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“神ってる”神木隆之介 引きが強い俳優の“必然性”
ネガティブな意見にさらされがちな漫画実写化でも好評を得る貴重な存在
2歳で芸能界デビューした神木は、透明感あふれる愛らしさと天才的な演技力が注目を集め、名子役として一世風靡する。当時から大作やビッグネームとの仕事も多く、野島伸司脚本の『あいくるしい』(TBS系/2005年)、三池崇史監督の映画『妖怪大戦争』(2005年)などで堂々たるオーラを放っていた。声優デビュー作は、8歳のときに出演した『千と千尋の神隠し』(2001年)。本作で宮崎駿監督の信頼を得た神木は、『ハウルの動く城』(2004年)『借りぐらしのアリエッティ』(2010年)などジブリ作品に次々に起用される。ほかにも『ピアノの森』(2007年)、『サマーウォーズ』(2009年)などの名作への参加が相次ぎ、アニメ界でも欠かせない存在になっていく。
演技派俳優としての名声が高まったのは、10代半ば頃から。知的障害を持つ少年役を演じた『風のガーデン』(フジテレビ系/2008年)、特殊能力を持つ邪悪な役に挑んだ『SPEC 〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』シリーズ(TBS系/2010年〜)、笑顔の裏に狂気を隠す瀬田宗次郎を演じた映画『るろうに剣心』(2014年)などで、陰のある役やダークな役がハマり役として浸透。19歳のときに主演した『桐島、部活やめるってよ』(2012年)が日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞して以降は、『バクマン。』(2015年)、『TOO YOUNG TOO DIE!若くして死ぬ』(2016年)、『君の名は。』(2016年)など主演作(『バクマン。』は佐藤健とのW主演)のヒットも続いている。
実写でもアニメでも違和感なく溶け込み、脇役でも強烈なインパクト
どんな役にでもなりきる才能には驚かされるが、その秘密は普段の生活ぶりにある。高校時代から「日替わりでテーマを決めて、ひとりで役作りしていた」(対談集『達人たちの夢の叶えかた』)と明かしているとおり、役として生きることが生活の一部なのだ。好きな漫画やアニメを観て勝手に役作りをすることもあると言い、『るろうに剣心』の宗次郎役のオファーがある前から役作りをしていた話は有名だ。
また数々のインタビューで、かすかな仕草や指先の動きでもキャラクターを表現していると語っていることから、視覚的な表現を強く意識していることもわかる。とくに漫画実写化では原作のビジュアルを強くイメージしているようで、『バクマン。』では台本に原作のコピーを貼り付けて役作りし、『るろうに剣心』ではアニメの動きを忠実に体現したシーンもあったという。
役作りに没頭する集中力、天性の身体能力と器用さも役者としての武器
2017年に公開される『3月のライオン』、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』も、ともに人気漫画が原作だ。心に孤独を抱えるプロ棋士・桐山零を演じる『3月のライオン』は、キャストが発表されたときから「イメージにピッタリ」と評判。『ジョジョ〜』では、小柄な体躯が特徴の人気キャラ・広瀬康一役を神木がどう演じるのか、原作ファンからも期待が寄せられている。
邦画歴代興収TOP3作品に出演していることから、“引きが強い”“持っている”と言われている神木だが、その裏にはもともとの気質に加えて、若かりし頃からエンタテインメントシーンに身を置くことで育まれた感性があり、さらにずっと続けてきている絶え間のない努力が実を結んでのことなのではないだろうか。そんな神木だからの今の姿であり、確かな実力でヒット作を支える快進撃はまだまだ続きそうだ。