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女芸人の支持層に変化 ネタやトークも“女を出せる”時代に

 女芸人の勢いが止まらない。バラエティ番組以外にも朝の情報番組など、テレビを点ければブルゾンちえみ、渡辺直美、横澤夏子といった女芸人が登場し、自身の恋愛経験、結婚観などのプライベートを語る姿も当たり前となった。なぜ、女芸人は視聴者を笑わせるだけではなく、同性の女性の共感を得る存在へと変化しているのだろうか?

ベテランから気鋭まで…男性芸人並に層が厚くなった女性芸人

  • “女らしさ”を笑いに変えた大久保佳代子(写真:田中達晃)

    “女らしさ”を笑いに変えた大久保佳代子(写真:田中達晃)

 いわゆる女芸人がお茶の間に登場するようになって久しいが、今では活躍する女芸人の数も増え、その芸風も多岐にわたっている。久本雅美や山田花子といった劇団や新喜劇系で叩き上げたベテランから、それに続く森三中、オアシズ、ハリセンボンといった中堅どころ、最近では“モテない女”設定のおかずクラブや尼神インター、その逆の“モテる女”“デキる女”設定のブルゾンちえみ、相席スタートの山崎ケイ、平野ノラといったところまで、女芸人のバリエーションは充実しており、まさに“層が厚い”状況なのである。

 さらに渡辺直美やブルゾンちえみなどは、それぞれTVドラマ『カンナさーん!』(TBS系)と『人は見た目が100パーセント』(フジテレビ系)に出演し、その演技力も賞賛されている。特に渡辺は、現在放送中のドラマでも主演であり、700万人超えのフォロワー数を誇る芸能人インスタグラムNo.1、モノマネのワールドツアーを敢行し、世界でも称賛されるほどで、もはや女芸人の枠を飛び越え、女性芸能人としてもトップレベルに近づいたとも言えるし、ブルゾンちえみにしても、1980年代DCブランド全盛期の女性デザイナー然とした奇抜なメイクが、渡辺同様に“おしゃれ”と同性に支持されているのだ。

かつては、“女性の部分をさらけ出す”ことがタブーだった時代も

 女芸人がブレイクするための最大の武器のひとつが、“同性の女性からの支持・共感”だ。イラっとする女のモノマネで大ブレイクした横澤夏子は、『ORICON NEWS』(2017年1月)のインタビューで、「たぶん、私が一番“女子の中の女子”だと思いますよ。私が演じているイラっとする女性よりも、私自身のほうがイラっとさせる自信があります(笑)」「ただ自分の中では、クラスで調子に乗っている女子という感覚が強いんです(笑)。本当に結婚したいという気持ちがあって。私、“面白いお母さん”になりたいんです」と発言しており、あくまで女性目線の等身大の女のネタにこだわっていることや、ごく普通に結婚に憧れているというプライベートの姿を包み隠さず話している(因みに今年の7月に入籍を発表)。

 だが、かつては森三中などのように男芸人顔負けの体を張った芸に挑み、女を出さないことが逆に“笑い”につながっていた時期もあった。ターゲットが男性優位だったこともあり、女の色気や母性を感じさせる芸は笑いに結びつきにくかったのである。実際、“日本で初めて天下を取った女芸人”とも言える山田邦子などは、人気絶頂期に「急に女を出すようになった」「天狗になった」等々のいわれのないバッシング、特に同性からの批判を受けたこともある。また、森三中などの過激な体当たり芸にしても、(そこまでしなくとも…)(女の下ネタはちょっと引く…)といった男性側の拒否反応もしだいに出はじめてくるのだ。

“女らしさ”を笑いに変えた大久保佳代子の功績

 そんな状況を変えたひとりが、オアシズの大久保佳代子だ。大久保の登場は、女であることを語ることが“許される”きっかけになったと言っても過言ではない。大久保は、“女を前面に出すブスキャラ”“毒を吐くアラフォー”といったキャラでブレイクし、『ORICON STYLE』の『2013年上半期“最もブレイクした”と思うお笑い芸人』でも、見事1位に輝いた。「ズバズバ本音を言うのが爽快」(長崎県/20代/男性)「毒舌だが、嫌みがない」(静岡県/20代/女性)などのコメントもあるように、男女ともに支持を受け、男性には“ちょいブスだけど、ちょっとエロくてちょうどいい熟女”、女性には“中年女性の代弁者”という立ち位置を獲得し、今なおバラエティ番組などで活躍している。

 大久保のブレイク以降、渡辺直美は「地方ロケ先のバーでガテン系の男を逆ナンし、お持ち帰りした」、ブルゾンちえみは「ネパール人の男と3人付き合った」等々、女芸人が続々と“女の部分”を語りはじめ、下ネタをぶっちゃけることも今や当たり前で、むしろバラエティやトーク番組では“美味しいネタ”になっている。

 BPOの問題もあり、森三中のようなリスペクト級の体当たり芸は、男女ともに難しい時代になった。そうした中、男女を問わず嫌悪感を抱かれないどころか、むしろプライベートトークも含めて共感されるという現在の女芸人たちの層の厚さは、今後のお笑い界にとっても大きな力となるだろう。

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