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佐藤健インタビュー『自分をさらけ出した、絶対に負けられない作品』
「世界から猫を消す」のところは泣きそうになった
佐藤健僕も小さい頃からずっと実家で猫を飼っていたので、かなり感情移入しました。主人公の“僕”が、“悪魔”に「世界から猫を消す」と言われたところは、読んでいて泣きそうになりました。猫がいない世界なんてさみしくて……。「人間が猫を飼っているんじゃない、猫が一緒にいてくれているんだ」というセリフも、猫好きには刺さる言葉でした。僕も本当に猫に対して「ありがとう」と思っているので。
――猫が大好きなんですね。共演した猫のパンプくんはどんな子でした?
佐藤健パンプはドラマ『最高の離婚』(フジテレビ系)にも出ていた猫なので、僕も見たことがあったんです。実際に共演して、これは売れっ子だろうなって納得しました(笑)。ちゃんとお芝居できるし、まったくNGも出さないし、天才でした。撮影の合間は、パンプをなでたりしていました。僕、猫の顔をよく触るのですが、触られて気持ちよさそうにするのを見るのが好きなんです。
――物語は、病気で死の宣告を受けた“僕”が、自分と同じ姿をした“悪魔”と取引をして、世界から物をひとつ消すたびに1日生き延びる……というもの。“僕”と“悪魔”の2役を演じるのはどうでしたか?
佐藤健“僕”を演じたら“悪魔”を演じて、また“僕”を演じて“悪魔”を演じて……というすごく地道な作業だったので、時間がかかりました。たとえば台本で2ページのシーンだったら、普通は3時間くらいで撮れるところを、7〜8時間くらいかけて撮影していたと思います。
――“悪魔”とはいえ、見た目は“僕”とあまり変わらないんですよね。
佐藤健最初は特殊メイクをしたいと思ったんです。だって悪魔だし、ファンタジーだし、何でもありかなって(笑)。でも話し合いの末、髪型もメイクもファッションの方向性も一緒にすることになりました。ただ、「指だけはつけさせてほしい」とお願いして採用してもらいました。“僕”はあまり動きがないから、“悪魔”は少し動きがあった方が良いんじゃないかと。手で動きを表現するとき、指に少し違和感があったらおもしろいと思ったので、“悪魔”の指は“僕”より1.5センチくらい長くなるような特殊メイクをしています。
漫画を実写化するときのひとつのお手本は『ダークナイト』
佐藤健函館でのびのび育った、純朴で優しい良い子だと思っていました。しかも、この作品は“僕”が死ぬかもしれないという物語。なので、死んでしまったときに観ている人たちが悲しくなってもらえるようにキャラクターを作りました。健気で愛すべき青年に映っていればうれしいです。
――“僕”が自分の死と向き合っていく姿を通して、何か感じたことはありますか?
佐藤健僕は小さい頃から死について考えるタイプでした。原作にも同じセリフがあるんですけど、「もし世界から自分が消えたら、どれくらいの人が泣いてくれるんだろう」とか、「自分がいる世界といない世界にはどれくらい差があるんだろう」みたいなことをよく考えていて。だから、この作品を通して改めて考えたというよりは、最初からいろいろな部分で共感できる物語でした。
――ちなみに、劇中では“悪魔”が猫だけでなく、映画も消してしまおうとします。映画は“僕”の人生に大きな影響を与えたものですが、佐藤さんが影響を受けた映画というと?
佐藤健もの作りとか芝居をするうえでは、映画から吸収することがほとんどなので、たくさんあるのですが……。ひとつ挙げるなら『ダークナイト』です。あの映画は、漫画を実写化するときのひとつのお手本になったと思っています。『るろうに剣心』を撮っているときも、現場では「『ダークナイト』では……」という言葉が飛び交っていたんです。『るろうに剣心』の志々雄は、『ダークナイト』のジョーカーのようなイメージでした。