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森田剛インタビュー『20代のころにはなかった“自由感”』

V6のメンバーであり、俳優としても活躍する森田剛がサイコキラー役に挑んだ主演映画『ヒメアノ〜ル』。10代からキャリアを積み重ね、30代後半を迎える森田が今この役を演じることについて、さらに、自らを“無責任”という俳優業への向き合い方についても聞いた。

その瞬間を普通に生きることに集中していた

――数々の舞台で実績を積んできた森田さんですが、映画出演は約6年ぶりです。これだけ時間があいたのは何か理由があるんでしょうか?
森田剛まったくないです。舞台でお芝居の勉強がしたいという気持ちがあっただけで、いつか映像でもチャレンジできたらいいなというのはずっと思っていたので。お話をいただいたときはうれしかったですし、迷わず“やろう”と思いました。

――殺人鬼役と聞いて、トライするのは危険だと思ったりはしなかったですか?
森田剛まったくないですね。取材でそう聞かれることが多いので、だんだんそうなのかなと思ってきたくらいで(笑)。舞台でもそういう役が多かったので、免疫がついていたんですよね。

――主人公の森田は、人を人とも思わず、当たり前のような顔をしてあっさり殺していきます。一見“普通の人”だからこそ怖さが増幅するような役でしたが、演じているときはどんな感覚でしたか?
森田剛“殺人鬼をやっています”という感じを出さないように、そのことを忘れようとしていました。人を殺したシーンの後でもそれを引きずらないようにしていましたし、後に控えているシーンのこともなるべく考えず、その瞬間、瞬間を普通に生きることに集中していました。前に起きた出来事に影響されないようにするというお芝居は初めての経験で、そこは難しかったです。

――どんなふうに表現したんですか?
森田剛演じながら、なるべく関係ないことを考えるんです。たとえば人を殺めて、それを人に見られてしまったら、普通はそれに合う表情をしたくなる。でも、そういうときになるべく関係ない表情をするというか。普通にお店に入っていって、「今日やっていますか?」って聞くくらいの感じで人を殺すみたいな気持ち悪さが出せたらいいなと思っていました。

――吉田恵輔監督は、「どこにでもいるお兄ちゃんに見えなければいけないのに、森田くんは身体能力が高くてなんでもカッコよく見えてしまうので、セーブしてもらいました」とおっしゃっていました。
森田剛刑事との格闘シーンで突き飛ばされたとき、勢いあまって2回まわっちゃって、「カッコつけるな」って怒られました(笑)。そんなつもりはなかったんですけどね。

わからないことをやるほうが楽しい

――殺人鬼という、行動原理が全くわからない人物を演じる難しさはなかったですか?
森田剛でも、わからないことをやるほうが楽しいというか。僕自身は、演じていて“コイツ、なんで人を殺したの?”って思わなかったんですよね。

――監督との会話のなかからヒントをつかんでいったというお話も聞きました。
森田剛そうですね。監督が、友だちの変わった人の話をしてくれたりして。多いんですよ、監督の周りに変わった人が(笑)。ただ、そういう感じで演じてくれということでもなくて、会話のなかから自分で何かをチョイスしろよっていうことだったんだと思います。

――人を殺すシーンは、演じてみてどうでした?
森田剛本気でしたね。そこはもう芝居という意識を極力排除しましたし、本気でやらなきゃ人を殺せないんだなって思いました。

――でも、相手の俳優さんにケガをさせてはいけないから難しいですよね。
森田剛それがちょっと怖いところでもあったし、難しいところでもあったんですけど。限りなくそういう気持ちは無視して、本気でやってほしいという気持ちが監督から伝わったので、本気でいきました。

――そういう役だと、現場を離れてからも役を引きずったりはしませんでしたか?
森田剛それはなかったんですけど、現場での空き時間は、近くのペットショップに行って気持ちを落ち着かせるのが毎日のリズムになっていました。最初は平気だったんですけど、3〜4人目を殺すシーンを撮影したあたりから重い気持ちになってきて。

――撮影を振り返ってみて、一番印象に残っているシーンはどこですか?
森田剛ラストですね。台本を読んだときから、「このラストのセリフが言いたい」というのがあって。現場でも、そこに合わせてみんなでひとつになる感じがあったんです。作品のなかで、唯一の救いのあるシーンなので。

20代のころには感じていなかったこと

――10代からコンスタントにキャリアを重ねてきましたが、年齢とともに変わったことってありますか?
森田剛お芝居がどんどん好きになっていて、楽しいなって感じますね。それは、20代のころには感じていなかったことなので。

――お芝居の楽しさってどんなところにあるんでしょうか。
森田剛自由になれることですかね。とくに舞台だと立ち位置も決まっているし、決め事がいろいろと多かったりするんですけど、そのなかで自由になれる瞬間があって。それが楽しいと感じるんです。

――今回の森田のような役をやると、“アイドルの枠を超えた”と言われたりもしますが、ご自身がジャニーズであるというイメージが俳優業をやるうえで足かせになったり、逆にメリットになったりすることはありますか?
森田剛ないです。そこに対しては何も思わないですね。思っていても“感じない”というか……。この世界にもジャニーズにもいろいろな人がいるし、みんな人それぞれなので。

――人からどう思われるかが気にならないんですね。
森田剛舞台でも、お客さんがどう思っているかにあまり興味がないんですよね。自分たちが楽しんで、演出家の方が喜んでくれればそれでいいっていう無責任な考えです(笑)。あまり“どう思われたか”というほうに気持ちが向かなくて……。

――『ヒメアノ〜ル』も、映画ファンや原作ファンがとても注目している作品ですが、評価は気にならないですか?
森田剛自信を持って、「映画はこうなりました」って言える作品になったと思っています。
(文:加藤恵)

ヒメアノ〜ル

 “なにも起こらない日々”に焦りを感じながら、ビル清掃会社のパートタイマーとして働いている岡田(濱田岳)。ユカ(佐津川愛美)に想いを寄せる同僚の安藤(ムロツヨシ)から恋のキューピット役を頼まれ、ユカが働くカフェに向かう。そこで高校時代の同級生・森田正一(森田剛)と出会い、ユカは森田からストーキングされていることを岡田に告げる。高校時代、過酷ないじめを受けていた森田に対して、岡田は不穏な気持ちを抱くが……。

監督:吉田恵輔
出演:森田剛 濱田岳 佐津川愛美 ムロツヨシ
2016年5月28日(土)TOHOシネマズ新宿ほか全国公開
(C)2016「ヒメアノ〜ル」製作委員会
【公式サイト】(外部サイト)

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