ORICON NEWS
“ゴリ押し”イメージを払拭 剛力彩芽、女優としての気概
はんなりとした京都弁の裏にある“狂気”を見事に表現
剛力は仲間を殺した冤罪で刑務所に送られた京都の芸妓・神渡琴音役。普段は無口で、残酷なイジメを受けても表情ひとつ変えない。口を開けば「かんにんしとくれやす」など、はんなりとした京都弁を話しながらも、何を考えているかわからない腹黒さと狡猾なまでのしたたかさを秘めている。神出鬼没で正体不明な、一種の“狂気”すらも漂わせた琴音を、剛力は実に自然に演じており、まさにジャストフィットした“ハマり役”と言える。
琴音へのイジメも初回から「陰惨」の一言。髪や顔にまでビッシリと臭いヘドロのような肥料をぶちまけられるというのは序の口。茶碗に盛られたごはんにゴキブリを乗せられ、その“ゴキブリ飯”を平然と食べるという強烈なシーンを披露。さらには、お色気たっぷりの入浴シーンや合気道によるスピーディなアクションシーンなど、とにかく見どころ十分で、体を張った演技に挑んでいる。
琴音が収監された女子刑務所・花園刑務所に集められた、“塀の中の懲りない面々”も曲者だらけ。山口紗弥加は政治資金規正法違反及び詐欺罪で服役している謎多き政治秘書役。トリンドル玲奈演じる市川沙羅はDV夫から子どもを守ろうとして殺害し、琴音いじめを率先して主導する。
平岩紙演じる津田桜子は、自称「モテすぎちゃって困る」後妻業の女。橋本マナミ扮する矢島千鶴香は、元・美容整形外科の看護師で、業務上過失致死で服役。実は全身整形サイボーグで、被害妄想癖があるヒステリックな“ネガティブモンスター”だ。木野花演じる平塚うめは老老介護の末、夫を殺害。さらに、安達祐実演じる坂本奈津は、無銭飲食を繰り返す刑務所ナンバー1の情報屋。琴音にあれこれ世話を焼くのだが、その優しさは実はすべてウソで、琴音を陥れようと暗躍するなど、全員キャラ立ちが凄まじい。
深夜ドラマとしては異例なまでの豪華キャストで、女囚それぞれの過去にスポットを当てながら“プリズン・サバイバル”が展開。海外ドラマでも女子刑務所を舞台にした『ウェントワース女子刑務所』『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』など話題作はあるが、今作は日本人ならではの腹の探り合いや情報戦などが展開。『トリック』、『特命係長 只野仁』などエッジの利いた作品の多い金曜ナイトドラマ枠だけにケレン味にあふれた名シーンも満載。1話では、安達祐実が自身の役の回想シーンで女子高生時代を演じ、“35歳のセーラー服”姿を披露したことも放送後に反響を巻き起こすなど、話題に事欠かない。
批判にも動ぜず、内に秘めた“青い炎”を吐き出す
だが、これまでの剛力は、ネットを中心に一部では“ゴリ押し”などと揶揄され、批判の対象となってきたことも多い。インタビューなどでは常に冷静で感情を表に出すタイプではないが、そのような批判に対して、内に秘めた“青い炎”を吐き出しているようにも思える。
今作については「役作りをしっかりしたいなと思っています。表情をあまり変えない中でも、ちょっとしたニュアンスで、微妙な表情とか変えていけたら良いかなと」と感情を表に出さない役だからこその難しさを痛感しながら、その点に意識を集中して演じていることを明かしている。
現在24歳ながら、これまでに40作以上のドラマに出演し、多種多様な役柄を演じてきた剛力。昨年は初舞台『祇園の姉妹』で京都弁を経験しているが、その経験が今作でも生かされている。また、今作では激しくアクションシーンも見どころのひとつになっているが、過去に映画『ガッチャマン』で共演した綾野剛から「ボディバランスがハンパじゃない(ぐらいうまい)」と絶賛される程の身体能力を持ち合わせている。過去に経験した京都弁、アクションなどの要素が有機的に結合して、この作品に収れんされているのだ。
以前、ORICON NEWSのインタビューに答えた際、「やり続ければ認めてくれる人も増えてくるだろうし、自分に負けないっていうのは何より大事なことだと思っています」と信念を持ち続けることの大切さを力説していた剛力。CMなどで見せる笑顔を“封印”して挑む『女囚セブン』は、今後の展開次第で、彼女の“代表作”となる可能性を十二分に秘めている。