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【プラモデル】戦艦、航空機、戦車など“神作”まとめ

米英の名だたる空母をスクラッチビルド 「空母の強さ、脆さ、儚さは “ジオラマ映え”する」

作品:1/144 空母 赤城   映画『トラ・トラ・トラ !』のオープンセットをジオラマ再現/制作:宮崎日出雄

作品:1/144 空母 赤城 映画『トラ・トラ・トラ !』のオープンセットをジオラマ再現/制作:宮崎日出雄

 第二次大戦において旧日本海軍の主力を担いながら、その実力を満足に発揮せぬまま非業の最後を迎えた「空母」たち。そうした、空母の“儚さ”や“悲哀”に魅せられるモデラーは少なくない。ここで紹介する宮崎日出雄氏は、軍艦や空母はもちろん、その情景をスクラッチビルドで再現する実力派モデラー。艦船模型に魅せられた幼き日の原体験や、プラモ制作を通じて歴史を学ぶ意義を聞いた。

◆宮崎日出雄氏ブログ『Mighty Oの模型部屋』はコチラ→

小学生時代、日本の戦艦に見られる“楼閣”の様な艦橋にワクワクした

  • 作品:アメリカ海軍航空母艦オリスカニー※『艦船模型スペシャル』掲載

    作品:アメリカ海軍航空母艦オリスカニー※『艦船模型スペシャル』掲載

  • 作品:イギリス海軍航空母艦フューリアス※『艦船模型スペシャル』掲載

    作品:イギリス海軍航空母艦フューリアス※『艦船模型スペシャル』掲載

――宮崎さんがプラモデルの魅力に目覚めた原体験は?

【宮崎日出雄】最初のプラモデル(的なものは)青島文化教材社さんが40年以上前に発売していた100円のキャラクター模型でした。『合体空母レッドホーク』シリーズや、『アトランジャー合体ロボット』シリーズなど、「幾つか集めて大きな模型を作る」という事に大変魅力を感じました。あとスーパーカーブームをダイレクトに受けた世代なので、小学校低学年の時は『サーキットの狼』(週刊少年ジャンプ/集英社)シリーズの模型も作りました。最初はバラバラの部品だったものが、一つひとつ組み立てる事によって写真やイラストで見た好きな物が立体になっていく事がとにかく楽しかったですね。

――ガンプラ、スケールモデルといった多様な種類がある中で、「艦船モデラー」になったターニングポイントは何でしょうか。

【宮崎日出雄】まず艦船(というより軍艦ですね)に興味を持つようになったのは小学生1〜2年生の時、4歳年上の兄が図書館から借りてきた『戦艦物語』という本を読んだのがきっかけです。有名な艤装中『大和』の写真や『長門』、『金剛』の写真を見てワクワクした事をはっきりと覚えています。特に日本の戦艦に見られる“楼閣”の様な艦橋に非常に魅力を感じました。ただ、当時あまり裕福では無かったので模型は買ってもらえず、家にあった和製ブロックから『長門』的なものを作って悦に入っていました(苦笑)。あと本屋で戦記モノを立ち読みして『大和』のイメージをしっかり脳裏に焼き付けて、駆け足で家に帰り油粘土で『大和』的なものを作ったりもしました(笑)。

――初めて制作した「艦船」は?

【宮崎日出雄】(兄に手伝って貰いましたが)ニチモの30センチシリーズの『長門』です。楼閣の様な艦橋を初めて模型で再現出来た時は非常に感動しました。その後もニチモの30センチシリーズは片っ端から作り倒しました。生糸で張り線も施しましたね。小学6年生の時、同級生に教えてもらい初めてウォーターラインシリーズの存在を知り、それ以降は1/700スケールの艦船模型を中心に制作しています。

――宮崎さんの作風に影響を与えたものは?

【宮崎日出雄】中学卒業位から本格的に模型雑誌を読み始めました。特に模型雑誌『モデルアート』の衣島先生のウォーターライン制作記事はよく参考にしていました。後年では『艦船模型スペシャル』や『NAVY YARD』といった模型雑誌の記事にも影響を受けました。憧れの大木清太郎さん、木本敏文さん、その他大勢の方の作例を熱心に誌面から観察しました。また学研の『歴史群像』シリーズに掲載されている大型スケールの模型は、それ自体が貴重な資料です。

空母の艦載機や整備スタッフ、様々な甲板作業者が一体となって醸し出す“ドラマ性”が魅力

  • 作品:イギリス海軍戦艦ネルソン

    作品:イギリス海軍戦艦ネルソン

  • 作品:アメリカ海軍航空母艦キティホーク※『モデルアート』掲載

    作品:アメリカ海軍航空母艦キティホーク※『モデルアート』掲載

――軍艦の中で空母をよく制作される理由は?

【宮崎日出雄】映画『ミッドウェイ』(1976年制作)を中学の時にTV放送で見て、空母(および艦載機)の魅力にはまりました。戦艦より非常に高い攻撃力を持ちながら脆弱さも併せ持った“悲哀”さ、“儚さ”に心惹かれるものがありました。日本語吹き替えの妙も手伝っていると思います。特に米空母攻撃隊のセリフが格好良かったですね。

――一番好きな空母は何ですか?

【宮崎日出雄】一番に絞るのは非常に難しいのですが…、イギリス空母『フューリアス』です。当初巡洋戦艦として46センチ単装砲を備える計画でしたが実験空母に改造され、その構造は日本空母の設計にも影響を与えています。独特の外観や迷彩塗装の姿に魅力を感じます。フルスクラッチで1/700姿を再現できた時の満足感は非常に大きいものでした。日本の空母なら『飛龍』でしょうか。映画『ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐』(東宝/1960年公開)の飛龍オープンセットのインパクトが強いのと、ミッドウェイ開戦の時のドラマ性にも惹かれます。

――では、制作された中で一番好きな作品は?

【宮崎日出雄】アメリカ空母『オリスカニー』です。エセックス級の空母で戦後、アングルドデッキへ改造された姿をスクラッチ制作しました。生まれて初めての本格的なスクラッチ作品でしたが、「世界一格好良い」1/700スケールのオリスカニー模型を目指しました(笑)。

――本作で気に入っている部分と、納得のいっていない部分を教えてください。

【宮崎日出雄】1/700ではキット化されていないので、形に出来たこと自体に満足しています。特に艦橋構造を非常に詳細まで再現できた事が気に入っています。納得いかない部分は艦載機のマーキングでしょうか。全て筆で描いていますが歪んでいるもの多く、出来ればデカールで再挑戦したいです。

――空母に感じるのは強さですか?それとも儚さでしょうか。

【宮崎日出雄】空母には、強さ、儚さ、脆さがあります。それゆえ、模型的に捉えた時に“ジオラマ映え”すると感じます。艦船そのものの格好良さに加えて、魅力的な艦載機、それを整備、操縦するスタッフや様々な甲板作業者が一体となって醸し出す“ドラマ性”にも惹かれます。

――自身、プラモ制作を通じて艦船のことや歴史について学ばれましたか?

【宮崎日出雄】闇雲に作っていた初期の頃とは違い、ある程度戦史が分かるようになると「○×海戦」や「△□年」の時の姿を再現したい、と思うようになりました。その思いにつられて専門誌を通じて戦史や各々の艦船について勉強をする事を始めました。

――そうした学びを通じて、プラモ制作に活きていることはありますか?

【宮崎日出雄】作る艦船の歴史を学ぶことで、艦船自体への思い入れを強くして制作することが出来るようになりました。歴史における“ひとコマを切り取って模型で再現したい”という強い思いが、模型制作の原動力となっています。

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