ORICON NEWS
木梨憲武に筋書なんていらない、“予定調和を破壊”するタレントとしての凄み
“ジジイ150人”を招集!“その場のノリ”が結果として愛される稀有な存在
また、4月18日にTBSラジオ番組『ジェーン・スー 生活は踊る』にゲスト出演した際は、「映画の仕事に興味がある」という22歳の男性リスナーに「才能よりも人との出会いが大事」とアドバイス。「20日に映画の舞台挨拶があるから。そこに(彼を)来させます」と、夢を追いかけるリスナーと映画会社の人間を引き合わせる仲介人的なこともサラリとやってのけた。悪ノリ系から感動系まで一連の木梨の“その場のノリ”がネットニュースを席巻したのだ。
冠番組以外のバラエティーで大暴れ! 久しく見られなかった姿にファン歓喜
4月18日の『スッキリ』(日本テレビ系)のVTR出演では突然映画のパネルに突撃し転げまわり、「どこを強く強打したか」がプチクイズにもなった(答えはヒジ)。4月21日の『おかべろ』(関西テレビ系)では、木梨家の隣人の一般人・林さんを番組に出演させるという離れ業を披露。このように番組の扱いの大小に拘らず、徹底的に予定調和を許さずに全てを“壊す”自由さを見せつけた。この無茶苦茶な木梨のノリに多くの視聴者が「えぇw」「憲さん最高!」「まさにとんねるずって感じの流れだなぁ」「もう毎週やってほしい」と盛り上がりを見せたのだ。
筋書ナシのとんねるず流“破壊衝動”はゲスト出演してこそ映える
かねてからギャラの高騰でレギュラー出演は難しいと言われていたが、木梨はゲスト出演で“神回”を演出するための実力をいかんなく発揮したのだ。むしろこの姿こそが、木梨憲武本来の“自然体”なのである。往年のファンにとっては「待ってました」「いいぞ木梨もっとやれ!」「やっぱ憲さんにかなう芸人はいない」と若かりし頃のとんねるずを懐かしむように歓喜し、若い層にとっては「こんなに体張れるなんてすごい!」「最近の芸人さんにはこういう場の空気を無視する人っていないよね」と類のないキャラクターが新鮮に映ったことだろう。
天性の“人たらし”がなせる業、愛されるが故に全てを壊しても許される
それを支えているのが木梨の人としての魅力だ。木梨憲武は天性の“人たらし”。誰彼構わず、垣根を作らずに懐に飛び込んでいく。先述の“ジジイ150人”招集イベント然り、大物であるにもかかわらず拘らず素人にもどんどん絡んでいく。木梨は器用なタレントで、お笑い、歌、モノマネ、演技、アートなど多彩な活動によりスマートな印象がある。そして、タレントからも「憲さん」と愛されるキャラクターゆえに仕掛けられた共演者もつい笑って許してしまう。
これらのエピソードのように、現場でアドリブを発揮し、それを“笑顔で楽しく”やってのけるのが木梨の真骨頂。先述の『1億人の大質問!? 笑ってコラえて!』では視聴者から「永遠の小学生」というイメージがあると言われている場面も紹介された。どんなにメチャクチャやっても成立してしまうのは、木梨自身がその場を心から楽しんでいるのが見る側にも伝わるからだろう。まるで子供のように無邪気に振る舞い、それに翻弄される構図は純粋に面白いし、視聴者を引き付ける。いわば、木梨憲武は“笑顔で予定調和を破壊する”一種の天才なのだ。
ORICON NEWSの木梨本人へのインタビューでは、30年間続けてきた秘訣を聞いたところ、次のように明かした。「つらいことなんてなかったですね! ずっと楽しく続けてきました。つらいことは、前日に飲み過ぎてやばい〜!くらいしかない。現場は面白いし、好きな場所なんで、飲みすぎ注意ってことだけですかね」。コンビの冠番組は終わり、ある意味大いなるしがらみから解き放たれた木梨憲武という“天才”は、今が一番面白いのかもしれない。
(文/Kanako Kondo)