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「怖くて近寄れない」の声も…リアルすぎる“クモ”を展示する六本木ヒルズの狙い
SNSでは「敵が出てきた気分」「クモ嫌いには怖くて近寄れない」という感想があるなどインパクトを与えているようだが、ふと疑問が沸いてくる。一体誰が作ったものなのか、そもそもなぜ六本木という場所に「クモ」だったのか…六本木ヒルズを運営する森ビル株式会社タウンマネジメント事業部の渡邉さんに話をうかがった。
実はアート作品だった!9体いる内の“1匹“は世界を巡回中
「この巨大な作品ですが、名前を『ママン』といいます。ルイーズ・ブルジョワというフランス出身の女性彫刻家が2002年に制作したもので、高さは10メートルほどあります。下からのぞいてみるとわかるのですが、体内に20個近くの白く光り輝く大理石の卵を抱えており、そこにはルイーズ自身の母親への憧憬(編集部注:しょうけい。あこがれること)が込められています」
――なぜ六本木ヒルズに置かれているのでしょうか?SNSでは「23区は上空から見るとクモの巣状にできており、六本木は都心でもあるためにクモを置いた」という情報を拝見しましたが、そちらの真偽のほどは?
「六本木ヒルズのメインエントランスでもある66プラザは、日本のみならず海外の人たちも訪れる場所です。人と人が出会い、新たな価値や情報が紡ぎ出される場になってほしいという思いから、知恵の象徴とも言われる『クモ』を選びました。『クモの巣』のようにネットワークが広がっていってほしいという思いも込められています」
と、どうやらSNSの情報はあくまで“噂”のようだ。ちなみに、『ママン』は六本木だけに置かれているものではない。ロンドンの『テートモダン』をはじめ、スペインのビルバオにある『グッゲンハイム美術館』、ソウルの『リウム』などに恒久設置されているほか9体存在するようで、そのうち“1匹”が、世界各地を巡回しているという。
毛糸の靴下に“衣替え” カラフルバージョンに
「実は衣替えをするのは今回が初の試みです。六本木ヒルズが開業15周年ということを記念して、これまで毛糸を用いて都市空間を覆い、街の見え方を一変させるプロジェクトを数多く手がけてきたマグダ・セイエグにインスタレーションを託しました。六本木という街への思いを『編み』、それらをひとつひとつ『紡ぐ』ことへのメタファーが込められています」
――脚が細いようですが、折れたりはしないのでしょうか?
「もし大きな地震が起きても折れないよう、8本の足のうち、あえて2本だけをしっかりと固定しています。無論、人間が押してもびくともしません」
“文化都心”をコンセプトに誕生した六本木ヒルズには、『ママン』以外にも、『薔薇』のオブジェや『雨に消える椅子』など、街を歩きながら気軽に触れることのできる巨大なパブリックアート作品やストリートファニチャーが、20点ほど点在しているとのこと。もし機会があった際には、これらの造形物を探しにいくのも面白そうだ。