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(更新: ORICON NEWS

引退後のおひな様がハジけすぎ? “名古屋のおばちゃん”発案の『福よせ雛』で地域活性

 各地で様々な催しが開催される3月3日のひな祭り。その中で異彩を放っているのが、名古屋を中心に展開されている『福よせ雛』(ふくよせひな)の展示イベントだ。家庭での役割を終えたひな人形が新たな命を吹き込まれ、コミカルで独創性あふれる姿に変身。ビールを飲んだり麻雀やヲタ芸をしたりと、ひな壇に並ぶ姿からは想像もできないハジけっぷりを見せ、SNSや海外でも話題に。名古屋の主婦たちが始めたこの『福よせ雛』、発案者の吉野孝子さんに話を聞いた。

ひな人形に住民票を交付? 『福よせ雛』で活気ある町づくり

  • 『福よせ雛』の準備をするスタッフ

    『福よせ雛』の準備をするスタッフ

 『福よせ雛』とは、名古屋近郊の主婦たちが発案したプロジェクト。家庭で不要になり、美しいままで手放されていく多くのひな人形に“再び活躍できる場を作ろう”“地域づくりに役立てよう”という思いから、2009年に発案。2011年に、初めて名古屋市内で展示が行われた。発案者である名古屋近郊の主婦・吉野孝子さんは、その意義を語る。

 「私たち『福よせ雛』プロジェクトのおばさんたちの願いは、ご家庭での役目を終えたおひなさんたちに終の棲家をお与えすること。おひなさんを通じて、昨日まで知らなかった他の地域の皆さんが、私たちと一緒になって『福よせ雛』を作り、展示をする。それによって、活気ある町づくりのきっかけになるということを、一つ一つ実証しながら10年間やってきました」

 9回目となる今年は、愛知・岐阜・奈良・鳥取・フランスの全25会場で開催されている。プロジェクトの趣旨に賛同した団体や地域、施設が参加。ひな人形自体は、寺院などの施設で人形供養を受け、寄付を了承されたものを譲り受けて『福よせ雛』として生まれ変わるという。なかでも、今年初参加となった鳥取県・日野町では、全国から移住してきたおひな様に対し、特別住民票を発行。吉野さんは、「持ち主の方と日野町を繋げることになって嬉しい」と、『福よせ雛』を通じ、新たな形で地域活性が成されたことに喜びを見せる。

麻雀からヲタ芸まで…ユーモアあふれる姿で「人々に笑顔と福を呼ぶ」

 もともと、3月3日の桃の節句に、女の子の健やかな成長を見守る役目を担ってきたひな人形。だが『福よせ雛』では、日本の伝統そのものだったお雛様たちが一変。ビール片手に飲み会や麻雀をしたり、サッカーやオタ芸まで披露する。現代的かつコミカルにアレンジされたユーモアあふれる姿には思わず笑みがこぼれるだろう。

 「人々に“笑顔と福を呼ぶ”という役割を与えられた『福よせ雛』。見る人が思わず笑顔になるようなユーモアと愛嬌のある表現で、現役のおひな様時代にはできなかったことにチャレンジしてみたり、各会場でお客様のおもてなしやお手伝いをしています」

 個性豊かにアレンジされた『福よせ雛』は、毎年1月から4月にかけて開催。各地の展示を撮影した写真が、InstagramやTwitterなどのSNSに投稿され、さらなる盛り上がりに一役買っている。

 「インスタに数多く写真を上げていただいていますし、公式Facebookの写真もたくさん見ていただいています。そのおかげか、意外なところからのお問合せがあったりして、びっくりしていますね」

“名古屋のおばちゃん”の面白さが結実、「やるときゃやったるがね」

 運営は、プロジェクト本部事務局と各参加チームが協力。「運営費用や雛人形のご寄付をいただきながら、本部と各会場のボランティアスタッフで企画運営しています」とのこと。バラエティに富んだ『福よせ雛』の制作もそれらスタッフにより行われているそうだが、名古屋といえば派手さや独創性が注目される地域。『福よせ雛』に見られる面白みは、そんな特性もかかわっていそうだ。

 「プロジェクト本部の9人は、名古屋のおばちゃんそのもの。大阪のおばちゃんのように派手ではないですが、シャイな中にも面白さ満載です。そんなメンバーなので、毎回独創的なアイディアがわいてくるんですね。やるときゃやったるがね(笑)。また、各地の実行委員会でも、キャーキャー言いながらやっています(笑)。たくさんお客様が来るようになり、『よくできてるね』と言われるととても嬉しいようで、『他の会場に負けないようにやるんだ』と意気込んでいますね」

 展示を見た人から寄せられるのは、おおむね「かわいい」「面白い」といった好意的な意見。ただ、なかには「不謹慎ではないか」という意見も寄せられるという。

 「持ち主の方の、『手放してしまうけれどもう一度何かに生かしてほしい』という思いを大切にして取り組んでおり、日本人形をオカルト的に扱ったり不気味さを助長するような表現とは違い、見る人が笑顔になるような、楽しさとユーモアと親近感のある表現をしています。ただ、中には意図が伝わらず『ひな人形にふざけた表現をしている』とお感じになる方もいらっしゃいますので、今後はプロジェクトの主旨をご理解いただけるよう、情報発信をしてまいります」

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