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入信中は「一卵性親子」と呼ばれた母…カルト2世、脱退後の“家族関係”の変化とは

たもさんによるコミックエッセイ『カルト宗教信じてました。』、『カルト宗教やめました。』(彩図社)

たもさんによるコミックエッセイ『カルト宗教信じてました。』、『カルト宗教やめました。』(彩図社)

 母親がエホバの証人に入信したため、2世として25年間教えを信じてきた、たもさん。結婚、出産を経て、一人息子が病気に。エホバの証人では禁止されている「輸血」が必要だったことをきっかけに、脱退を決意。その後、自身の体験をTwitterでエッセイ漫画として投稿すると、「私も同じなので共感します」、「知らなかった世界なので一気に引き込まれた」など、さまざまな反響が。『カルト宗教信じてました。』、『カルト宗教やめました。』(彩図社)と2冊の本も出版。漫画を描くことに決めた理由や、その後の家族との関係について聞いた。

なかなか理解してもらえない特殊な親子関係

――子どもの頃から絵を描くことが好きだったたもさんですが、1作目の『カルト宗教信じてました。』を描き始めたのは脱退後でしたか?

【たもさん】『信じてました』を描き始めたのは脱退後でした。宗教を辞めた後に、これからは自由にやりたい事をしよう、人生を楽しもうと夫と話していて、まず頭に浮かんだのが「漫画を思いっきり描く」ことでした。

――描くテーマを決めた理由はありましたか?

【たもさん】ファンタジーでもよかったのですが描きたいテーマが無く、私自身もともと自分の身の周りの人や物事を漫画に落とし込むのが好きで。それなら宗教のことは避けて通れないので、思い切って描けば、他の誰にも描けないものが描けるのではないかと思った次第です。
――宗教内部のことや、ご家族のことなど、かなり詳細な内容となっていますが、詳細に描くことへの抵抗や、ためらいはありませんでしたか?

【たもさん】やはり実在の人物をモデルにするので多少は気を遣いました。特に信者ではない親族は、身内に信者がいることを知られたくないと言っていますし、信者である母親や姑の居場所を奪うようなことも、あってはならないと思っています。なので、なるべくどこの誰かが分からないようにしたのですが、分かる人には分かってしまうので、難しいところでもあります。

――出版後の反響はいかがでしたか?

【たもさん】やはり元信者だった、親や配偶者が信者だ、という方からの「共感した」という感想が多かったです。こんなに同じ悩みを抱えた人がいるのかと驚きました。

――印象に残っている感想は?

【たもさん】自分の話も漫画にして欲しいと、便箋にびっしり経験談を書いて送ってきてくれた方もいました。他の人も自分の胸の内を誰かに打ち明けたい、なんらかの形で発信して分かってもらいたいという思いがあるのかなと感じました。

父と母…入信中と脱退後は気持ちの面で全く逆に

――お母さまをきっかけにたもさんも入信されるわけですが、たもさんにとってお母さまはどのような存在でしたか?

【たもさん】入信中の母は私の1番の理解者で、「一卵性親子」なんて言われるほど、ずっと一緒にいました。今思えば母を独り占めして他のきょうだい達に申し訳なかったと思います。ところが宗教を辞めるとなった途端、母の態度は一変しました。

――どのように変わったのでしょう?

【たもさん】事あるごとに私を責めて、宗教に戻らないと縁を切ると言い出しました。それで母の愛情が「神」を間に挟んだ条件付きのものだったと知りました。普通の親子になりたいと願いましたが、この宗教にはそれが許されないんです。母と裏切り者の私が仲良くしていることが他の信者に知られたら密告され、今度は母が責められます。私は母の信条を尊重して、いまは一定の距離を保って接しています。

――逆にお父さまとの関係に変化はありましたか?

【たもさん】父は、私が信者だった時は母に暴力を振るうなど、ひどい反対者でした。当時私は父のことを悪魔の手先みたいに思っていました。暴力は絶対に許されないことですが、実は子供達みんなに好きな習い事をさせてくれたり、いい面もありました。うちはきょうだいが4人いたのですごい出費だったと思います。私に対しても、父なりに出版物を調べて説得しようともしてくれていました。

――たもさんのお子さんの病気が分かった時も、「わしの命を半分あげてください」と祈ってくれるなど、親身になってくださるお父さまの姿が印象的でした。

【たもさん】そうですね。息子の病気の時や、宗教を辞める時は、母より先に父に打ち明けました。すごくひねくれた言い方をすると、「今の父なら私の味方をしてくれる」と思ったのもあります。

――脱退する前と後で、ご両親への気持ちが大きく変化したんですね。

【たもさん】気持ちの面で、全く逆になってしまいました。立場が変われば見方も変わるのだと思います。ほとんど宗教に関わっていなかったきょうだいたちは、父は亭主関白、母は優しく真面目なイメージのようです。漫画を読んで「お父さん良い人に描きすぎ。お母さんをそんなに悪く描かないで」なんて言われます。
――旦那さんであるカンちゃんは、出会いから含め、たもさんにとって様々な影響を与え、家族以上の繋がりを感じました。改めて、カンちゃんはどんな存在でしょうか。

【たもさん】私に自分で考える大切さを教えてくれて、母親から自立させてくれた存在です。私としてはこれから一生、おじいちゃんおばあちゃんになるまで一緒に笑っていたいですが、そんな事を言おうものなら「重っ!」て言われそうなので黙っています。

脱退して変わった死生観 明日死んでも悔いが残らないよう生きたい

――輸血ができるようになったことで息子さんの命を救えた、というのが何よりも大きなことだとは思いますが、それ以外にも脱退してよかったと感じることはありますか?

【たもさん】子供の命はもちろんなのですが、私自身にとっては「死生観」が変わったことが良かったと思います。昔の私は「自分がなぜ存在しているのか、死んだらどうなるのか」分からないことが怖くてしょうがなかった。楽園で永遠に生きる、という教理をもってしても恐怖は消えませんでした。また、永遠という概念があるので、人間関係も雑なところがありました。

――それが脱退したことによって変わったんですね。

【たもさん】今は「命は限りがあるので尊い」という考え方になり、「明日死んでも悔いが残らないように」人と接するようになりました。同時に死への恐怖も「そうなってもまぁいいか。今日のごはんも美味しいし」と思えるようになりました。

――ご家族の生活にも変化はありましたか?

【たもさん】家族にとっては、普通の日常を普通に行なえることが大きな幸せです。誕生日やクリスマス、ハロウィン、お正月、節分…今まで「異教由来だから」と避けていたことが、楽しめるようになりました。

――行事を楽しむようになって、改めて感じたことはありますか?

【たもさん】子供にとってもこういった季節の風物詩をしっかり楽しむって大切なことではないかと思います。これからもこういう「普通の」思い出をどんどん重ねていきたいです。
――ご自身の経験を踏まえ、育児に活かしている部分はありますか?

【たもさん】我が家では、子供がやりたいと言ったものは基本反対はしないことにしました。できるだけ子供の意見は尊重しようという考えです。他の人が見たら「甘やかしている」と怒られるかもしれません。子育てをする上で身近にお手本とする親が居ないのはなかなか厳しいものがありますが、今は自分がして欲しかったように育てています。

――これから手に取る人へ、メッセージをお願いします。

【たもさん】あまり絵は上手くありませんが、人生しぼり出して描きました。読んでくださる方にはどんな感想を抱いていただいても自由です。宗教に関係していても、していなくても、世間とのズレや生きづらさについて「あるある」とか、「バカだな、自分ならこうする」など色々感じていただけたら嬉しいです。ただ、これだけはしないで欲しいのがひとつだけあります。

――どんなことでしょう?

【たもさん】世の中には真剣に宗教を信じている人もいます。その人達には必要だからその宗教が存在するんだと思います。信じる自由も信じない自由もあるので、宗教に救いを感じている人達に、無理やりこの本を読ませるのだけは辞めてほしいです。

 エッセイ漫画について、「何があっても背負う覚悟で描ききった」というたもさん。同じような境遇の人から、そうではない人まで、幅広い層から大きな反響が寄せられている。「宗教二世を語るバー」を限定開催したり、新たな分野の漫画を描き始めたりと、たもさんの挑戦はまだまだ続く。
PROFILE/たもさん
10歳の時に母親に連れられてカルト宗教に入信。息子の病をきっかけにカルト宗教への違和感を強め35歳の時に脱退。
その後ブログ「たもさんのカルトざんまい」やTwitterなどで活動中。2018年に『カルト宗教信じてました。』、翌年『カルト宗教やめました。』(ともに彩図社)と、自身の経験を元にしたコミックエッセイを出版。
Twitter:@tamosan17(外部サイト)
アメーバブログ:『たもさんのカルトざんまい(外部サイト)

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