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佐藤健『僕の理想をすべて投影した』

8月1日の『るろうに剣心 京都大火編』公開直後に海外でのお披露目が果たされるなど、前作(2012年)をしのぐ破竹の勢いで、今夏を熱くした映画『るろうに剣心』。ついに9月13日には『京都大火編』の後編にあたる『伝説の最期編』の幕が開く! “るろ剣”祭のクライマックス目前、主演の佐藤健にふたたび話を聞いた。

ハードなアクションシーンの長回し撮影

――『京都大火編』公開時のインタビューでおっしゃっていた「アクションについては後編の闘いを観てください」という発言の真意を、しかと受け止めた超絶アクションの連打でした! 『伝説の最期編』のなかで、とくに印象に残っているアクションシーンはありますか?
佐藤剣心が、戦艦「煉獄」へ左之助とともに乗り込んでゆく一連の動きは、ワンカット長回しで撮りました。ワイヤーアクションもあるアクティブな場面を、ワンカットで挑戦できたことは、今回のアクションシーンのなかでもひとつの目玉になったと思います。ずっと引き画で撮るわけではないので、役者の動きに合わせて撮影部も動かなくてはならない。カメラマンを含めたリハーサルを何度も繰り返してから、本番に挑みました。長いシーンで、本当に吐きそうになるくらいハードでしたけど(苦笑)、うまくいって良かったです。

――前作から注目を集める、手数が多くスピードも速い、惚れぼれするような本シリーズのアクション。観客を映画の世界へと引きずり込む、谷垣健治アクション監督率いるアクション部の魅力を、あえて佐藤さんの言葉で表現するならば?
佐藤例えば、剣心VS.(四乃森)蒼紫戦なんて立ち回りが軽く400手を超えています。5分のアクションシーンを撮るために、10分間の動きを用意する。すべてのシーンがそうなので、気持ちだけでは決して成り立たない。実は体育会系のノリではできないアクションなんです。そういう意味では身体能力だけじゃなく、知性も必要な、かなりインテリな現場でした。撮影の2、3日前から、セリフの代わりにアクションを覚え始めるのですが、緻密に計算された(アクション)プランを、一手一手、地道に覚えながら、アクションと芝居の融合を考えていくんです。

――派手なパフォーマンスのみで終わるのではなく、例えばバトルの最中にカメラが捉えた、まなじりに浮かぶ涙など、闘う者たちの感情がこまやかに表現されたアクションシーンは、革新的でした。進化するアクションと深化するドラマがあいまった、壮大なスケールの本作は、ソードアクション映画の、否、日本映画史に残るはず! クライマックスの緋村剣心と志々雄真実との闘いは、どのように作り上げていったのですか?
佐藤剣心のアクションは、パズルをはめていくような具合で考えていくんです。剣心のカタルシスをどこに作るかを谷垣さんや大友(啓史)監督と相談しながら、このアクションのときはこれくらいの感情で、ここではもう感情が爆発しててもいいよね? って冷静に気持ちを乗せていくなかで、明確な形が見えてくる。でも剣心が志々雄と一騎打ちする場面では、なかなかそのパズルがうまくはまらず、着地点が全然見えてこなかったんです。剣心と志々雄以外にもいろいろな人たちが絡んでくるので、ピースが多過ぎて崩壊しちゃう、みたいな……。

 とってもステキな原作なので、実写にしかできない表現でグレードアップできればいいよねって気持ちで、スタッフ、キャストみんなでずっと取り組んでいましたが、どう作ったら、フィナーレにふさわしい闘いになるのか? 本当に難しかったですね。ふたりが限界を超えるところまでいくには、どんなアクションが必要か? 志々雄にどんな言葉をかければいいのか? 現場で原作に立ち返ったりもしたけど、原作もアニメも2週以上にわたる長いシーンだったので、これはそのままでは参考にしにくいな、と(苦笑)。(志々雄役の)藤原(竜也)さんともギリギリまで答えが出なくて、話し合いを重ねていた覚えがあります。とにかく最後の剣心と志々雄との闘いのためにあるような映画なので。

不器用で愛おしくて どんどん好きになった

――苦難の末に誕生した、夢の対決シーン。撮り終えたときの手応えは?
佐藤本番直前まで、どんなシーンになるのか想像すらできなかったんですけど、ひとつの山を超えられたという達成感がありましたね。1週間ほどかけて撮ったシーンでしたが、撮り終えたとき“この瞬間のために、半年間がんばってきたんだな”って思えました。今回の『京都編』の現場がスタートしてから初めて、大友監督と「まずひとつ到達できたね」って握手を交わしました。

――小学生のころ、ヒーローだった剣心を、本作の撮影中は「友だちみたいな感じ」とコメントされていた佐藤さん。いま、剣心はどんな存在ですか?
佐藤撮影中は剣心のことを考えていくうちに“なんてかわいそうなヤツだろう。そして不器用で愛おしいんだろう”ってどんどん好きになっていったんです。自分のなかにいる友だちみたいな感覚で、ほっとけない存在になったというのかな。撮影が終わって少し時間が経って、当時よりは客観的に、ひとりのキャラクターとして見られるようになりました(笑)。ヒーローというよりは、ひとりの人として見ていますね。

 僕にとっては、原作を初めて読んだ小学校低学年当時、ひとつの理想のヒーロー像だった剣心を、いかに体現できるか? というのが(このシリーズの)大きな課題でした。すごく正しい人だと思うからこそ、自分が演じるうえでは、剣心には正しいセリフしか言って欲しくないし、正しいことしかして欲しくない。僕の理想をすべて投影した役です。なのでプライベートで悩んだときは、“剣心だったらどうするだろうか?”と考えた方が自分のなかでわかりやすい。そして結果的にもそれが正しい(笑)。いまでも剣心にはすごく影響を受けています。

――まさにはまり役! ところで役者・佐藤健が歩んでこられた道には、抜刀斎の様な決然とした風情というより、流浪人の様に飄々とした粋な印象を受けます。剣心は原作の終わりに「生涯剣客」という答えにたどり着きましたが、役者・佐藤健の代表作になるであろう本作との出会いが、佐藤さんに「生涯役者」の覚悟をもたらしたとすれば、ファンにとっては無上の喜びなのですが!?
佐藤うーん……2、3年後くらいは予定として考えるけど、10年先のことなんて誰にもわからないし、いま考えてもナンセンスなんじゃないかなと思う、僕はね(笑)。たぶん役者をやっているんじゃないかとは思うけど、それをいま、決意する必要はないって感じかな。いまは目の前の役に全力で向き合うだけで精一杯ですから。

 だけど仮に一生(役者を)続けたとしても、こんなに幸せな現場は役者人生のなかで一度あるかどうかというくらい、すばらしい環境でした。スケールが全然違うし、どこを見渡しても明治時代で! 本当に明治を生きているような気持ちで、こんなに自分が好きだと思えるキャラクターを演じさせていただきました。役者として、とても贅沢な時間を過ごさせていただいたと感謝しています。
(文:石村加奈/撮り下ろし写真:逢坂 聡)

『るろうに剣心 京都大火』インタビューはこちら☆

 

るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編

 前作を大きく上回る壮大なスケールで描かれる。動乱の幕末が終わり明治という新たな時代を迎えた東京を舞台にした前作に続き、原作ファンの間で最も人気の高い「京都編」をベースに、日本制圧を目論む新たな敵が待ち受ける京都が舞台となる。

監督:大友啓史
出演者:佐藤健 武井咲 伊勢谷友介 青木崇高 蒼井 優
【映画予告編】 【公式サイト】
2014年9月13日(土)2部作連続全国公開
(C)和月伸宏/集英社(C)2014「るろうに剣心 京都大火/伝説の最期」製作委員会

関連リンク

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『るろうに剣心』公式サイト

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