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石原さとみ、野島ドラマで経験した“自分との戦い”「読み込む時間も熱量も必要でした」
キャスト・スタッフそれぞれで“解釈が異なる”野島脚本「生まれた物を覆されることもある」
石原さとみ演じさせていただくとやはり難しかったです。大事なのは読解力だと思うんですけど、キャスト・スタッフそれぞれ解釈が違うんです。「ここの意味はこっちに繋がってるはず」「いやこっちでは?」って目指す方向を合わせなきゃいけない。最終回についても、みんなで「勉強会を開いてから挑まなきゃいけないね」って話してたほどです。
石原さとみ演者同士というより、監督やプロデューサーさんとのディスカッションが多かったです。「こっちに行き過ぎたら、大どんでん返しにならない」とか「悲しいシーンだけどこの人は道化みたいな人だから、もうちょっと柔らかく」みたいにいっぱい話し合って、だんだん野島さんのドラマの作り方を学んでいった感じです。4話ぐらいから展開が早くなり、7話以降は芸術的な話が深まり、9話はまた思いっきりラブストーリーになって。芸術の普遍的な話とラブストーリーという身近な話の共存が新しいなと思いました。
―――演じたからこその野島ドラマの魅力は?
石原さとみ台本が小説みたいなんです。その意味は誰の目線で見るかでも変わります。私は(演じる)ももの目線で見ていて、キャストそれぞれの意思があるので、だからこそ話し合いがとても重要で。各話で監督も違うので、いつも話し合って「私はこのセリフで一番カチンとくるかもと話したら(監督から)「確かに。じゃあ、その顔を撮ろう」と話し合って、情報を共有しています。
――話し合いも含め、思い出に残る作品になったのでは。
石原さとみ衣装などを含めて、作品作りそのものが思い出です。野島さんの小説のような美しいセリフを自分の気持ちに落として噛み砕く…。でもセリフは変えずに、自分なりに言う必要があるため、読み込む時間も熱量も必要でした。しかも、それをスタッフ間に共有することが大切で、そのためには一人で意見を言う時間も必要でした。
――でも、そうした“理解”が必ずしも正解とは限らない?
石原さとみもちろん、そこで生まれた物を覆されることもあるし、本当にいっぱい話し合いをして、体力も精神力もいるドラマでした。
心に引っ掛かりが残らない大団円に!? 「伏線を全て回収する“完全なる最終回”」
石原さとみ今回のドラマはキャストの皆さんと会う機会が少ない現場でした。全員が一堂に会するようなシーンはほとんどなかったので、それぞれが“自分との戦い”で勝負しなきゃいけなかったと思います。誰かの力を借りたり、誰かに活かされるということも少ないけど、それぞれの見せ場がちゃんとあるという…。
――中でも共演が多い峯田さんに対しては、共演前後で印象の変化はありましたか?
石原さとみアーティストさんで俳優も多くやられていて、中身はももに近いように思いました。私がもものことで悩んだ時に峯田さんの楽曲を聞くと、ももの心情が分かったりするんですよね。野島さんが当て書き(その人をイメージして脚本を書くこと)をされている部分もあるけど、本当に峯田さんはももみたいにアーティスティックです。未だによく分からない部分もまだまだいっぱいあるんですけど(笑)。だからこそ、会ってない時に銀杏BOYZを聞くとももに対するヒントがあって、シンパシーを感じました。
――ほかの共演者の皆さんとのエピソードを教えてください。
石原さとみなな役の芳根(京子)ちゃんは本当に超いい子!大好き!! 現場で一緒になることが多くて楽しかったです。(コスプレ好きの原田秋保役)高橋ひかるちゃんは最初、役に不安がっていたように感じられましたがどんどん楽しんでて素敵だな〜とイチ視聴者目線で思いました。
――高橋さんは、毎シーン違うぐらいのコスプレを披露されていましたね。
石原さとみそうなんですよ。衣装のコスプレ担当の方がいるくらいで(笑)。今回、不思議なのは、ほかのキャストの方の部分を普通にドラマとして見ちゃっているんですよね。あとは(神宮流次期家元候補・神宮兵馬役)大貫(勇輔)さんは2人のシーンを本当に完璧に準備してきてくださったので、頼りがいがあって安心して演技できました。あとは、小日向さんとはお互いに、微動だにせず本心を明かさない静かなシーンしかしてないので、「『オイ! もも。食べるか寝るかどっちかにしなさい』みたいな下町の親子の役をやりたいね」って話してました(笑)。
――親子の愛憎のシーンが多かったですからね。そんな月島家の愛憎、ももと直人の関係も含め、最後に最終回の見どころを教えてください。
石原さとみ「こんなにも全部の伏線、回収する?」と思える “完全なる最終回”です。モヤッとする物がひとつもない、いい最終回になると思います。ぜひ多くの方に見ていただきたいです!
(文:藤野智洋)