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ORICON NEWS
45周年『アタック25』加藤明子アナに聞く「出題」への矜持 今に活きる児玉清さんの“教え”とは?
プレッシャーは「ない」…想像力を大切に独りよがりにならない“読み”を
加藤アナプレッシャーは特にありません。プロが推敲した問題の束を収録日の朝、手にすると背筋が伸びます。もちろん、収録前には皆さんに読み方をチェックしてもらいます。思い込みというのもありますからよく注意もされます。それも安心感と言いますか(笑)。この道何十年という大ベテランの方もいらっしゃるチェッカーさんには頭があがりません。
──「出題」において、普段どのような準備をして収録に臨まれていますか?
加藤アナ体調管理の一言に尽きます。9年間のなかには、収録中に声を潰して後から声だけ録り直しをしたことも何度かあります。せっかく遠くからお越し頂いた解答者の皆さんに申し訳ないことをしてしまった……と苦い思いをしました。私は人一倍喉が弱いので、とにかく気を付けるしかない。毎晩喉に優しいといわれる「マヌカハニー」を舐め、「プロポリスキャンディー」は常に持ち歩いています。
──『アタック25』に9年間出演して気づいた、「出題」において一番大切なこととはどのようなことでしょうか? またそれは、ご自身のアナウンサー人生にどう活きていますか?
加藤アナ出題の先に、お子さんやお年寄りの方がいることを想像し、独りよがりの“読み”にならないことでしょうか。近年の問題文は、答えを1つに絞るため、構成作家さんが頑張ってもどうしても長くなる傾向があります。問題の本質が伝わるように、丁寧に読むことを心がけています。その結果、日々のニュース読み、ナレーション、司会などすべての業務において「想像力」を大事にするようになりましたね。
加藤アナ10年目と言われて、初めて「そうなんだ」と気付きました(笑)。特に出産後は仕事と家庭をどううまく回すかに必死で、年月を意識することなくあっという間に過ぎてしまったというのが率直なところです。ひょっとしたらそろそろ次の方へバトンを渡す時期なのかもしれませんが、3月に100歳を迎えた遠く離れて住む祖母が楽しみにしてくれるうちは続けたいなと密かに思っています。
また50代、60代になった谷原さんの『アタック25』での活躍も拝見してみたいですね。それまで私が出題者でいられるかどうかは別として、番組がこれからも末長く愛され続けるためにも、出題の声を通して「あぁ、今日も日曜か」と休日のゆっくりしたひと時を感じていただけるよう、丁寧な仕事をしていかねばと思っているところです。
加藤アナ手前味噌ですが、まずはクイズとしての精度が高いこと。そして解答数とパネル獲得数は決して相関せず、「アタックチャンス」で潮目が変わる、最後の一問で大逆転の可能性もあるなど、予想外の展開が多いことをこの9年間で実感しています。今年、小学1年生になった息子が何の先入観もなくオセロ感覚で『アタック25』を楽しみ始め、出題や答えについていろいろ質問してくるんですね。その様子を見ると、"昭和"が生み出したこの番組には普遍的な質の良さを感じます。テレビ離れとも言われる昨今ですが、ぜひ令和生まれの子どもたちにも家族と一緒に見てもらいたいと、祈りにも似た思いを抱いています。
文/児玉澄子