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佐藤健『手応えとして…歴史が変わるような瞬間もあった』
自分ではピンとこないんですけどね(笑)
佐藤ずっと待っていてくれた方がいて、本当にありがたいです。剣心役は僕しかいないと言ってくださる人もいて、すごくうれしいけど……自分ではピンとこないんですけどね(笑)。とにかく剣心という大好きな役を、最高の環境で、最高のスタッフと一緒に作れたことは、ものすごく大きな財産だし、幸せなことだと思っています。
――今回はついに、最もファンに愛され、原作のクライマックスにあたる『京都編』が描かれます。前作からしばらくのときを経て、どのように剣心を呼び戻していきましたか?
佐藤ゼロから作り上げた前作のベースがあったので、今回の準備は前作に比べたらだいぶスムーズにできたと思います。前回の反省点を自分なりに足していくこともできてよかったなって。アクション部分で、ここはもっとカッコ良くできたなという具体的な課題がいくつかあったので、そこを重点的に練習しました。殺陣も前作のときに、1年間かけてみっちり練習をしたので、今回は撮影の3ヶ月前に、体を慣らすところから始めました。
――最強の剣士を演じるにあたって、日本刀を使ったアクションはいかがですか?
佐藤まだちゃんと習ったことのないガン・アクションとはちょっと比較しづらいけど、日本刀の場合は、相手との距離感が近くなるほど、リアルに見せることが難しくなりますね。一般的な殺陣は、刀が相手に当たらないように動き、相手もそれに応じて避けるような形を作っていくのですが、今回はリアリティを追求して、相手に当てにいくし、実際に当てるし、相手も本気で避けるという動きをしていったんです。スピード感も含め、そういう日本映画って今までなかったと思うので、アクションに関しては、革命的な作品になったというのか、自信をもっていいものができたと思います。自分の手応えとして、歴史が変わるような瞬間もありました。後編の方ですけど。
哀しい男たちのそれぞれの生き様
佐藤『京都大火編』の方は準備運動みたいなもので(笑)。アクションについてはぜひ後編の戦いを観てくださいということに尽きますね。僕たちは1本の長い映画を撮っているつもりでやっていたので、どうしても2部作に分けて捉えられないんです(苦笑)。後編が公開される9月13日には、まだ前編も公開しているので、2本合わせて観ることをオススメします! 待ち切れない方は前編からどうぞ(笑)。
――腹の据わった発言に、完成作への強い自信を感じます。神木さんをはじめ、伊勢谷友介さん、藤原竜也さんら強者が揃う後編の活劇がますます楽しみになりました! 今回は、アクション以外に“人間・剣心”を深く描いた人間ドラマも見応えがありますね。
佐藤原作のなかで剣心が、出会った人々、敵でさえもその人にかける言葉がすごく泣けるんです。人としてすごく正しいことを言っていると思う。今回、原作の大好きなセリフを自分の口で言えたことはうれしかったし、前作以上に剣心の魅力を見せられたんじゃないかと思います。現場でも、今回はずいぶん大友啓史監督に「このシーンではこのセリフじゃなくて、こう言いたい」という意見を出していき、ほぼ取り入れてもらえました。腕が立って闘うと強い、剣心のカッコいいところは当然ありながらも、人として優しくて強い人なんだということがよりわかると思います。
――本作の撮影を終えたとき、剣心について「客観的に観ると、自分のなかに住んでいる友だちみたいな感じです。その友だちが大好きで、放っておけなくて守りたくて、それほど剣心に対して愛情がある。こんな感覚は初めてです」とコメントしていますね。剣心のどういうところに惹かれているのですか?
佐藤過去を捨て去ることはできないという剣心の考え方を、僕は正しいと思っています。演じながら、剣心の葛藤についてとても共感できました。10年も20年も昔のことなんて、もういいじゃん、1回リセットして、前を向いてこれからのことを考えようよ! って考え方も素敵だと思うんですけど、やっぱり僕は、過去をなかったことにはできないし、過去も現在も未来も、全部平等だと思っていて。要は、過去を大事にできない人は今も大切にはできないと思うんです。流浪人となってからも、(幕末最強の人斬り)抜刀斎としての罪のつぐない方をずっと探して生きていく。そんな人だからこそ、ここまで好きになれたんだと思う。不器用で、だけどすごく正しくて、剣心のそういうところが好きなんですよね。過去に受けた深い傷を背負って、その傷とともに生きていこうとするのは、剣心も、宗次郎も、また志々雄真実も同じで……。哀しい男たちのそれぞれの生き様を、まっさらな気持ちで観てほしいです。
(文:石村加奈/撮り下ろし写真:鈴木一なり)
るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編
関連リンク
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・<映画予告映像>最狂の敵が現れる
・『るろうに剣心』公式サイト