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連ドラ続編成功のカギは「描かれない過程」視聴者に“その間”を想像させる余白の提供
10年経っても“根は同じ”『時効警察』と『まだ結婚できない男』の微々たる成長
ちなみに『帰ってきた時効警察』も劇中でリアルタイムと同じ12年が経過しており、三日月(麻生久美子)が結婚・離婚を経験したことなど、ここでもドラマが描いてない“間”を視聴者に「想像させる」楽しみを与えていた。「昔のドラマ続編と違い、かなり長い期間が描かれていないからこそ、この想像の部分が以前よりも重要となる」(衣輪氏)
『まだ結婚できない男』に関して言えば、週刊エンタテインメントビジネス誌『コンフィデンス』でも「秋ドラマ期待度ランキング」1位を獲得しており、TwitterをはじめとするSNSでの盛り上がりを見ると、その期待度に応えた形となった。豪雨のニュースや、バレーボール中継の延長で放送時間が左右されることもありつつも、22日に放送された第3話の平均視聴率は10・0%と、二桁台の視聴率を保っている。
なんとなく年輪を感じさせる ドラマの「余白」 「続編不可」のドラマにも新たな可能性が
またAmazon Prime VideoやTver普及でパート1まで遡って見やすくなった環境により、パート2制作陣は、パート1のセットをオマージュすることで、パート1での設定や演出に「含み」を持たせることに成功。パート2からの新規視聴者がパート1を初めて観る場合も、ドラマが描いていない“間”を視聴者に「想像」させる仕掛けが施されている。
「繰り返しますが、タイムシフト視聴率、動画配信サービスの台頭など視聴環境や指標が変わってきている今ならではの事情で、10年以上前の作品の続編を作りやすい環境になった。今後、そんな10年近く前の人気作がどんどん登場するかもしれない。そうなったとき、『まだ結婚できない男』の“間”の“想像”の仕掛けは、今後のプロトタイプになるかもしれない」と衣輪氏。『まだ結婚できない男』はこの傾向の試金石となるか。今後の放送も楽しみだ。
(文/中野ナガ)