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松坂桃李、沢尻エリカが語る、自然体でいることの大切さ「うまく生きられなくて当たり前」

キラキラ系少女漫画の実写化が相次ぐ昨今、異彩を放つサスペンススリラーコミック『不能犯』の映画化作品が2月1日(木)に公開。その内容は人の心の闇をえぐるディープな内容だ。主演の松坂桃李、沢尻エリカの2人が、本作の制作秘話と、多忙ながらも自分らしく生きる秘訣を語ってくれた。

映画『不能犯』は、宮月新(原作)、神崎裕也(作画)による同名コミックの実写映画化作品。本作の主人公で相手の目を見つめるだけで人の心を操り、死に至らせる能力を持つ男・宇相吹正を松坂桃李が怪演。そして、宇相吹のマインドコントロールが唯一効かない女刑事を沢尻エリカ。まさしく静と動、光と闇のような役柄を演じたふたりの対談が実現することに。現場では宇相吹の役柄とはかけ離れた根っからの好青年気質の松坂と、多田刑事のようにチャーミングな魅力を振りまく沢尻の掛け合いに取材陣もほっこり。【立証不可能犯罪】スリラー・エンターテイメントの本作からは想像もつかない、明るく笑顔に溢れた空間だった。

お互いの印象は…「マンガから飛び出してきた人」(沢尻エリカ)、「芯の強い女性」(松坂桃李)

――今回は初共演ということで、お互いの印象や現場でのエピソードについてお聞かせください。
松坂桃李 自分では「流されやすい」とかおっしゃっていたんですが、その割りに現場ではそんな雰囲気を微塵も感じさせない方だなって。僕の印象では沢尻さんはピッと一本筋が通ったような芯の強い女性という感じ。とくにそれを顕著に感じたのはスタッフさんとの接し方ですかね。コミュニケーションの中で作品と真剣に向き合ってる空気がヒシヒシと伝わってきて。周りに対しての視野の広さみたいなものもすごく感じました。
沢尻エリカ 私は最初お会いしたとき「本当に漫画から飛び出してきたみたい! 宇相吹そのまんまだ!」って興奮しました。
松坂桃李 そう言っていただけてありがたい。本当にありがとうございます。
沢尻エリカ すごくミステリアスで近寄りがたいオーラを放ってたんですよ。だから最初は全然話しかけられなかったです。

――というと、おふたりとも最初から役に入り込まれていたということでしょうか?
松坂桃李 今回は役柄的に回りとコミュニケーションを積極的にとるタイプではないので。そういう意味では最初から役に入り込んでいたのかもしれません。
沢尻エリカ 私はどの作品でも「役に染まりきろう」というスタンスでやってるので、もともと役に入り込みやすいタイプなんだと思います(笑)。しかも多田刑事は個人的に好きなキャラクターだったので、演じるのがとにかく楽しくて。難しい役ではありましたが、その分やりがいも感じました。今回は久しぶりにアクションシーンにも挑戦しているんですが、頭でイメージしているのと実際に動いてみるのとではやっぱり全然違うんです。「動きながら手際よく手錠をかけるのってこんなに難しいんだ」と思い知らされたし、そこには想像を超えたものがあって。何度も何度も撮り直しさせてもらいました。

――沢尻さんはアクションシーンで足を痛めてしまったそうですね
沢尻エリカ そうなんです。ちょっと筋をおかしくちゃって。朝一でストレッチをしないでいきなり走ったらやっちゃいましたね。すぐにテーピングをして冷やしたら何とかなりました。アクションシーン前の準備運動の大切さを学ぶいい機会になりました(笑)。

――松坂さんは、演じる宇相吹の笑いが恐ろしくて、不気味でした!
松坂桃李 宇相吹のあの独特の笑みは鏡の前で何度も練習しました。ト書きには“ニヤ”ではなく“ニタァ”と書いてあったのでそれを「人間って、どれだけ口角が上がるんだろう?」って思いながらやっていました(笑)。人生でここまで口角を上げたことはないかもしれないです。
――本作は、“人間の心の闇”を垣間見れる映画でしたね。
松坂桃李 『不能犯』は自分自身の欲や業みたいなものと向き合うきっかけになる作品だと思います。宇相吹と多田刑事が対峙するシーンなどを通して「はたして自分はどうかな?」と問いかけながら観ていくと、ゾクッとした感覚を味わえるんじゃないのかなと。もし、宇相吹が仕掛けるマインドコントロールと向き合ったとしたら、自分はどんな感情を抱くのか、そこに注意を向けながら観てもらいたいです。
沢尻エリカ 物語の序盤からハラハラ・ドキドキ感が続く新感覚のスリラーエンターテインメントになっています。スピーディーに話が進んでいくので、ぜひそのスリルを皆さんにも体感してほしいです。

誰からもコントロールされずに生きています(笑)(沢尻エリカ)

――宇相吹は他人をコントロールする男でしたが、松坂さんご自身もそうした側面はございますか?
松坂桃李 他人をコントロール…なかなかできないですよね。でも、作品に入る際に限っては“自分”をコントロールしていますね。その作品の世界観に入るための“自分へのマインドコントロール”に近いかもしれません。
――対して多田刑事は絶対にコントロールされない女であり、正義心を貫き通す役柄でした。沢尻さん個人が絶対に貫き通したいことって何ですか?
沢尻エリカ 仕事以外は自分の好きなように、誰からもコントロールされずに生きてます(笑)。基本的にどんな場面でも自分の直感に従って行動しています。「旅行に行きたい!」と思った3日後にはタイに行っちゃったり。本当自由です(笑)。
――この作品では“思い込み”が物語の大きなキーワードとなっています。実際におふたりが正しいと思っていたけど、実は間違っていた・勘違いだったというエピソードはありますか?
沢尻エリカ 小さいとき茶碗蒸しが大嫌いだったんです。その理由が「何で虫が入ってるの!?」って。小学校高学年ぐらいまで本気で虫が入ってる料理だと勘違いしてました。でもよくよく考えてみたらそんなわけないし、食べてみたらすごく美味しいし。今は大好きです、茶碗蒸し(笑)。
松坂桃李 でもその勘違いはいいですよね。後で感動が待ってるパターンだから。僕はこの仕事を始めてから戦隊ものの裏側を知ったときかな。変身前も変身後もずっと同じ人がやってると思ってたんですけど、実際はスーツアクターさんがいたっていう。(戦隊ヒーロー作品出演当時)僕のシーンが終わると監督が「はいカット! スーツアクターさんお願いします」みたいな。「あぁ、大人たちはこうやって撮ってるんだな〜」って(笑)。
沢尻エリカ それはショックかも(笑)。

人生を楽しむコツは、「自分に正直に生きる」ことで二人が共感!?

――『不能犯』は人間の心の闇を扱ったディープな作品でした。物語では宇相吹の「…愚かだね、人間は――」というセリフが印象的でしたが、おふたりが実際にやってしまった“愚かなこと”はありますか?
松坂桃李 最近の話なんですが、コンビニでレジまで商品を持っていてそこでやっと財布を忘れたことに気づくとか。お会計時に「あ、すみません…」って。たぶん裏で店員さんに「松坂桃李が来て、財布忘れてたよ!」なんて言われているんだろうなって思います(笑)。
沢尻エリカ 個人的に大変な時期もありましたし、小さいことを挙げたら本当にいろいろありすぎて…。「うわ! またやらかしちゃった!」みたいなことばっかです。具体的な例が今思いつかないけど、日々何かしら愚かな失敗は繰り返してますね(笑)。
――“闇落ち”しないためにも、おふたりが実践されている人生を楽しむコツがあれば教えていただけますか?
沢尻エリカ 人間であれば失敗だってするし、うまく生きられなくて当たり前だと思うんです。だからなるべく誠実に、心をオープンにしながら生きるのが楽なのかなって。他人からどう思われたってそんなの大したことじゃないし、自分に嘘をついて生きるより全然いいじゃないですか。間違えたり、失敗したりとかはたくさんあるけど、それでもまぁ良しとしています(笑)。今の自分は楽な生き方をしてるなって思えるので。
松坂桃李 僕も似たような感じになっちゃうんですけど、自分を繕わず自然体でいるのが一番うまくいくと思います。そうすれば自分に合った人たちも“類は友を呼ぶ”というか、自然と引き寄せられてくる。結果、その人自身が落ち着ける環境もおのずと整っていくのかなって。
――役者という仕事の場合、多くの人から注目されてしまうと思います。そんななかで自然体でいるのは、なかなか大変なようにも感じますが…?
松坂桃李 たしかにこの仕事をしていく上で言ってはいけない、やってはいけないボーダーラインはあると思います。でも、その辺はやっていくうちに自然と染み込んでいくものなので。そうしたボーダーラインが自分の負荷になってるとか、またそれによってストレスを感じてるとかそういうのはないですね。

(文/Kanako kondo 写真/Tsubasa Tsutui)

■2月1日(木)公開 『不能犯』

監督:白石晃士
原作:宮月新、神崎裕也(作画)『不能犯』(集英社)
脚本:山岡潤平・白石晃士
出演:松坂桃李、沢尻エリカ、新田真剣佑、間宮祥太朗、テット・ワダ、菅谷哲也、岡崎紗絵、真野恵里菜、忍成修吾、水上剣星、水上京香、今野浩喜、堀田茜、芦名星、矢田亜希子、安田顕、小林稔侍
(C)宮月新・神崎裕也/集英社 2018「不能犯」製作委員会

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