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ガンプラ│トップモデラーインタビュー(ガンダムプラモデル)

8月8日「髭の日」で話題、“黒歴史”を生んだ『お髭のガンダム』の革新性

Kameoさんの代表作「ターン“イェーガー”ンダム」(C)創通・サンライズ

Kameoさんの代表作「ターン“イェーガー”ンダム」(C)創通・サンライズ

 8月8日は『髭の日』。これは、漢字の「八」が髭の形に似ているため1978年に制定された記念日だ。SNSでは“髭”にちなんだ話題で盛り上がりを見せたが、「お髭のガンダム」こと『∀ガンダム(ターンエーガンダム)』の名前も多く上がっていた。当連載では、機動戦士ガンダムシリーズの中で、一線を画すデザイン性で当時物議を醸した『ターンエーガンダム』のガンプラを紹介。モデラー・Kameoさん(@kameo_01)が自戒を込めて語る「お髭のガンダム」の魅力とは。

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異質な物同士を組み合わせて生まれる“創造”

――Kameoさんの代表作「ターン“イェーガー”ンダム」のテーマやコンセプトを教えてください。

【Kameo】この作品に限りませんが、異質な物同士を混ぜ合わせたときに自分でも予想しなかった親和性を感じたり、逆に違和感が増幅する場合があり、そういう体験を楽しみたくて模型趣味をやっています。独特なデザインのターンエーガンダムに、雰囲気の異なるボディを合わせたらどんな化学反応が起きるのかを試してみたくなりました。

――この作品を制作するにあたり、イメージしたものは何ですか?

【Kameo】ターンエーガンダムは劇中で"機械人形"と呼ばれていました。それに対し"機械の巨人" をイメージして制作しています。ベースのキットはHGCC 1/144 ターンエーガンダムと、HG パシフィック・リム オブシディアン・フューリーの2つを組合せました。

――この作品において、Kameoさんらしい造形部分は?

【Kameo】完成後に、「ターンエーのパーツをたいして加工もせずにイェーガーに貼り付けただけじゃないか」というご指摘をいただきました。確かにその通りかもしれません。でも自分は楽しいのでオッケーだと思っています。むしろそういうテキトーな造形が自分らしさ、長所だと思うようにしています。

――これまでにモデラーとして経験した、技術的にもっとも高い壁は何でしたか?

【Kameo】模型制作をするうえで壁にぶつかったら壊さず登らず、他の道や抜け道を探すタイプかもしれません(笑)。

――他の道とは?

【Kameo】前述のとおり、技術的な壁は突破するより"回避"します。技術鍛練は大切だと思いますが、マテリアルを変更して解決することもあります。例えば使う塗料を性質の違うものに変えてみる等ですね。

最初は“拒絶反応”も、数年後に“作品性”に触れて大ファンに

――「ターンエーガンダム」のデザインに関して思い入れはありますか?

【Kameo】あります。やはりあの唯一無二のデザインセンスが好きです。バックパックがなかったり胸部が丸ごと武器庫になっているデザインにもきちんと理由があり、そのうえで劇中では胸の中に牛を乗せてしまったり。そんなところも好きです。

――放送当時、ターンエーのことをどう思っていましたか?

【Kameo】放送当時、従来のガンダムとあまりにも違う独特なビジュアルと世界観に拒絶反応を起こして、ストーリーが頭に入らず序盤で視聴を止めてしまいました。けれど、数年後にゆっくり見直して、その評価が激変しました。

――確かに、アニメ『ターンエーガンダム』は“世界名作劇場ガンダム”と言われ、演出面やストリー面で高い評価を受けていますね。

【Kameo】これは自戒を込めての話ですが、ターンエーガンダムの世界に現実が追い付いたというか、或いは現実社会が退行したのか…。ターンエーで描かれている世界観は、当時よりもリアリティを増している気がします。「大袈裟」と言われそうですが、今こそ多くの人が見るべき作品だと思います。ロランやディアナ、キエルらの立ち居振る舞い、彼らの選択した生き方を見て思うところが沢山あります。

――影響という点では、若い世代も含め、今では一般的に使われるようになった「黒歴史」という言葉はターンエーガンダムの劇中で使われたことが由来となっています。Kameoさんにとってのガンプラ黒歴史はありますか?

【Kameo】服の背中にガンプラの手首がひっかかったまま、知らずに街を歩いてしまったのが黒歴史ですね。ラーメン屋で食事をしていたら「お客さん、背中に小さい手みたいの付いてるよ?」と言われて、とても恥ずかしい思いをしました(笑)。

――ターンエーガンダムを見て、Kameoさんがもっとも影響を受けた部分は?

【Kameo】やはり主人公ロラン・セアックの生き方に感動します。彼は“月の民“、いわゆるスペースノイドですが地球に住む人を憎まない。蔑んだりもしない。しかし "人の命を大事にしない人とは誰とでも" 戦って、最終的には女王の従者として介護を続ける選択をする。優しさと強さを兼ね備えたガンダムシリーズの中でも稀有な存在です。

――では、ターンエーガンダムの中で印象深いシーンを教えてください。

【Kameo】ターンエーガンダムの最終回、最後の5分で見せられるソシエの姿がかわいそうだと思いました。けれどロランの介護生活が終わったらいろいろなことが起こって、最終的に幸せになるはずだと僕は思っています。つまり、ソシエが幸せにならなかったことで、その後のお話を想像する余地が出来たので良かったのかもしれません。

――kameoさんにとってガンプラとは?

【Kameo】プラモデル全体を料理に例えると、ガンプラはカレーみたいなものでしょうか。手軽に作れて、別のルーを混ぜるとコクが出る。好きな具材を足しても良い。ハロプラなどの甘口から、RG・PGまで用意されていて子どもも大人も楽しめる。だから私にとってガンプラは“カレーライス”みたいな存在ですね。

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(C)創通・サンライズ

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