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【SMAP連載17】SMAPのマンネリと進化を支えた“スマスマ”、語り継ぐべき偉大なバラエティ
中居が大事にしてきたマンネリと進化、すべてのベースは“スマスマ”に
12月上旬に収録を済ませたという歌のコーナーでは、5人で「世界に一つだけの花」を歌ったことが報じられている。『SMAP×SMAP』という番組に関する考察は、すでに多くの記事を目にしてきた気がするので、このコラムでは(希望的観測も含め)一つの仮説を立ててみようと思う。
雑誌でSMAPの5人を取材するとき、個別のインタビューで私は基本的に中居正広の担当だった。彼の発言はいつも示唆に富んでいて、楽曲に関することでも、SMAPに関することでも、個人の活動に関することでも、常に何らかの信念に基づいて発言し、行動している印象があった。慎重かつ大胆。そして何より人情家。失敗することや恥をかくことは恐れないが、仲間が傷を負わないような配慮は怠らない。特に感心したのは、彼の「マンネリと進化が大事」という発言だ。年末の号での取材では、だいたいその年を振り返ってもらうのだが、2年前の2014年を振り返った彼は、「SMAPとして、年に一つは何か新しいことをしたいと思っていて、2013年は“スマスマ”の“5人旅”で、2014年は全員で“27時間テレビ”(フジテレビ系)の司会をしたこと」と答えていた。“スマスマ”のレギュラー放送はマンネリという名の安定感、定番感を維持しつつ、どこかで新しいことにも挑戦していく。“27時間テレビ”といえば、SMAPから中居だけが司会を担当したときも、生放送の“ビストロSMAP”で、メンバーが応援に駆けつけたりと、“スマスマ”がSMAPを代表するバラエティ番組として定着して以来ずっと、中居はこの番組をベースにして、SMAPの“マンネリ”と“進化”を模索してきたのだと思う。
SMAPのブレイクに一役かった“スマスマ”の前身番組の存在
SMAPが“いつ”ブレイクしたかを正確に定義するのは難しい。音楽なら“「がんばりましょう」だ!”という人もいるかもしれないし、“いやいや、初めてオリコン1位をとった「Hey Hey おおきに毎度あり」でしょう”と主張する人もいるだろう。テレビ番組に関して、一般の認知度がぐっと上がったのは当然“スマスマ”だが、初期の彼らを知るファンからすると、『SMAPのがんばりましょう』という番組がスタートしたとき、何かが変わった。
“大人がハマるアイドル”SMAPの誕生、もてなしの心が番組に
ところが、である。『SMAPのがんばりましょう』は、スタートして半年後にあっけなく終わってしまった。「あんなに面白かったのに、一体なぜ?」と思っていたら、半年後、月曜午後10時というプライムタイムに、1時間枠で『SMAP×SMAP』が始まることになった。新番組が始まることが、あんなに待ち遠しかったことはない。“スマスマ”の第1回放送は、木村拓哉主演のドラマ『ロングバケーション』(同系)の第1回放送のあと。ロンバケもとてつもなく面白かったけれど、『〜がんばりましょう』を偏愛していた私ですら、“スマスマ”の面白さには驚嘆した。自分が想像していたよりずっと、彼らのポテンシャルは高かったのだ。惚れ惚れしたし、誇らしかったし、嬉しかったし、何よりも番組そのものを心から楽しむことができた。誰に勧めても面白いと思ってもらえそうなクオリティの高さはもちろん、“ビストロSMAP”やS-Live(初回のゲストは中森明菜!)での、彼らがゲストを心からリスペクトする精神にも痺れた。料理も歌もコントも、自分たちはプロじゃない。アマチュアだからこそ、精一杯、全力を尽くす。心を込める。もてなす。“仕事だから出演した”のではなく、心から“来てよかった”と思ってもらえる空間を作る。そんなとても人間らしい“心”が、彼らの一挙手一投足に現れている気がした。