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『女囚セブン』から見えた“女囚モノ”フォーマットの強み
イジメ、ケンカ、抗争、そしてお色気……曲者ぞろいの“悪女”物語
昭和を知る世代なら当然、梶芽衣子主演の映画『女囚さそり』シリーズという名作を思い起こすだろうし(ちなみに梶芽衣子は剛力の母代わりの置屋の女将役で出演)、2時間ドラマやVシネマなどでも女囚ものは鉄板のテーマだが、本作では囚人服はピンク、食堂のテーブルクロスもピンクのチェックであり、刑務所自体も事なかれ主義で不祥事はもみ消すという、どこか現代風の設定になっている。
そして、「セブン」=剛力を含む7人の女囚たちは、全員曲者ぞろいだ。剛力は元京都の芸妓ながら同僚を殺した容疑(冤罪?)で収監。政治家秘書(山口沙弥加)、元ヤンのシングルマザー(トリンドル玲奈)、遺産目当ての毒婦(平岩紙)、全身整形の美容整形看護師(橋本マナミ)、老々介護で夫を殺した最高齢(木野花)、嘘だらけの食い逃げ女(安達祐実)といった登場人物は、ドロドロすぎて剛力自体が“喰われ”そうなものだが、剛力は意外にも彼女らの“毒演技”を見事に切り返しているのだ。
女囚シリーズに期待される、刑務所内のイジメや主人公のヒーロー要素
また、剛力の京都弁は実に流暢で、芸妓時代の姿も剛力自体が芸妓顔?のためか違和感もなく、“こんなに演技上手かったっけ…?”と思わされるほど抑揚に富んだ演技を披露しでいる。脇を固める“濃い”女囚たちも、視聴者が「女囚」という言葉で想起する“刑務所”“悪女”“ドロドロの人間ドラマ”…といったイメージとうまく重なり、放送前からSNSなどでも期待値が高く、初回視聴率が同時間帯トップの7.5%という好発進も頷けようというものだ。
深夜ドラマだからこそ求められるドロドロの“アダルト”さ
“悪女が勢ぞろい”したということでも、主役級ではないながらも著名な女優たちのキャスティングは、深夜帯としては“豪華”なものとして映り、実際バイプレイヤーとして実績も実力もある女優たちがいっせいに脇を固めることで、視聴者も安心してドラマを楽しむことができる。そのキャスティング手法は、バカリズムが脚本を担当した日本テレビの深夜ドラマ『黒い十人の女』にも通じる最近のトレンドでもあり、『女囚セブン』というタイトルにしても、某週刊誌を彷彿とさせ、いかにも“ドロドロの女のドラマ”を思わせるものになっている。
テレビ朝日の「土曜ワイド劇場」なき今、局側には今後も『女囚セブン』のような“深夜ドラマ”枠を活かし、ゴールデンの作品とはひと味違う大人の娯楽として、“アダルト”な作品の魅力を追究していってほしいものである。