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高嶋ちさ子が炎上キャラから一転して好感度上昇、 バラエティにおける“正論が言える人”の必要性

  • 高嶋ちさ子(C)ORICON NewS inc.

    高嶋ちさ子(C)ORICON NewS inc.

 歯に衣着せぬ物言いでバラエティ番組を席巻しているヴァイオリニストの高嶋ちさ子。MCを務めた特番『有田哲平と高嶋ちさ子の明日は我がミーティング』(TBS系)では、矢沢心の夫である魔裟斗の亭主関白ぶりに、「人間が小さい」、「(一緒に暮らしたら)2日目には刺し違えている」と罵倒して話題になった。言いたいことを言い、誰にでも噛みつく姿には賛否両論あるが、SNSでは「ズバっと言ってくれてスッキリした」、「ちさ子節痛快」など意外と好意的な意見も多い。高嶋ちさ子=炎上キャラのイメージは、ここにきて少しずつ変わりはじめているようだ。

“ゲーム機バキバキ事件”が契機に、「炎上女王」となるまでの過程とは?

 高嶋ちさ子と言えば、桐朋学園大学音楽学部卒業後、イェール大学音楽学部大学院修士課程を修了。26歳で「チョコレート・ファッション」なるチェロとバイオリンのアイドルっぽいユニットを結成してCDデビュー。ソロになってからはクラシックからポップス、映画音楽まで幅広いジャンルで“美人バイオリニスト”として活躍する、いわば“女版・葉加瀬太郎”とでも言うべき存在だ。

 そんなイメージを一変させることになったのが「ゲーム機バキバキ事件」。バラエティ番組などでは、高嶋の毒舌っぷりや気の強さが知られるようにはなっていたが、2016年2月12日の東京新聞のコラム「高嶋ちさ子の子育て日記」で、「長男が宿題を終わらせずゲーム→母(高嶋)が激怒して3DSを真っ二つにする→翌日も次男がチェロの練習せずゲーム→再度3DSを真っ二つに」というエピソードと一緒にバキバキになった哀れな3DSの写真が掲載され、世間を震撼させたのである。

 このゲーム機バキバキ事件はワイドショーなどでも取り上げられ、高嶋は一躍“炎上タレント”の仲間入りを果たしたのだが、実際の内容は“バキバキ”だけでは終わらない。ゲーム機を真っ二つにした後、高嶋は長男に「あなたはゲームが一生できないことを嘆くより、ママから信用されないことを心配しなさい」と言い放ち、反省した長男は翌週の算数のテストで満点を獲得。同級生に「お前んちゲーム機折られたんだろ?」と言われるも、「折られたおかげで満点取れたんだよ」と返すという、高嶋の“スパルタ教育”の成果と言うべきなのか、ある種の子どもの“タフさ”がうかがえた。

 それでも世間では「子どもがかわいそう」、「物を壊す親が子どもに物の大切さを教えることができるのか」等々の否定的意見から、「これはこれでアリなんじゃ?」といった肯定意見まで物議を醸したのである。

よく言えば“竹を割った性格”、悪く言えば“すごく性格が悪い”

 以降、バラエティ番組では、高嶋ちさ子はただの炎上キャラを超える“悪魔の申し子”キャラ(実際、高嶋の幼少時代のあだ名は「悪魔」、「Devil」だった)を確立していくのだ。先日放送された『1週回って知らない話SP』(日本テレビ系)でも、高嶋がプロデュースする「12人のヴァイオリニスト」のメンバーに対して「ボケ!」などの罵詈雑言を浴びせる姿が映し出され、「あれ会社だったら間違いなくパワハラ」、「あんなの上司だったらキツイわ〜」と非難が殺到。しかし一方、家族とのプライベートな姿も披露され、喧嘩っぱやくなったのはダウン症の姉がいじめられるのをいち早く助けていたからといったエピソードも明かされた。

 そして、高嶋は今やMCにまで上り詰め、『有田哲平と高嶋ちさ子の明日は我がミーティング』(TBS系)では、前述のように魔裟斗をボロクソに言うほか、芸人のひょっこりはんが長年連れ添った彼女にプレゼントを贈るという企画では、「一発屋で終わりたくなければ、車か時計!」と脅迫すると同時に「これに合う男になればいい」と巧みに励まし、結局合計244万800円の高級時計をペアで購入。ひょっこりはんは自身のツイッターで、「裏で(高嶋は)とっても親身になって相談乗ってくれていたよ!」と明かし、高嶋の潔さや意外な優しさもうかがえる内容となった。

 さらに『ザワつく!一茂 良純 時々 ちさ子の会』(テレビ朝日系)では、長嶋一茂、石原良純といった空気を読めない(読まない)ふたりと濃すぎる“トリオ”を結成。「最近の若い野球選手は真面目になった。酒も飲まなくなった」と嘆く一茂に対し、「飲酒はマイナスにしかならない」、「酔っぱらうと同じ話を何回もする」などと猛烈批判。ネットでも「高嶋ちさ子と長嶋一茂をセットにしちゃいけないと思う」、「まぜるな危険」などと素早く反応し、このふたりだからこその賛否両論の反響がある中、「高嶋ちさ子の酒飲み批評、いいなぁ。好き。」などの賛同も得ている。進行役のサバンナ・高橋茂雄にも、「フツーの女性なら嫌がる“ボス猿のチャンピオンベルト”を巻きたがる女子(笑)。唯一無二の存在だと思いますね」とまで言わしめているのだ。

炎上を恐れず突き進む“強さ”と過ちを認める“潔さ”が、番組への“安心感”に

 たしかに今の芸能界には、梅沢富美男、坂上忍、有吉弘行など、炎上をものともせずに毒舌を売りにする(はっきりものを言う)“ご意見番”的ポジションの芸能人は多いが、ほとんどが男性。女性もいるにはいるが、あくまで「芸能界の大先輩」であり、“上から”物を言う女性が多く、高嶋のように「現場(平場)に降りてきて物申す」女性は極めて少ないのは事実。それだけに高嶋への需要が増えるのもうなずけるのである。

 また高嶋にしても、炎上後にすぐ過ちを認める“かわいさ”や“愛嬌”もあり、Twitterでたびたび「反省してます…」とツイートするところは、彼女の女性としての強みでもあるだろう(すぐまた同じことを繰り返すこともあるが…)。

 いずれにしろ、子どもに対する“ゲーム機バキバキ事件”にしても、「12人のヴァイオリニスト」に対する言葉にしても、まず際立つのは“母”であり“指導者”としての行き過ぎた“厳しさ”である。しかしその真意には「良い方向へ向かわせたい」という“優しさ”や“人情味”が隠されていると言えなくもない。だからこそ、極端に走るきらいはあるにせよ、高嶋なりの“正論”がときには支持されるのだろう。実際、今の中高年世代の学生時代には高嶋のような体育会系女子の言動はあたりまえにあったし、高嶋のようなバリバリの音楽系・芸術系であっても、気が強くて口の悪い女の先輩は普通にいた。

 今の視聴者も偽善的な予定調和よりは、バラエティには臆せずにものを言って見せる存在を求めているのではないだろうか。そうした意味では、本来は人間関係の中に普通にある“毒”を見せてくれる高嶋ちさ子は“必要”な存在であり、また視聴者も高嶋がいることで“安心感”を得ているということなのかもしれない。

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