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一歩間違えれば即“炎上” 「毒舌タレント」の境界線とは?
たけし、上岡龍太郎、島田紳助、有吉弘行…脈々と受け継がれる“毒舌”の系譜
その後、上岡龍太郎や島田紳助、大竹まことといった毒舌をウリにするタレントが続々登場してくるが、彼らの毒舌は“一般視聴者が言いたいことをズバリ言ってくれる”ものでもあり、また同時に上から目線で、人によってはちょっと鼻につくものでもあったし、彼らもまた、それを意図的にコントロールしていた。以降、芸能界のいちジャンルとして定着していく毒舌タレントだが、再び脚光を浴びるようになったのは、やはり2007年頃にはじまる有吉弘行の再ブレイクからだろう。お笑いコンビ・品川庄司の品川祐に対して「おしゃべりクソ野郎」と発言すると、多くの視聴者から喝采を浴び、勢いに乗って「リズム&暴力」(和田アキ子)、「元気の押し売り」(ベッキー)などと次々とあだ名を付けて大ブレイクし、あっという間に多くの冠番組を持つまでになった。
「有吉さんの毒舌は実に的を射たものでしたし、実際に面白かった。そしてその背景には、有吉さん自身の猿岩石時代の大ブレイク→転落→再ブレイクといった波乱万丈がありましたし、毒を吐いた後には楽屋を回ってフォローする…といったエピソードなどを通して人柄を知っているからこそ、視聴者も許せるんですね。有吉さんの盟友とも言えるマツコ(・デラックス)さんにしても、歯に衣着せぬ発言でブレイクして久しいですが、ふたりとも毒を吐く相手に対して、基本的にはリスペクトがあるから嫌がられないんですよ」(バラエティ番組制作会社スタッフ)
有吉ら好感度の高い毒舌タレントの共通点は類稀な“愛嬌”
「例えば有吉さんの場合、毒を吐いた後は必ず満面の笑顔でクッションを置きます。あくまでネタのひとつとして笑いに昇華しているので、見ている視聴者も安心できる“明るい毒舌”なんですね。また、『有吉反省会』(日本テレビ系)で言えば、バカリズムさんや博多大吉さんなど、毒をうまく拾って笑いにしてくれる人が周囲にいます。松本人志さんの『ワイドナショー』(フジテレビ系)にしても、そばに付き合いの長い東野(幸治)さんがいるし、佐々木恭子アナに突っ込まれても、素直に受け入れるところを見せるので、大きな“火傷”をしないんです。かつては毒蝮三太夫さんが『このクソババア!』と罵倒しても許されていたのは、同じラジオでもその向こうには当人がいたし、言われた方も喜んでましたから、聴いてる側も不快じゃなかったんですよね」(前出・スタッフ)
批判の的になってしまう、“悪い毒舌”とは?
毒舌に関して言えば、先ごろアメリカ大統領選で勝利を収めたドナルド・トランプ氏の例もわかりやすいかもしれない。選挙戦で繰り広げられた“毒舌”は、毒舌を超えて“暴論”との見方もあったようだが、少なくとも公の場で堂々と発言しており、またアメリカ国民の本音の部分を代弁していたからこそ、支持されたのかもしれない。いずれにしろ、何かとスキャンダルが多い今の日本でも、損得勘定からくる遠慮や心にもないおべっか、偽善などでごまかすことなく、本音でズバズバ発言する毒舌タレントの存在は今後もまだまだ需要がありそうだし、それをまた視聴者も望んでいるのは間違いない。