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佐藤健インタビュー『いまの結果が未来になるーいつか転機が来るかもしれないけど』
高校生の役なのでちょっとがんばらないと(笑)
佐藤もちろんマンガもおもしろいと思いましたけど、やっぱ大根監督や川村元気さん(プロデューサー)の話を聞いて、企画自体もおもしろそうだと思ったし、関わっているみなさんがすごく魅力的だったので、やりたいと思いました。
――大根監督の作品をご覧になったことは?
佐藤もちろんあります。めちゃめちゃおもしろいと思ってて! とくに『恋の渦』が大好きですね。『モテキ』もそうなんですけど、俳優さんたちが本当にリアルに見えるというか、芝居じゃない、リアリティを作るのが本当に上手だなと思いました。
佐藤まず台本がすごく変わってて。(参考資料となる)YouTubeのURLが載っているような、見たことのない台本だったんですけど、そういうところからも、今までにない映画を作ろうとしているんだなっていうことを感じました。すごく共感できたし、いいなって思えました。個人的には高校生役なので、ちょっとがんばらないとなって(笑)。
――映画の始まりと終わりで、佐藤さん扮するサイコーの顔つきが、すっかり変わっていることに驚きました! 監督のいう“高校生らしさ”には、どのようにアプローチしたんですか?
佐藤本当に難しくて。現代の高校生のリアルとかわからないし。でもつい最近まで高校生だった(一緒に漫画家を目指す、高木秋人ことシュージン役の)神木(隆之介)くんがいたので。隆のテンションを参考にして、隆を見ながら“なるほど、こういう感じね!”ってやっていました。ひとりじゃできなかったです。
泣きたかったわけではないけれど悔しくて…
佐藤芝居に関しては基本的には任せてくれて、何かあったときに微調整をしてくれるというのか。セリフの間とか、温度感とか、微妙なところを、ポイントポイントで調整してくれました。初めて仕事場に入ったシーンで、部屋全体を歩いて回ったんですね。机に置いてあるものを触りながら、部屋を歩いていくんですけど、秒単位で「ここを触って」みたいな指示がありました。編集なしでワンカットで使いたかったから、1秒の動きがすごく大切だったと思うんですけど。シーンによって、ワンカットで行きたいところは、1秒、2秒の感覚にまで本当にこだわっていました。
――過労で入院した病院から、仕事場に戻ったサイコーが、天才漫画家の(新妻)エイジと対峙したシーンでの、こぼれ落ちた涙が印象的でした。台本では、泣く場面ではなかったそうですね?
佐藤泣こうとは思っていなかったんですけど、サイコーからすると、相当悔しいんだろうなって。その悔しさがたまたま涙になっただけなんですけど、監督は泣くとエイジに負けたみたいになるから、そうじゃないのもって、もうワンパターン撮ったんです。画的に強かったのか、(本編では)最初の方が使われていました。別に僕も泣くつもりもなかったし、泣くのが正解でも、泣きたかったわけでも全然なかったんですけど、ほんとたまたまです。
佐藤すごく観やすい映画だと思いました。ポップだし、わかりづらいことなんてないし、どんどん話が展開していくので、長くも感じないし、かといって物足りなくも感じない。センスのいい映画だなって。当初目指していた、今まで観たことのない映画にもなっていたし。CGをはじめ、いろいろな最新技術を使った映像と、サカナクションという音楽界で新しいことにトライしているバンドの音楽が常に鳴っていて。台本に「日本映画史上誰も観たことのないエンドロール」って書いてあったんですけど、実際そうなっていたし(笑)。そんなハイセンスな映画なんだけど、ストーリーは王道というのか、友情・努力・勝利って、マンガチックな男臭い青春映画になっているとも思いました。
――昨年大ヒットを記録した主演映画『るろうに剣心』シリーズでは、革新的なアクションシーンで、日本映画史に偉大な足跡を残しました。新しいことへの挑戦は、作品に参加する上で大きなモチベーションになりますか?
佐藤すごくなります。人がやったことよりも、自分たちで切り拓いていく方がワクワクします。前回こうやってヒットしたから、同じ方法でヒットを目指そうってことにはあまり興味がなくて。前例なんてないけどやるでしょ? みたいな方が惹かれます。