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【プラモデル】戦艦、航空機、戦車など“神作”まとめ

軽巡洋艦『三隈』の巨大な艦首波を“匠の技”で表現「日本軍艦艇は “日本人が美しい”と思う形をしている」

 10月20日、ミッドウェー海戦で沈んだ日本海軍航空母艦「加賀」「赤城」がミッドウェー沖の海底で発見され話題となった。過去、軍艦「大和」や「武蔵」らが海底の底から発見されるたびに大きなニュースとなってきたが、なぜ日本人は旧日本軍艦艇に“浪漫”を感じるのか。そこで、海の色や波の大きさで“情景を表現”するトップモデラー・鳶色2号(早野治朗/@Tobiiro2)氏にインタビューを実施。日本人が“美しい”と感じる日本軍艦艇の魅力について聞いた。

技術と道具を「どう組み合わせるか」引き出しの数が大切

――初めて制作した「艦船」は何ですか?

【鳶色2号】小学3年生の頃だったと思います。父親が戦艦大和を買ってくれて大喜びで完成させ、お風呂に浮かべたらたちまちバラバラになった事を覚えています(笑)。

――「艦船」を制作されるうえで強く影響を受けたものはありますか?

【鳶色2号】滝沢英太郎さんの作品写真を拝見し、美しい海面を持つ艦船ジオラマに憧れました。またクリス・フォールドバーグさんやコスタス・キャッツィースさんら海外モデラーの作品に刺激を受けたのが、平滑でない海面表現を志すきっかけとなりました。模型を制作する際には、模型雑誌『艦船模型スペシャル』や『太平洋戦記シリーズ』のバックナンバーを、他の資料本と共に手元に置いています。

――いま、波に関するお話が出ましたが、鳶色2号さんといえば“波表現”が特長です。こだわりは何でしょうか。

【鳶色2号】見た目が自然で本物っぽく見える事です。ただ、模型作品ですので、必ずしもリアルでなくても良いと思います。ご覧になった方が、「なるほどー、よく知らないけどきっとこういう風になるんだろうな」と思われるような“説得力”を持った表現がしたいです。それは模型本体にも同じ事が言えます。単純な例えで言うと、はしごが付いているのに上りきった所が行き止まりになっていたら、船に詳しくなくても何か引っ掛りますよね。そういった違和感を持たれる事は避けたいです。技術面では誰もが入手可能な材料と道具を使い、普通のやり方で制作していますので、特別なところはありません。ただ素材・道具・技法の入った知識や経験の引き出しは沢山持ちたいと思います。

歴史を学び「非力」「悲壮」「反骨」「闘志」といったイメージを艦艇に重ねる

――昨日、日本海軍航空母艦「加賀」がミッドウェー沖の深海で発見され話題となりました。軍艦「大和」をはじめ、日本海軍の艦艇は今なお人気です。鳶色2号さんにとって憧れの軍艦は何ですか?

【鳶色2号】第二次世界大戦時の日本海軍の小艦艇です。各国の同じクラスの軍艦を並べるとよく解りますが、日本の船は“日本人が美しい”と思う形をしています。その意味でやはり日本の軍艦に惹かれます。モデラーは模型の資料を集める過程で、対象物の背景にも触れます。小艦艇のエピソードや乗り組んだ人々の内情を知るにつけ、非力、けなげ、闘志、悲壮、反骨、精一杯といったイメージを艦艇に重ねて見るようになり、そこが魅力となりました。小型艦の方が、模型的にダイナミックな動きを付けられるという側面もあります。

――それでは、制作された中で一番好きな作品は?

【鳶色2号】軽巡洋艦時代の三隈(後に重巡洋艦となる)を再現した「30ノット」という作品です。

――その作品で気に入っている部分は?

【鳶色2号】大型高速艦の生む巨大な艦首波と、それに続く航走波の表現は気に入っています。非常に稀なケースなのですが、準同型艦「鈴谷」の高速走行を飛行機から撮った写真が数枚遺されており、それを参考にリアルな波形の表現が出来ました。

――プラモ制作上の技術的な「壁」は何でしたか?

【鳶色2号】船の部分では、実艦の資料に限りがあり不明点が多くある事。海の部分では、表現方法が無数にあってすべてを試すことができない事です。

――その壁をどうやって突破しましたか?

【鳶色2号】船の正確さの追求については、適度に切り上げることにしました。適度とは人それぞれで違いますので、おのおのが良いと思うところで切り上げればよいと思います。ただし、前述の“本物っぽい作品”を制作するためには、それなりの知識と情報が必要となるため、一通りの調べ物はします。要は答えの出ない(出にくい)考証の時間は適度に割り切って、制作の為の時間に振り替える事にしています。海の表現についてですが…こちらは突破していません(苦笑)。

――最後に、鳶色2号さんにとってプラモデルとは?

【鳶色2号】模型の趣味が無ければ、日々TVとPC漬けで無為な時間を過ごしていたと思います。また展示会やツイッターを通じて多くの方たちと知り合える事もありませんでした。そう思うと、ぐうたらおじさんにならずに済んだ恩人でしょうか(笑)。

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