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SEKAI NO OWARIツアーファイナル、Fukaseが語った「生まれてきて良かった」の意味とは?
ライブ全体がセカオワワールド、メンバーは車に乗って登場
月明かり程度の明るさの中、赤いクラシックカーに乗って4人が登場すると、「ANTI-HERO」からライブはスタート。演出とはいえとにかく照明が暗い。目をこらさないとステージ上の彼らを探すのも大変なくらいだ。しかもその暗さは、時に明るくなりつつもライブ後半まで続く。だけども、そうしてステージ上の装飾や4人の表情が少しずつ見えてくることで、歌と演奏をたっぷり味わえるのも事実だった。何度聴いても情感たっぷりのメロディが胸をきゅっとさせる「スターライトパレード」では、一斉に観客席のスターライトリング(腕時計型のライト)が点灯し、洋館から続く花道で歌うFukaseを包み込む。その美しい光景、そして場内一体の大合唱に、早くも涙腺が緩みそうになった。
実は“モンスター”という設定、観客の女性をさらう場面も?
中盤、実はモンスターである彼らが「人間が食べたい」と語りあうアニメーションから、花道の先端にあるセンターステージで「Death Disco」や英語詞の新曲「Monsoon Night」を演奏。FukaseのファルセットとSaoriのつま弾くピアノ、ストリングス隊の滑らかな和音が印象的な「SOS」をしっとり聞かせた後、メンバーが観客の女性ひとりを指さしで選出。なんとステージに上げられ、Fukaseのエスコートにより館の中に連れていかれてしまった。ふいに、女性の悲鳴が場内に響く。鶏の頭をかぶった料理人たちに調理され、彼女は今夜の“ ディナー”となった。
セカオワというバンドの本分とは? Fukaseが声を詰まらせ語る
例えばそういった想いを理詰めで叫ぶのではなく、ビジュアルとサウンドのマジックで美しく伝えていくことができるのが、SEKAI NO OWARIというバンドの本分なのだ。「炎と森のカーニバル」から始まったアンコールでは、アリーナを走り回りながらたくさんの人と触れ合ったFukase。心の内を語ったMCでは、「……本当に、生まれてきて良かった」と、涙をこらえて声を詰まらせる瞬間もあった。信頼と尊敬でできた絆が作る、愛の音楽。SEKAI NO OWARIが幅広い層に愛される理由を肌で感じる夜だった。
(写真/太田好治 文/川上きくえ)