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地図には載っていないエリア「裏原」「奥渋」ってどこのことなの?旅行ガイドブック編集者に聞いてみた
そして若者が多い街・渋谷の中において、閑静な住宅街が立ち並ぶ「奥渋」エリア。『マツコの夜の巷を徘徊する』(テレビ朝日系)で特集された際にも、豪華な装飾がされたレストランなど、入ることにも勇気がいりそうな大人な店が紹介されていた。どちらも耳にすることはあるが、地図には書かれていないため「どのあたり?」と聞かれると、「竹下通りの向かい側」「東急百貨店の奥の方」など、“なんとなく”でしか答えられない人も多いのでは。
実際、これらの“通称エリア”はどこを指しているのか。また、いつごろから、どんな背景があってこの言葉が使われはじめたのか。街のガイドブックを作る『まっぷる』編集部の市来恭子さんに話を聞いた。
竹下通りを“表の原宿”としたことで「裏原」名称が誕生
『まっぷる』で紹介する際は、明治通りと表参道、キャットストリートの間のエリアとしています。住所でいうと神宮前3〜4丁目あたりです。
――いつごろから「裏原」と呼ばれるようになったのでしょうか?
1980〜90年代頃に、竹下通りにあったショップとはテイストが異なる、個性的な服や雑貨を扱うショップが増えてきました。各ブランド自体の人気はもちろんですが、カリスマ的人気を持った店員さんもいたことで人気エリアに。 “表の原宿”としていた竹下通り側と区別するためにも、“裏の原宿”、いわゆる「裏原」と呼ぶようになりました。
「奥渋」が生まれる前に「裏渋」があった
東急百貨店本店の先にある、NHK横の山手通り、井の頭通りの間のエリアを指しています。住所でいうと神山町、富ヶ谷1丁目あたりです。
――いつごろからそう呼ばれるようになったのでしょうか?
「奥渋」というエリア名が出てくるより少し前に、2014年に宇田川カフェを経営しているLD&K(レコードレーベル)さんが、自社のカフェを紹介する『裏渋谷CAFE MAP』で書かれていた「裏渋」という通称が先に広がっていきました。その後2015年ごろから、宇田川町より先の神山町、富ヶ谷にもショップが増え始め、その一帯を雑誌やテレビが「奥渋」と呼び定着していきました。ですが「裏渋」と「奥渋」には、はっきりとした違いはなく、メディアによって流動的に使われている名称のように思います。
――「奥渋」の特徴を教えてください。
スクランブル交差点やセンター街のような渋谷駅近くの、人が多くてガヤガヤしている“ザ・渋谷”な感じとは違う、ゆっくり過ごせる落ち着いた雰囲気があると思います。チーズやコーヒーなどの専門店や、ライフスタイルマガジンを発行する会社が手がけたセレクトショップなど、上質なこだわりの店が点在しています。
次にブームとなるエリアは「ダガヤサンドウ」?
「ダガヤサンドウ」が挙げられます。場所としては千駄ヶ谷駅と北参道駅の間、住所でいうと千駄ヶ谷1〜4丁目あたり。その一帯は人気の原宿エリアが近いものの、どちらかというと「住宅街」のイメージでした。ですが2008年に副都心線が開通して以降、徐々に個性的なショップが増えはじめており、東京オリンピックのメイン会場でもある新国立競技場が完成したら、さらに発展しそうなエリアです。能楽堂や鳩森八幡神社など文化的スポットが数多くあるのも特徴です。
時代とともに増え続ける“通称エリア”。「流行っているから」という理由で訪れてみるのも良いが、少しそこから外れて自分好みのエリアを見つけるのも、ひとつの楽しみ方だろう。