
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