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高嶋ちさ子が炎上キャラから一転して好感度上昇、 バラエティにおける“正論が言える人”の必要性
“ゲーム機バキバキ事件”が契機に、「炎上女王」となるまでの過程とは?
そんなイメージを一変させることになったのが「ゲーム機バキバキ事件」。バラエティ番組などでは、高嶋の毒舌っぷりや気の強さが知られるようにはなっていたが、2016年2月12日の東京新聞のコラム「高嶋ちさ子の子育て日記」で、「長男が宿題を終わらせずゲーム→母(高嶋)が激怒して3DSを真っ二つにする→翌日も次男がチェロの練習せずゲーム→再度3DSを真っ二つに」というエピソードと一緒にバキバキになった哀れな3DSの写真が掲載され、世間を震撼させたのである。
このゲーム機バキバキ事件はワイドショーなどでも取り上げられ、高嶋は一躍“炎上タレント”の仲間入りを果たしたのだが、実際の内容は“バキバキ”だけでは終わらない。ゲーム機を真っ二つにした後、高嶋は長男に「あなたはゲームが一生できないことを嘆くより、ママから信用されないことを心配しなさい」と言い放ち、反省した長男は翌週の算数のテストで満点を獲得。同級生に「お前んちゲーム機折られたんだろ?」と言われるも、「折られたおかげで満点取れたんだよ」と返すという、高嶋の“スパルタ教育”の成果と言うべきなのか、ある種の子どもの“タフさ”がうかがえた。
それでも世間では「子どもがかわいそう」、「物を壊す親が子どもに物の大切さを教えることができるのか」等々の否定的意見から、「これはこれでアリなんじゃ?」といった肯定意見まで物議を醸したのである。
よく言えば“竹を割った性格”、悪く言えば“すごく性格が悪い”
そして、高嶋は今やMCにまで上り詰め、『有田哲平と高嶋ちさ子の明日は我がミーティング』(TBS系)では、前述のように魔裟斗をボロクソに言うほか、芸人のひょっこりはんが長年連れ添った彼女にプレゼントを贈るという企画では、「一発屋で終わりたくなければ、車か時計!」と脅迫すると同時に「これに合う男になればいい」と巧みに励まし、結局合計244万800円の高級時計をペアで購入。ひょっこりはんは自身のツイッターで、「裏で(高嶋は)とっても親身になって相談乗ってくれていたよ!」と明かし、高嶋の潔さや意外な優しさもうかがえる内容となった。
さらに『ザワつく!一茂 良純 時々 ちさ子の会』(テレビ朝日系)では、長嶋一茂、石原良純といった空気を読めない(読まない)ふたりと濃すぎる“トリオ”を結成。「最近の若い野球選手は真面目になった。酒も飲まなくなった」と嘆く一茂に対し、「飲酒はマイナスにしかならない」、「酔っぱらうと同じ話を何回もする」などと猛烈批判。ネットでも「高嶋ちさ子と長嶋一茂をセットにしちゃいけないと思う」、「まぜるな危険」などと素早く反応し、このふたりだからこその賛否両論の反響がある中、「高嶋ちさ子の酒飲み批評、いいなぁ。好き。」などの賛同も得ている。進行役のサバンナ・高橋茂雄にも、「フツーの女性なら嫌がる“ボス猿のチャンピオンベルト”を巻きたがる女子(笑)。唯一無二の存在だと思いますね」とまで言わしめているのだ。
炎上を恐れず突き進む“強さ”と過ちを認める“潔さ”が、番組への“安心感”に
また高嶋にしても、炎上後にすぐ過ちを認める“かわいさ”や“愛嬌”もあり、Twitterでたびたび「反省してます…」とツイートするところは、彼女の女性としての強みでもあるだろう(すぐまた同じことを繰り返すこともあるが…)。
いずれにしろ、子どもに対する“ゲーム機バキバキ事件”にしても、「12人のヴァイオリニスト」に対する言葉にしても、まず際立つのは“母”であり“指導者”としての行き過ぎた“厳しさ”である。しかしその真意には「良い方向へ向かわせたい」という“優しさ”や“人情味”が隠されていると言えなくもない。だからこそ、極端に走るきらいはあるにせよ、高嶋なりの“正論”がときには支持されるのだろう。実際、今の中高年世代の学生時代には高嶋のような体育会系女子の言動はあたりまえにあったし、高嶋のようなバリバリの音楽系・芸術系であっても、気が強くて口の悪い女の先輩は普通にいた。
今の視聴者も偽善的な予定調和よりは、バラエティには臆せずにものを言って見せる存在を求めているのではないだろうか。そうした意味では、本来は人間関係の中に普通にある“毒”を見せてくれる高嶋ちさ子は“必要”な存在であり、また視聴者も高嶋がいることで“安心感”を得ているということなのかもしれない。