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“詐欺メイク”自白の心理とは?不自然でも人気の理由を美容プロに聞く
ネガティブイメージの“詐欺メイク”、なぜ台頭?
「自撮り文化や写真加工アプリの進化、ネット上のみでのコミュニティが日常化している現代では、首から上の外見を盛ることに抵抗がないのではないでしょうか」(芦田)
そもそも詐欺メイクは”詐欺”と言われるだけあって、あまり良い印象はなかったもの。男性は以前と変わらず”すっぴん”を好む傾向にあり、女性誌やメイク雑誌でも、旬のカラーを取り入れた派手なメイクが人気の一方で、”ツヤ肌”や”ヌケ感”、”透明感”といったキーワードが目立ち、持って生まれた顔のパーツを生かしたナチュラルメイクが女性たちの間でも長くトレンドとなっている。
その一方、ざわちん、かじえりといった”ものまねメイク”の達人がパイオニアとなり、別人に変身するメイク技術がひとつのエンターテイメントとして確立されてきている。美容系YouTuberによる、あえてすっぴんとのギャップを見せることを目的としたメイクプロセス動画も人気だ。こうした変身系メイクが流行する背景には、カラーコンタクトやアイプチ、つけまつげなどが定番化してきたこと、さらに最近ではぷっくりとした涙袋を描ける“涙袋シャドウ”や、ハイライトとシェーディングで光と影を出しメリハリのある小顔を作る”コントゥアリング”という化粧技術が進化してきたことなどがあるという。
整形していないアピールにも、“詐欺メイク”告白の心理
顔の印象が少し変わっただけで「整形した」「整形していない」と噂になってしまう芸能界では、女性タレントがメイク過程を公開することがある種のトレンドとなっている。印象をガラリと変えるメイク工程をSNSで配信し “種明かし”をすることで「私は整形はしていません」という逆張りのアピールにもなっているのだ。
有村架純の姉でグラビアアイドルの有村藍里は、『有田哲平の夢なら醒めないで』(TBS系)に出演した際、妹の顔に近づけるため、鼻の下にメイクで小さな縦線を入れていることを告白。するとSNSでは「努力していて尊敬する」「全力で応援したい」など好意的な反応を集めた。さらに同番組で整形を疑われると、歯茎を削り、セラミック矯正をしたことを明かしたが、現在はあくまでもメイクで変身していることを説明した。
ゆにばーす・はらの別人メイク動画が話題に
ゆにばーす・はら 別人級メイクビフォーアフター(画像は『VOCE』の公式Youtubeより)
アイプチ完成(画像は『VOCE』の公式Youtubeより)
アイラインを引く、ゆにばーす・はら(画像は『VOCE』の公式Youtubeより)
「詐欺メイクができるということは、もはや後ろめたいことではなく、すごいテクニックを持っていると誇るべきことになってきているのかもしれません」(芦田)
この動画の企画意図について芦田さんは「Instagramにアップされた、はらさんのメイクのうまさに驚きました。実際の詐欺メイクの工程をVOCEらしく丁寧なプロセスを追った動画で見せたら、面白いコンテンツになりそうだと思ったんです」と話す。
もともとメイクが好きで、出会い系サイトに載せる顔写真を美しく撮影するためにメイクに凝り始めたというはら。現在はかわいい写真を残して楽しむために詐欺メイクを楽しんでいるそう。動画の中でもブラシの使い方や眉山の作り方など細かい技術が紹介されているが、なかでも、2種類のアイプチとアイライナーやアイシャドウを駆使して重たい一重まぶたを印象的な二重に盛っていく様子は圧巻だ。
実際、動画を観た視聴者たちからは、「ただただすげえ」「盛るまでが化粧」「もう何も信じられない」「メイク楽しんでるとこ見てこっちまで楽しくなる」といった驚きや称賛のコメントが寄せられている。このような反響を受け、芦田さんも大きく手応えを感じているようだ。
「変身のおもしろさとえぐさに驚いてくださったのがよくわかりました。はらさんの詐欺メイクの面白さは、まず、プロから見ても素晴らしいメイク技術、自撮りのクオリティへの飽くなき探求心、そして何よりも確かに『詐欺!』と思うほどのビフォーとのギャップです。さすが人気若手お笑い芸人!と思わせる、もはや一種のエンターテインメントですので、賛否両論あると思いますが、皆様には楽しんでいただきたいですね」(芦田)
一方で詐欺メイクに「不自然」の声もいまだに残る
「詐欺メイクはフィルターを通すことを前提としたうえで逆算したメイクなので、通常のメイクより色も濃く乗せているし、ラインも強めで、ボディとのバランスを無視したメイクになりがちです。実際に生で会うとぎょっとされる可能性も十分にありえますので、人と会うときは技術を駆使し過ぎず手加減してください、ということでしょうか」(芦田)
エンタテインメントのひとつとして詐欺メイクを楽しみながら、人に接する際のメイクは相手に配慮することも気をつけたいところだ。
整形するよりもハードルが低く、技術次第では自分のコンプレックスを隠す武器となる詐欺メイク。日々のメイクにどれだけ上手に取り入れられるか、メイクをする上での自己プロデュースをいかに磨くことができるかが、これからの鍵になるのかもしれない。
(文:齋藤倫子)