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洋画の7年ぶりシェア逆転はあるか? 一方で依然厳しい洋画不況の内実
年々差が縮まっている邦画と洋画の興収シェア
ただヒット作は、これまでの強力シリーズもの(及びシリーズの関連作品)の新作が大半を占める。その数、実に7本。実写作品、アニメともに、いわば知名度が高い作品が大きな支持を受けている。他の5本は、『ベイマックス』や『シンデレラ』(洋画興収の2位、3位)など。この2作品とて、ディズニー(ピクサー)作品系列で、その“ブランド力”は、強力シリーズものと遜色ない。
では、邦画と洋画の興収シェアはどうか。20億円以上の30本の累計では、邦画52.3%に対して、洋画47.7%である。やはり、本数の多い邦画のほうが上だ。ちなみに昨年(2014年)の全体のシェアは、邦画が58.3%、洋画が41.7%。2013年(全体)は、邦画60.6%、洋画39.4%だった。30本と全体の違いはあるにしても、その差が縮まってきている感じはある。
洋画不況の流れが食い止められた?その内実は…
強力シリーズものやブランド力の高い作品の数字が良ければ、それでいいではないかという意見もあろう。ヒット作品はあるのだ。だが、それだと、洋画は随分と痩せ細った発信しかできなくなる。娯楽のなかで、それも突出した派手な中身をもつ作品が中心的に稼働するだけでは、映画が発信できる多様な側面が充実してくることはない。
洋画不況が続いてきたのは、文化面、芸術面をもつ映画の素晴らしい特性が、衰退してきたのが一因だとも考える。もちろん、それは邦画も同じだ。邦画に触れる余裕はないが、洋画シェアが幾分か上昇したとはいえ、今述べてきたような内実では、洋画の真の復活などありえないと、私は思っている。
米配給会社の日本支社閉鎖、映画館閉館…差し込む小さな光とは
かなり長い期間にわたる洋画不況は、映画の拠点とも言うべき組織(劇場)に、容赦なく襲いかかってきた。この過酷な現実に、今の映画興行の非常に偏った側面が浮き彫りになっている気がする。まだまだ拠点の喪失は続くのではないか。シェアや数字の推移以前に、映画界全体が確実に“縮小”の方向に至っていることだけは、ここで強調しておきたい。
『スター・ウォーズ』が鍵を握る、7年ぶりの洋画シェア逆転
ところで、2008年から続く邦高洋低の映画興収シェアで、今年7年ぶりに洋画が逆転するかの判断は、今の段階では難しい。その鍵は、12月18日公開の『スター・ウォーズ/フォーの覚醒』が握ろう。もし年内だけで興収50億円あたりを超えてくると、もしやということになるかもしれない。
(文:映画ジャーナリスト・大高宏雄)
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