(更新:)
ORICON NEWS
再現ドラマに変化 有名タレントも躊躇なく出演
再現ドラマへの出演は、恥ずかしい過去であり黒歴史だった
かつての再現ドラマは、世間の耳目を引いたいわゆる“低俗”な事件や話を取り上げることが多く、役者陣も無名だったりエキストラ的だったり、低予算で作るものが多かった。それでも視聴者もそれなり楽しんでいたし、なじんでもいたのである。
その後、フジテレビ系の昼前の時間帯で放送された『どうーなってるの?!』(1993〜2001年)『こたえてちょーだい!』(2001〜2007年)などのワイドショーでも、再現ドラマが中心の番組構成となったが、出演する俳優はほとんど変わらず、ひとりの女性が若い女性から主婦、おばあちゃんまで演じるような作りだったが、一方で“再現ドラマの女王”と呼ばれる(名前は知らないが顔はよく見る顔)片岡明日香というキャラを生み出したりもした。ちなみに最近では、『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)など年間100本もの再現ドラマに出演している芳野友美が、“新・再現ドラマの女王”“柴咲コウ似の美人”として話題になっている。
かつては大物俳優や人気芸人たちが、バラエティの“若いころはこんなことやってました”的な企画で昔の再現ドラマの映像を流されると、「恥ずかしぃ〜」とか「勘弁してよぉ〜」と嫌がるのが定番で、番組もそれで笑いを取っていた。いわば再現ドラマに出演していたことは“恥ずかしい過去”“黒歴史”であり、出演することは“格を落とす”とまで思われていた時期が長くあり、かなり抵抗感があることだったのである。それがここにきて、冒頭にあるような番組の再現ドラマに本人や有名俳優が出演するのを見かけることが多くなり、視聴者のほうも意表を突かれて「へぇー!」と感心もし、「この俳優、案外偉ぶらないんだな」などと好感も持つようにもなってきたのである。
クオリティの向上で、人気芸人や俳優が抵抗感なく出演
有名俳優・人気芸人の隔てなく、今や再現ドラマに出演することへの抵抗感はなくなる一方で、視聴者も「この俳優さん、さすがうまい演技をするな」と高評価はすれども、「この人も落ちぶれたな」などとは思わなくなってきているようだ。短時間でさっと終わり、気楽に観られるドラマだけに、ちょっと手を抜くと昔のように非常にチープなものになってしまう。しかし今では、物語の登場人物の特徴に合わせて、配役なども制作側によってかなり吟味されており、各ツボで効果的に笑わせたり泣かせたりする工夫が施されている。短時間で期待されるだけの役割をこなすには、それなりの実力がなければできることではない。出演する俳優や芸人としてもいい加減にできないし、逆に腕の見せどころでもあると言えるだろう。場合によっては、自分の評価・認知度を高めるために、積極的に再現ドラマに出演する有名芸能人もいるのではないだろうか。
そうして再現ドラマの完成度が高ければ高いほど、視聴者も制作側に対して「これだけのメンツを揃えるなんて気合いが入ってるな」といった好印象を持ち、出演者たちの演技や芸のステータスも上がり、結果として視聴者も満足して視聴率も上がるという、3者側ともにメリットがあることになるわけだ。今後もこうした“再現ドラマバラエティ番組”はますます増えていくだろう。
(文:五目舎)