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お母さん、「ねこ産んじゃった!」 妊娠した猫のおもちゃ、制作理由とは

 ペットブームの今の時代、「ペット玩具」も進化している。リードを引っ張って犬の散歩を疑似体験できるものから、モンチッチやファービーなどのかわいい系のぬいぐるみや、AIBOのような犬型ロボットまで、そのバリエーションも豊富だ。そんな中、「ペットのお産を応援する玩具」=「ねこ、産んじゃった!」が10月に発売されるという。この究極の“リアル”ともいえるおもちゃについて、発売元のセガトイズに話を聞いた。
  • 妊娠している猫のぬいぐるみ「ねこ、産んじゃった!」画像提供:セガトイズ

    妊娠している猫のぬいぐるみ「ねこ、産んじゃった!」画像提供:セガトイズ

カラフルなぬいぐるみの背中には感知センサー ねこが産気づく“究極のリアル”再現

「ねこ、産んじゃった!」は、妊娠している猫のぬいぐるみ。ペットのお産や授乳を音声付きで体験できる商品。猫のぬいぐるみの背中に感知センサーがついており、背中をさすると「にゃ〜、にゃ〜」と反応。さらに背中をなで続けると「ゴロゴロ」と産気づく鳴き声に変わり、出産の準備が整うと、子猫を取り出して出産にいたる。生まれた子猫は、授乳させると「ゴクゴク」とのどを鳴らしたり、「ウッ」とゲップまでするという。見た目はかわいらしいぬいぐるみながら、まさに“究極のリアル”なのだ。

――「ねこ、産んじゃった!」を制作した経緯を教えてください。
セガトイズ担当者企画の背景については1.サプライズトイがトレンド2. 子どもたちは生物の変化に興味津々、といった二つの分析結果がベースにありました。

 今発売されているサプライズトイのほとんどは、一度サプライズを体験すると元に戻せませんが、こちらのおもちゃでは何度でも出産を体験できます。

 また、子どもたちは虫が動いている様や、芋虫からさなぎになって、成虫に変貌を遂げるような変化にも興味津々です。大ヒットした『生まれてウーモ』は、卵から孵すという変化が喜ばれました。少しファンタジーが入ってますが、『ふーあーゆー?』も謎の毛玉から犬や兎などの動物に変化するサプライズが、子どもたちの好奇心に大きく刺さっています。

――なぜ、「ペットの出産」をテーマにしたのでしょうか?
セガトイズ担当者開発者は、好奇心旺盛な5歳の女児から、今回のお産をテーマにするアイデアを得ました。『ねぇお母さん、子どもはどうやって生まれるの?』…大人はドキッとする質問ですが、子どもにとって生命の誕生は謎に包まれた事象です。子どもからの質問への回答を考えるうちに、ペットの出産体験を通じて、子どもの母性や優しさを育む商品企画が生まれました。

そして商品化までには何十通りものアイデア、試作、モニタリングを行ない、2年近くかけて、ようやく驚きと感動をもって家族を笑顔にできる商品になったという。

出産の仕組みは絶対秘密 「リアリティ」に対する“こだわり”を徹底追求

――この商品に対するこだわりや類似品との違いは何ですか?
セガトイズ担当者“お産”をテーマにしたものは海外製品などにはありますが、アナログだったり、人体模型のようなものです。「ねこ、産んじゃった!」は、親と子ども双方に納得してもらえる商品に仕上げています。特に、産気づいたときに出るサウンドにはこだわりました。リアリティにこだわった鳴き声によって、子ネコが誕生するまでのワクワク感を一層高めています

――制作する上で苦労したことは?
セガトイズ担当者もっとも難しかったのが、子ネコをどのようにお腹の中から出すのかということです。何度も試作を作っては、親子にモニターを繰り返して、親も子どもも納得する仕組みに最終決定しました。具体的な取り出し方については、発売近くまでシークレットにさせていただいています。

 「ねこ、産んじゃった!」と同時に「いぬ、産んじゃった!」「うさぎ、産んじゃった!」も発売されるが、猫と犬だけだと白・茶の色味だけで楽しさに欠けるので、ピンクのうさぎも加えたそうだ。これら三種は『日本おもちゃ大賞2019』のイノベイティブ・トイ部門大賞を受賞している。「産んで終わり」ではなく、何度も楽しめる点や、“徐々に”産気づく面白さ、最後に「ハッピーバースデー!」と効果音の入る楽しさが評価を得た。

左から順番に「うさぎ、産んじゃった!」「ねこ、産んじゃった!」「いぬ、産んじゃった!」 画像提供:セガトイズ

左から順番に「うさぎ、産んじゃった!」「ねこ、産んじゃった!」「いぬ、産んじゃった!」 画像提供:セガトイズ

「見た目はリアルじゃなくていい」 親子モニターが求めていたペット的「癒し要素」

――こうした“攻め”の商品作りができる理由は何ですか?
セガトイズ担当者企画担当者は、入社以来10年以上もペット玩具に携わってきたため、何か新しいことをしたいと革新的な企画を探していました。そして5歳の女児のひと言から商品のアイデアを思いついたのですが、動物のお産をよく知る人たちに話をヒアリングした際、皆さんが口をそろえて『感動する』と話していたことが大変印象的で、この商品もそんな感動を提供できるおもちゃにしたいと思ったそうです。

――現代の子どもたちにとって、ペットとはどういうものなのでしょうか?
セガトイズ担当者現代の日本においては、アレルギーのあるお子さまや住居環境やライフスタイルによって、ペットを飼いたくても飼えない状況の家庭が増えてきています。そんな中、ペットが持っている力(癒しやコミュニケーションする機会の創出など)を、ペット玩具でご家庭にお届けできたらと思っています。今回の「ねこ、産んじゃった!」は、ペットを飼っていらっしゃる方でもなかなか経験のできない“お産を応援できる”体験ですので、多くの方々に手に取っていただけたら嬉しいです。

 「ねこ、産んじゃった!」の商品開発にあたっては、ママさんたちや親子モニターさんの「リアルじゃなくていい」「おもしろくて、親子ともども笑顔になるものがいい」という意見を採用したという。しかし、一見かわいい普通のぬいぐるみの奥には、ペットの出産という“生々しい現実”のテーマが潜んでいる。

 「○○産んじゃった!」シリーズは、見た目とは裏腹の“リアル”を同時に表現し、また体験できることで、今までにない「おもちゃの新世界」を切り開いていくのかもしれない。

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