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普遍性と汎用性を併せ持つ“サメ映画”の魅力
サメを最強のモンスターキャラとして認知させた『ジョーズ』
その後、CG技術の進化によってサメの描かれ方が変わっていくなか、『ディープ・ブルー』(1999年)は、DNA操作されたサメが高度な知能を手に入れて暴れ回るという新たな設定で観客を驚かせた。知能を持つサメが人間を追いつめる様は、パニックアクションムービーとして同ジャンルのファンにも楽しまれ、サメ映画ファンの裾野を広げた。また、キャストにサミュエル・L・ジャクソンを起用しており、サミュエルが容赦なくサメの餌食になるシーンには度肝を抜かれた人も多いだろう。
こうしたシチュエーションを変えたり、進化させたサメが暴れる映画が続々と登場するのにあわせて人気も広がり、ゾンビ映画のようなコアファン層が形成され、“サメ映画”というジャンルが確立されていった。
B級、C級に必須のお色気的な要素が盛り込みやすいサメ映画
これらの本格的なパニックホラーとは一線を画するB級、C級サメ映画が成立するのは、そもそもサメの恐怖が観客の間で確立されていることが根底にある。前述の『ジョーズ』『オープン・ウォーター』しかり、数々のシリアス系のサメ映画で描かれ、しっかりと浸透している普遍性を帯びたサメの恐怖。それをベースにした“恐怖とスリル”が多様性を持って描かれるようになり、さらに一部では、その恐怖を笑いに昇華させる作品へと進化を遂げた。サメというキャラクターと、サメに襲われるという物語の汎用性の高さが、さまざまな進化系を生み出し、ひとつのジャンルとして発展しているのだ。
地上波放送も後押し、出オチ感満載“トンデモサメ映画”がファン拡大中
また、新作映画では、今夏もシリアスなサバイバルアクション系のサメ映画『ロスト・バケーション』が7月23日から公開され、好調な出足を見せている。“夏にピッタリのサメ映画”が、そのおもしろさとともに広く浸透しつつあるようだ。
(文:奥村百恵、編集部)