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どこまで増える? 特撮ヒーローの“インフレ”化

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    特撮ヒーロー番組はこれまで、数々のスターを生み出してきた

 2018年2月11日から放送開始されるスーパー戦隊シリーズの新作『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(テレビ朝日系)が発表され、“史上初のW戦隊”、“戦隊VS戦隊VS悪者の三つ巴”などとして話題を呼んでいる。「戦隊は5人、ライダーは1人」と言われていたのは昭和の話で、最近の特撮ヒーローはどんどん登場人物も増えて“インフレ”の波が止まらない。そんな多種多様化する特撮ヒーローの変遷を見ていこう。

“レッドが2人”や“最初から9色”も…増え続ける特撮ヒーローの今

 東映の戦隊ヒーローは、2月からスタートする『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』で42作目となる。快盗戦隊ルパンレンジャーはレッド、ブルー、イエローの3人、警察戦隊パトレンジャーはレッド、グリーン、ピンクの3人で、主人公的位置づけのレッドが戦隊もの史上初めて2人存在することになる。そもそも東映制作・テレビ朝放送の特撮ヒーローは、『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年〜)の5人にはじまり、スーパー戦隊シリーズの呼称が定着する『太陽戦隊サンバルカン』(1981年〜)では3人だったり、(シリーズは異なるが)宇宙刑事シリーズの『ギャバン』や『シャリバン』などヒーローが1人の作品もあった。

 5人体制が崩れたのは、1992年の『ジュウレンジャー』。6人目の戦士が登場し、初めて“5人超え”を果たした。玉山鉄二演じる「ガオシルバー」が6番目のヒーローとして登場した『百獣戦隊ガオレンジャー』(2001年)では、当時のテレビ朝日の同時間帯の最高視聴率を塗り替えるほどの人気を博した。そして、『獣電戦隊キョウリュウジャー』(2013年〜)では、とうとうメンバーが10人(変身者は14人)となり、ここ最近は「最初は5人編成でヒロイン2人、後から“ゴールド”や“シルバー”など実力2番手が6番目のメンバーとして加入する」という基本フォーマットをなぞりながら、現在放送中の『宇宙戦隊キュウレンジャー』(2017年〜)ではタイトル通り、シリーズ最多の9人編成で物語がスタートするに至っている。

 こうしたヒーローの“インフレ化”はスーパー戦隊シリーズのみならず、同シリーズと並ぶ人気コンテンツ「仮面ライダーシリーズ」においても同じだ。「仮面ライダー=1人」というのも昔の話で、『仮面ライダーアギト』(2001年)ではいきなりライダー3人が登場。翌年の『仮面ライダー龍騎』に至っては、13人のライダーが最後の1人となるまで戦い続けるという展開となり、いわゆる“平成ライダー”シリーズ以降は複数ライダーどころか、ライダーと敵役が共闘することも珍しくなっている。

 ちなみに、劇場版では、時代を超えて過去のライダーたちと共闘するのは当たり前で、2017年3月公開の映画『仮面ライダー×スーパー戦隊 超スーパーヒーロー大戦』では、なんと100人を超えるヒーローが登場。これも年1回の“お祭り騒ぎ”的な「スーパーヒーロー大戦シリーズ」として定番化している。いずれにせよ、2000年代に入ったとたんに、特撮ヒ−ローは明確にインフレ化していくのである。

インフレ化だけじゃない! 実は時代と共に登場人物のキャラクターも変化

 戦隊ヒーローものと言えば、カラーによるキャラクターイメージにも特徴がある。『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975〜77年)の影響が根強く残る40代半ば以上の層にとっては、「レッドは熱血漢のリーダー、ブルーは2番手でクールな実力派、イエローはおっちょこちょいの三枚目でムードメーカー、ピンクは女性でヒロイン的位置づけ、グリーンは微妙でよくわからない・パッとしない…」などの刷り込みがあることだろう。

 しかし、イエロー=カレー好きといった“お約束”とも思われている設定も実際に広まっているイメージとは異なる。カレーが好きだったのは『ゴレンジャー』のキレンジャー(初代)と『サンバルカン』のバルパンサーくらいで、“イエローはカレー好き”が基本というわけではない。また、“ピンク=女性”設定も実は34年前に崩壊しており、『超電子バイオマン』(1984年)ではイエローがヒロインとなっている。さらに言えば、同作品から“女性=2人体制”も確立され、最近はピンク自体が不在で、ブルーや白が女性だったりすることも。現在放送中の『キュウレンジャー』ではピンク=女性アンドロイド、さらにグリーンも女性キャラクターで、パッとしないグリーンに新たな役割を付与した例となっている。このように、30代後半〜40代のお父さんが子どもと一緒に戦隊シリーズを観ると、戦隊ものの在り方の変化に驚き、浦島太郎状態になったりするわけである。

 また、過去には戦隊ヒーローを演じる役者の密かな交代劇や、知られざる“大人の事情”がちらほらと見受けられる場合もある。そもそも『ゴレンジャー』の初代キレンジャー役からして、舞台の仕事と重なって途中降板(のちに復帰)。以後、「視聴率不振」や「役者のスケジュールの都合」によってメンバー交代を余儀なくされると、劇中では“転勤”、“殉職”を名目にフェードアウトしたり、『バイオマン』のイエローのように、「スタッフと駆け落ちして、失踪で交代」という都市伝説(真相は不明)が生まれるという“黒歴史”も。一方、特撮ヒーローの先輩格である『仮面ライダー』のように、初代ライダー(1号)・本郷猛役の藤岡弘(当時)が収録中のケガで降板すると、代わりの2号・一文字隼人(佐々木剛)の登場で番組の人気に火がつき、本郷猛が復帰するとWライダーキックでさらに人気が爆発するという、交替劇がプラスに展開する例もある。近年このような珍事が起こらなくなったのは、シリーズ自体が成長しメジャー化を果たした時代の流れとも言える。

特撮ヒーローのインフレ化で“偉大なるマンネリ”からの脱却なるか?

 そして今や、特撮ヒーロー=イケメン若手俳優の登竜門となっているのは周知の事実。現在、飛ぶ鳥を落とす勢いを見せる若手俳優・竹内涼真も2014年放送の『仮面ライダードライブ』の主役であり、敵役ヒロインだった馬場ふみかも“モグラ女子”(モデルとグラビアを両立するタレント)として大ブレイクを果たしている。特撮ヒーローのインフレ化は、若手の新人タレントにしてみれば、男女ともにステップアップのチャンスが増えるという喜ばしいことでもあるのだ。スターが生まれることでまた特撮ヒーロー自体のブランド価値も上がり、お父さん・お母さんの“大人のファン”も拡大していくことだろう。

 一方、グループアイドルのメンバー多数化に見られるように、特撮ヒーローのインフレ化は「人気の分散」につながり、その結果「スーパースターの不在」をもたらすかもしれない。それが今後の視聴率にどう影響していくのかはまだ未知数だ。さらに言えば、ヒーローが増えれば当然キャラクター玩具も増えていく。スポンサーのメーカーにとっては喜ばしいことだろうが、子どもの親たちは多くのアイテムを追いかけて経済的負担も増えることも予想される。ヒーローインフレによるお財布事情の“恐慌”が発生することもあるのでは。

 とは言え、そうした大人の事情をよそに、子どもたちは多くのヒーローが登場することに心をときめかせるのは間違いない。また一歩“インフレ”が進んだ『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』が、「偉大なるマンネリから脱却!」(番組HPより)することができるのかどうか、大人としても手に汗握って注目したい。

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