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若手女優の登竜門『シーブリーズ』CMが“甘酸っぱい青春”を描く理由
発売から100年超 元祖は米国先住民の“魔法の水”!?
「諸説ありますが、一番有力なのが、米国の先住民族の方々の間で、けがをしたときに使っていた“魔法の水”が由来であるという説です。薬草が入った水なのですが、そこに目をつけたのが薬剤師のJ.W.ブルックス氏。彼が工業製品化したのが、『シーブリーズ』の始まりと言われています」(中石氏)
日本には69年に上陸。当時は、理美容店などでヘッドマッサージの際に使われていたという。71年には『マクドナルド』が日本に進出するなど、米国文化が徐々に広がってきた時代。『シーブリーズ』も同文化を代表するアイテムのひとつとして、注目されるようになった。
90年代までに『シーブリーズ』=海を確立 安室やTRFらを起用し躍進
90年代に入ると、安室奈美恵さん(2018年9月16日引退)やTRF、Every Little Thingの持田香織らをイメージキャラクターに起用。またそれぞれ出演アーティストの楽曲も使用することで、セットで話題となった。海岸をバックに、日焼けした肌で健康美を表現するCMは、まさに『シーブリーズ』=海という世界観を確立。『シーブリーズ』といえば、アクティブやスポーティーといったイメージが浸透していった。
2000年に入り売り上げ低迷 堀北真希の出演を機に“胸キュン”青春路線へ
「90年代はガングロブームもあり、日焼けしたり、海に行くこと自体がトレンドでした。しかし00年以降は、美白ブームが到来。若年層を中心に日焼けをしたくない人が増加しました。なので『シーブリーズ』=海という定義をCMで打ち出しても、若者たちに響かなくなっていったんです」(中石氏)
そこで同社は07年、大きくシフトチェンジを図った。メインターゲットを、女子高生に絞ったのだ。
「海に行く若者ではなく、時代のトレンドを作る女子高生をターゲット層としました。女子中学生よりも女子高生の方が自由があり、多少、自分で使えるお金も持っていたりする。一方で、美容への探求心は強い世代だと思うので、彼女たちが求める商品は何かを考えて開発しました」(中石氏)
またCMの世界観も大きく変化させた。同年から、学校生活をメインテーマとしたCMに転換。主演には、当時ドラマ『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)などに出演し、ブレイクの兆しを見せていた堀北真希さんを起用した。
堀北さんは、バスケ部に所属する女子高生役として出演。部活動に励む姿や、汗をかきながらも、気になる先輩を全力で追いかける姿を熱演し、話題となった。また同CM出演後、ドラマ『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』(フジテレビ系)で主演を務めるなど、堀北さん自身にとっても女優として大きく飛躍するきっかけとなった。
堀北さん以降、北乃きいや川島海荷、広瀬すずと、旬の若手女優を次々と起用。また抜てき後、それぞれブレイクするなど、『シーブリーズ』CMは近年、若手女優の登竜門的なCMとしての地位を確立している。
「CMに起用した女優さんと共に、『シーブリーズ』と『シーブリーズ』を使ってくれている方々がいっしょに成長できたらと思い、起用しています。女優さんが演じる何気ない青春の1コマに投影してもらい、『自分もシーブリーズの描く学校生活の中にいる』と思ってもらえたらうれしいですね」(中石氏)
昨年からは、新人女優の池間夏海を起用。沖縄県出身の正統派美少女で、中石氏は「まさにこれから期待大、という女優さん。素朴な性格でかわいらしい方」と話す。SNS上でも注目が集まっており、「シーブリーズのCMの子、かわいい」、「池間夏海ちゃんがかわいすぎて10年ぶりくらいにシーブリーズ買った」との声が上がっている。
「こんな青春ない!」ユーザーの声に「決して『恋しよう』とうたっているわけではない」
実際、SNS上では「見てるこっちがキュンキュンする」、「シーブリーズみたいな高校生活送りたかった」という声がある一方、「現実にはこんな青春ないよ!」といった投稿も存在する。
賛否両論の意見がある中、中石氏はこう説明する。
「CMに対する見方や感じ方は、人それぞれ。たた決して、人を傷つけるようなストーリーは描かないと決めています。あくまで『こういう日常の場面があったらいいよね』というスタンスで制作している。恋愛模様を描いてはいるが、僕らは決して『恋しよう』とうたっているわけではない。青春は人ぞれぞれ。今この瞬間に、大切な人たちとの貴重な時間を過ごしていることに気が付いてもらえればうれしいですね」(中石氏)
同社によると、『シーブリーズ』の売り上げは07年以降、右肩上がりで推移しているという。また今期は公式Twitter上で、連続WEBドラマ『プールサイドデスティニー〜廃校って運命ですか〜』を配信するなど、新たな試みにも挑戦している。
中石氏は「高校生活はあっという間。その中で僕らは、汗をかいて楽しい青春を過ごす一瞬一瞬が輝いている、ということを伝えたい。そのために、これからも『シーブリーズ』はサポートしていきたい」と語っている。