• ORICON MUSIC(オリコンミュージック)
  • ドラマ&映画(by オリコンニュース)
  • アニメ&ゲーム(by オリコンニュース)
  • eltha(エルザ by オリコンニュース)
  • ホーム
  • 社会・経済
  • 「真のメディアの姿」いまだネット称賛続く地方局アナ、震災報道でキー局に怒鳴った理由語る
ORICON NEWS

「真のメディアの姿」いまだネット称賛続く地方局アナ、震災報道でキー局に怒鳴った理由語る

「今後も伝えていきたい」営業職でも変わらない、山田さんの報道に懸ける思いとは

――今、様々な物議を醸している新型コロナウイルスに関する報道に対してはどのように思われますか。

山田理すごく難しい質問ですね。私個人の意見としては、震災の時もそうでしたが、本来的には危険をあおるのではなくて、じゃあみんなどうすればいいの?ということを伝えたらいいのではないでしょうか。例えば、岩手県内では感染者が1人も出ていない(3月26日取材時)中で、マスク・生活用品はどうなっているんだ?と伝えると危険をあおることになる。じゃあ目に見えないウイルスを相手に、映像取材で何を伝えられるかといったら、自宅で子どもたちが何をするべきなのか?改めて何に気を付けたらいいか?をやるしかないと思います。専門家の人の話もどれが正しいかわからない。行政批判をしていればいいということでもない。あおられると、変に怖い印象になっちゃう。どうしようどうしようとなる。もしかすると、全然関係ない話題のほうがいいかもしれない。正しい情報を知りたいのはもちろんですけど、どこかで切り離して、じゃあ違うことは、という思考も必要かなと。報道とはいえ、やはりテレビはエンターテインメント性がないとだめだと思っているので。

アナウンス、ニュースデスク、編集業務もこなしていた山田さん

アナウンス、ニュースデスク、編集業務もこなしていた山田さん

――「山田アナは今どうしているのだろう」というコメントも度々見かけます。5年前に営業部へ異動されたとのことですが、報道を続けたいとの思いはありましたか。

山田理当然ありました。あの時に生中継をした立場として、ずっと震災について取材する責任があると思っていました。今もあります。ただ、系列内でもアナウンサーが営業にいくのはよくあるケースで、会社員なのでしょうがないですよね。もちろん自分のスキルが違う形で生かされることも多々あって、営業でも勉強になっていることもたくさんあるので、楽しいですよ。最近、局内で部署間をまたいで業務をする制度も新しくできて、去年の夏は実況を手伝ったりもしました。

――今後の目標を教えてください。

山田理震災から数年後、奥尻町の町長をスタジオにお呼びしたことがありました。その時、町長は自信満々に「北海道南西沖地震から5年で、奥尻島は完全復興しました」と宣言されたことが印象的でした。それが岩手でいつになるかわからないけど、沿岸に住んでいる方が「復興したよね」という声が拾えるような仕事をしていきたいですね。岩手県全体では規模も違いますし、町が復興したからといって心の復興は進まない部分もあるので、すごく難しいですけどね。 “復興”という言葉ってこの9年間ずっと使われているものの、そもそもそのゴールが何なのか、ということも含めて、今後も伝えていきたいです。

 ネット上でどれだけ称賛されていても、「褒められることではない」「反省ばかり」と語る山田理さん。岩手朝日テレビでともに働いていた後輩によると、彼は「社内のみならず、岩手県中で引く手あまたな人」だと語る。
  • 今でもイベントで司会を務めることがあるという山田さん

    今でもイベントで司会を務めることがあるという山田さん

「今は営業部ですが、仕切れるし、話上手いからバンバン営業取ってきちゃって営業部が離さないんです。後輩への気遣いも、スポンサーへの気遣いもピカイチで、スポンサーもイベントがあれば司会に山田さん指名がくるし、優秀な人はどこに行っても優秀ですよね」と、彼を絶賛する声はネット上だけではないようだ。

 あのニュース映像を見る限り、正直インタビュー前は厳格で怖いイメージがあったが、実際の山田さんは驚くほど穏やかで、謙虚で、温和な方だった。一度は“報道に何の意味があるのか”と思い悩んだものの、営業職に移っても、“報道の人間”という意識は今も常にあるという。何らかの形で地元に貢献したい――。その思いは十分に果たしているだろうが、これからも山田さんの地元への恩返しは続く。

あなたにおすすめの記事

 を検索