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「エンタ芸人」最後の砦? コウメ太夫、15年芸風を変えない凄み…マンネリから“様式美”へ

迷走していたコウメを支えた有田哲平の一言 加藤浩次、おぎやはぎも称賛する様式美へ

  • 錚々たる大物芸人に愛されるコウメ太夫

    錚々たる大物芸人に愛されるコウメ太夫

 そんな暗黒期も必死にもがいていたコウメに対し、「最近意味わかんないネタばっかりやってるじゃん。ずっと続けろよな。絶対ぶれちゃダメだからね」と助言したのが、くりぃむしちゅーの有田哲平だ。番組共演時に呼び出され、怒られると思いきやそう励まされたという。「それからずっと意味わかんないのやってたら、ほかの歌番組とかにも呼んでもらえるようになった」と、今年5月放送の『ボクらの時代』(フジテレビ系)でコウメ本人が語っている。

 また、加藤浩次がMCを務める『スッキリ』(日本テレビ系)にもたびたび出演しており、今年3月には「スプーンかと思ったらリンゴでした〜チクショー!!」という?なネタを披露。加藤は「概念がまったく違う。概念の枠が違うからさ、自分の概念の狭さに今、すごいショックを受けている」「50年生きてきてこんなにビックリしたことはない。概念がぶっ壊された。ダリの絵画だよね、ダリだよ」とコメント。Twitterでも「コウメ太夫」がトレンド入りした。6月にも同番組で、「世界の中心でチクショーと叫んだら〜シロップが落ちてきました〜チクショー!!」と“ブレなさ”を発揮。スタジオは沈黙に包まれたものの、やはり加藤は「コウメ太夫のネタを聞くと愕然とするのよ! 俺は何をやって生きてきたんだろうって」としみじみ語ったのであった。

 同業支持者はまだまだおり、おぎやはぎもコウメの“ブレなさ”を度々称賛している。前述の3月の『スッキリ』放送日には、自身のラジオ番組で「おんなじことをずっと続ける、この凄さっていうのをわかってほしい」「本当に悩むんだぜ?芸人って」と感心。また矢作兼が、以前番組の共演者にコウメ太夫のネタをやらせた際には、「コウメの『チキショー!!』っていう言い方や声量は誰も敵わない」と感じたとのこと。小木博明も「おんなじことを続けた人って、違う。もうプロ。職人なんだよ」と同意した。

 『水曜日のダウンタウン』(TBS系列)では、「決めゼリフが封じられた芸人の営業地獄説」「コウメ太夫にネタのダメ出しされた後輩、誰一人何一つ直さない説」「そんなわけがない芸人でも情報番組からコメンテーターのオファーが来たら、身の程をわきまえず引き受けちゃう説」などの企画で出演。かつてコウメが半年で劇団を辞めたことから「くっその役にも立たなかった!」と話す梅沢富美男も、『ミヤネ屋』(日本テレビ系列)で宮根誠司から「コウメ太夫をやってほしい」と頼まれて本当に実演しTwitterで公開するなど、今年芸歴23年、48歳を迎えたコウメ太夫だが、先輩後輩関わらず誰からもいじられる存在になりつつある。

トークが苦手なコウメにコント番組終了の逆風 それでもめげない原動力とは

  • 仕事と子育ての両立に励みながら、ブレない芸風で”様式美”と化したコウメ太夫

    仕事と子育ての両立に励みながら、ブレない芸風で”様式美”と化したコウメ太夫

 かつて志村けんさんやダウンタウンのコント番組に憧れ、「お笑いを仕事にするならやっぱりコントをやりたい」と話していたコウメ太夫。しかし、『エンタ』をはじめとしたコント番組が近年相次いで放送終了を迎え、トーク番組の時代となった。それに対してコウメは、「俺はもう、ひな壇で面白いお喋りなんて全然できませんから。もう一度コントの時代が来てくれたら俺、がんばっちゃうんですけどね」と語っており、いわば時代に取り残された感もあるが、同時に「続けていればまだチャンスはありますから。今はネットから売れていくことが多いので、そっちを狙ってます」とも話していた。

 実際、芸風を変えなかったことに対して数々の大物芸人から称賛が寄せられ、各番組での再出演が叶っている。また、当初は「つまらない」と批判を浴びながらもしぶとく続けてきたTwitterも、結果的に「コウメ太夫再評価」につながっている。同じエンタ芸人のオリエンタルラジオ・中田敦彦は教育系YouTuber、ヒロシはキャンプ、小島よしおは子どもの世界へと飛び立っていった。変わる勇気もあれば、変わらない勇気もあり、逆に変わらないでいることは、それなりの覚悟や見えない苦労が必要だろう。だからこそコウメ太夫の芸には、一種の“様式美”さえ感じるのだ。

 コウメはある時息子に、父が自分であることを友達に知られていじめられたりしていないか尋ねたことがあるという。すると息子からは、「全然ない。逆に(お父さんが)自慢」との答えが返ってきたそうだ。父は息子の自慢であり続けるために、これからも白塗りメイクで「チクショー」と叫び続けるのだろう。

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