ORICON NEWS
「ボロボロ」「妖怪のよう」悲しい末路たどる猫たち、地域猫活動の裏に“救えない”ジレンマ
写真:ねこけんブログより
薬品をかけられたボロボロの猫、まぶたの皮膚は溶けかかっていた
薬品をかけられボロボロになった猫(写真:ねこけんブログより)
「何かの薬品をかけられ、ボロボロでかわいそうな状態。猫を連れて帰る車の中は、薬品の匂いでこちらも具合が悪くなりそうなほどでした」と溝上氏は当時の様子を振り返る。猫の身体中の毛はゴツゴツと固まり、まぶたの皮膚は溶けかかっていた。『ねこけん』に到着後、すぐに猫をお風呂に入れて洗浄。だが、その後の血液検査で、かけられた薬品が原因で、急性腎不全と急性肺不全になっていたことが発覚した。
共同管理されているとはいえ、自由に歩き回る地域猫の暮らしぶりは、野良猫とさほど変わらない。エサはもらえるものの、自由だからこそ誰かに連れ去られたり、危害を加えられたりする可能性がある。そして、地域住人がそれに気付いたとしても、探したり、手当をするまでに至らないことも多い。薬品をかけられてボロボロになった猫の容態は安定したが、「一度不幸になった子を、再び不幸にはできません。だから地域猫だったこの子も、もう一度外に戻すつもりはありません」と溝上氏は語っている。
こぶだらけでまるで妖怪…あまりの惨状に“二度見”された地域猫
妖怪のようだった『にどみちゃん』はすっかり美猫に(写真:ねこけんブログより)
その猫はまるで、こぶがいくつもぶら下がった、妖怪のような姿をしていたという。ボランティアメンバーが、あまりの姿に思わず“二度見”をしてしまったことから、この猫は『にどみちゃん』と名付けられた。保護後によく見てみると、猫にぶら下がっていたこぶの正体は大きな毛玉。身体中の毛が玉状になって身動きが取れず、四肢の筋肉も落ち、神経にも異常が出てしまっていた。「動くたびに毛が引きつって痛かったでしょうね」と溝上氏は語る。
にどみちゃんはバリカンで慎重に毛を剃られ、ようやく毛玉の鎧から脱出できた。耳に入っていたVカットの跡(不妊・去勢手術済みの証)から、ある程度は管理された地域猫であることも明らかになった。ケガしていた後ろ足にも治療が施され、ブログでは「もう外には出ていかなくていいんだよ」と語りかけられている。その後、猫本来の可愛らしい姿を取り戻したにどみちゃんは、『千代ちゃん』と改名。あとは幸せな家族との出会いを待つだけ…と思われたが、検査で極度の貧血、心臓に病があることが発覚。今後、回復することは見込めないという。過酷な外の世界から保護されたものの、この猫の末路には悲しい現実が待っていた。