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(更新: ORICON NEWS

お見合い番組ブーム再来、時代に愛される“婚活フォーマット“の強固さ

  • 昨年10月にスタートした番組『「愛され女と独身有田」〜運命を変える婚活TV〜』(日本テレビ系)で、MCを務めるくりぃむしちゅーの有田哲平 (C)ORICON NewS inc.

    昨年10月にスタートした番組『「愛され女と独身有田」〜運命を変える婚活TV〜』(日本テレビ系)で、MCを務めるくりぃむしちゅーの有田哲平 (C)ORICON NewS inc.

 近年、『ナイナイのお見合い大作戦!』(TBS系)や『「愛され女と独身有田」〜運命を変える婚活TV〜』(日本テレビ系)、『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)のコーナーなど、バラエティ番組で視聴者参加型の“お見合い企画”が増加、人気を集めている。お見合い企画といえば、過去にも『プロポーズ大作戦』(朝日放送)や『パンチDEデート』(関西テレビ)、『ねるとん紅鯨団』(フジテレビ系)などの名番組がお茶の間を賑わせてきたが、なぜ今ここに来て再びお見合い番組が急浮上しているのか?

“焼き直し”でも幅広い層に響く優良コンテンツ

 「多くの視聴者が感じる通り、ここ昨今のテレビ局の番組企画は頭打ちになっています」と語るのは、某テレビ誌の編集者。「視聴率の不振に加え、さまざまなコンテンツが消費され尽くされた結果、新たなものを生み出すことは困難でリスキー。冒険ができないのが現状です。そこで過去のヒット作の焼き直しが行われるのですが、そんな中で視聴者参加型の“お見合い企画”は前回のブームから間が空いているだけに、当時見ていた50代以上のF3、M3層だけでなく、それを逆に新しく感じるF1、F2層、M1、M2層の若い世代に響く可能性がある。そんな優良コンテンツが増えていくのは当然の流れかもしれません」(同編集者)
  • とんねるず司会の『ねるとん紅鯨団』からは多くの流行語が誕生した

    とんねるず司会の『ねるとん紅鯨団』からは多くの流行語が誕生した

 各時代を彩ってきた視聴者参加型の“お見合い企画”番組がある。1973年から10年以上にわたり放送され一世を風靡した『プロポーズ大作戦』や『パンチDEデート』、また1987年〜94年放送の『ねるとん紅鯨団』などがそれだ。それぞれが社会に与えた影響は大きく、『プロポーズ〜』の「フィーリングカップル 5 vs 5」からは“フィーリング”という言葉が流行語になり、『パンチ〜』からは司会の桂三枝(現・桂文枝)の「オヨヨ」などのヒットギャグが誕生した。『ねるとん〜』からは“ねるとんパーティー”なる言葉が生まれ、番組中の石橋貴明の発言「大どんでん返し」や参加者の「ちょっと待った」コールも話題になった。
  • 『テラスハウス』で一躍時の人となった菅谷哲也 (写真:草刈雅之)

    『テラスハウス』で一躍時の人となった菅谷哲也 (写真:草刈雅之)

 お見合いとは少し異なるが、これらは後にさまざまな亜流番組を発生させ、1998年には『ウンナンのホントコ!』(TBS系)で人気コーナー「未来日記」、1999年には『あいのり』、2012年からは『テラスハウス』(共にフジテレビ系)がスタート。どれもドキュメンタリーテイストを加味し、それぞれ高視聴率を記録。視聴者はドラマティックかつ予定調和でない一般男女の恋の行方に一喜一憂した。

どっちに転んでも成立する、ノンフィクションテイストの恋模様の強み

 この一連の流れのキーワードで挙げられるもののひとつが“素人”だ。素人を扱う利点で考えられるのは、まずは制作費の問題。多くのタレントに高額なギャラを払う必要がないため、その分、大物タレントを司会に置くこともできる。だが、素人イジりをする番組は特に珍しくもなく、最近でも『月曜から夜ふかし』や『1億人の大質問!? 笑ってコラえて!』(共に日本テレビ系)、『アウト×デラックス』(フジテレビ系)など数もジャンルも多い。そんな中、視聴者側から見る“婚活フォーマット=視聴者参加型お見合い企画”の面白さとはどこにあるのか?
  • 『あいのり』はドキドキの展開で若者を中心に人気を集めた 写真は『あいのり2 バングラデシュ編 Vol.1』 (C)2011フジテレビジョン

    『あいのり』はドキドキの展開で若者を中心に人気を集めた 写真は『あいのり2 バングラデシュ編 Vol.1』 (C)2011フジテレビジョン

 「やはり“恋愛”の面白さです。老若男女誰もが興味があるテーマであり、ラブラブからドロドロまで、結ばれても結ばれなくても見ている方は満足する。ここに“素人”という要素が加わります。業界に流れるヒットの法則のひとつとして“見ている人が自分よりちょっと下に感じる立場の人を描くと当たる”ことがある。この“ちょっと下”に素人というキーワードがマッチする上、番組は出演者のちょっと残念な部分にフィーチャー。それによって視聴者は共感したり安心したりできるんです。そこに来て、昨今の“婚活”ブームです。これだけ揃えば“婚活フォーマット”が現在、最強であることは誰の目にも明らかでしょう」(同編集者)
 2008年、社会学者の山田昌弘氏とジャーナリストの白河桃子氏の共著『「婚活」時代』(ディスカヴァー携書)が火付け役となり婚活という言葉が話題を集めた。前年に初めて内閣府に少子化対策担当大臣が置かれたこともあり、婚活はまたたく間に流行。街コンやお見合いパーティー、婚活サイトなどが増加した。これにより若者のお見合いの敷居も低くなり、より身近なものに。この流れは現在まで続いている。
 一方ではネットなどを中心に、若者から「恋人いない歴=年齢」や「結婚はハイリスク・ローリターン」などの声も挙がる。だがデンマークの哲学者・キェルケゴールが「結婚したまえ、君は後悔するだろう。結婚しないでいたまえ、君は後悔するだろう」と語った通り、結婚はそもそもメリットもデメリットも含むもの。それらの世代に、「結婚に向けては今以上の努力が必要」、「理想を求めすぎない」といったメッセージを訴えかける意味でも、これら“婚活フォーマット”とそのコンテンツが見せるノンフィクションテイストの恋模様は、少なからず有意義であると言えそうだ。

(文:衣輪晋一)

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